フランミル・レイエス獲得の話
昨年末に調査している報道があったが、1月8日にフランミル・レイエスの獲得が公式発表された。報道によると1億円+出来高の1年契約で、背番号は99番との事。
ドミニカ共和国出身の28歳、レイエスは11年にサンディエゴ・パドレスと契約しで18年にMLBデビュー。19年夏にトレバー・バウアーを目玉にした三角トレードでクリーブランド・インディアンス(現ガーディアンズ)へ。
しかし、22年に成績が急落するとシーズン途中にシカゴ・カブスへ放出。昨季はカンザスシティ・ロイヤルズで開幕ロスター入りも結果を残せず、その後はワシントン・ナショナルズの傘下3Aでプレーしていた。
これで支配下には投手がブライアン・ロドリゲスとパトリック・マーフィーとアニュラス・ザバラ、野手はアリエル・マルティネスとアンドリュー・スティーブンソンとレイエスで計6人体制となる。
◆◆MLB通算成績◆◆
▶ 打撃
特筆すべきはMLB通算で2000打席超で長打率.464を記録しているパワーだ。「長打率-打率」で算出されるISOは.215、昨季のMLB平均が.166なので非常に優秀な事が分かる。
19年に150試合で37HR・21年には115試合で30HR、18年と22年も15HR前後を記録している。 ※60試合制の短縮シーズンだった20年に59試合で9HRを放った
特に打球速度(Max EV)は18-21年にMLBで上位6%以内、数字を落とした22-23年でも上位15%以内に位置している。それにしっかり角度を付けられるので、長打になりやすいバレルゾーンの打球が非常に多いのだ。
「打球がバレルゾーンになる割合」を示すバレル率はMLB平均が6.9%なのに対し、レイエスは通算で13.8%とキレイにダブルスコア。シーズン単位でも11.0%を切った事が無いのは素晴らしい。
しかし、一方で「三振数÷打席数」で算出されるK%は30.6%と非常に多い。リーグ平均が23.0%前後なのに対して、彼はキャリアベストでも28.1%だ。ただ、今季3Aでは25.7%と壊滅的ではないのは救いだろう。
つい先日まで参加していたドミニカン・ウィンターリーグでも41試合で11二塁打/9HRを放っており、なおかつK%も26.7%に抑えているのもポジティブな要素だ。
▶ 守備走塁
守備走塁では貢献はほぼゼロと言って良い。「走塁時に最速で秒速何ft(フィート)で走ったか」を示す"スプリントスピード"はMLB平均を大きく下回っている。
ここ数年はどのシーズンでも概ねMLBで下位30%程度…つまりは下から数えた方が早いくらい。走塁による貢献度を示すBsRを見ても6シーズン全てでマイナスだ。
本職のRFでは通算DRS -15/UZR -7.3/OAA -8と各指標でマイナス…というよりも19年を最後にほとんど守らせて貰っていない。日本ハムのRFには万波中正がおり、レイエスはマイナーを含めてもLFを守ったのは30試合しかないので基本的には「DH専門」と考えて良いだろう。
▶ 総括
という事で、レイエスはよく言う「当たれば飛ぶけど当たらない」「打てるけど守れない」タイプの最高級素材と言える。近年だとオスワルド・アルシアやレナート・ヌニエスが鳴り物入りの大砲だったが、彼らよりもワンランク上だ。
懸念としてはやはりDH専門であるという事。順調に打ってくれれば問題無いが、開幕ダッシュに失敗した時に果たしてどれだけ我慢してくれるのかだ。
かつてブランドン・レアードは開幕からなかなか打てなかったものの、我慢して起用されているうちにアジャストした。しかし、彼の場合は3B守備が平均以上だった事が大きい。
バット一本で勝負するならとにかく打ち続けるしかない。年俸が思いのほか安く済んだので求められる水準は若干数下がるにしても、打率.240/20HR/OPS.750は欲しいところだ。
以前に投稿したnoteでも候補選手を挙げた通り、助っ人野手は「左打ちの大砲」か「二遊間を守れる選手」が補強ポイントに合致すると思われたがこの格であれば文句無しである。
左右関係なくスタメン予想をすると現時点ではこんな感じだろうか。昨季大きく成績を落とした松本剛と上川畑がバウンスバックすれば充分戦える打線になりそうだ。
マルティネスがマスクをかぶらない試合は彼が1Bに就いて、清宮を3Bに回す形になるだろう。郡司裕也はおろか昨季初の二桁HRを放った野村でもスタメン落ちの危機なのは良い傾向である。
ポジションが確約されているのは万波だけで良い。3週間後から始まる春季キャンプでバチバチやりあって、良い意味で上記のスタメン予想がガラリと変わってくれると嬉しい。
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