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「とにかく声を出せ」が正しい理由

アラです。僕は高校時代に野球部に所属していました。
野球部というのは昔ながらの慣習が根強く残るコミュニティで、「先輩を敬う」「大声で叫ぶがごとく声を出す」「移動はダッシュ」「ランニングは脚の動きを合わせる」など、他の部活動と比べると比較的厳しい環境です。
そんな過酷な高校野球で、最も感情が動いた経験をお話させていただきます。

その内容は「高校一年の夏の大会でベンチ入りをした」経験です。

「大会で大活躍をした」「チームの主力選手として活躍した」といった思い出ではありません。社会人になっても今でも思い出す、自分の行動で成功を勝ち取った記憶です。
その成功体験は、今の僕を形作るものになったと思います。
スポーツ推薦でもなく、飛び抜けて得意な分野(打撃や走塁)があるわけでもない僕が、なぜベンチ入りを果たすことができたのか。ぜひ最後までご覧ください。

最後の1枠

強豪校でもなかった僕の学校は、2~3年生の先輩が合わせて18人いました。
高校野球のベンチ入り人数は20人ですから、必然的に1年生から2人選ばれることになります。
当時の僕の世代は14人いました。先輩たちに比べると多いですよね。
先輩たちと比べ、技術や体格で劣る僕が大会に出られる可能性は0%でした。
来年、再来年にレギュラー入りをするため、まずは2枠に選ばれようと誓います。

結論、残っていたのは1枠でした。

2枠のうち1枠は同世代で投手をやっている人が内定していました。
中学時代にシニアチーム(硬式球を扱う中学生チーム。普通の中学の部活動は軟式球を扱う)に所属していた人が、ほぼ即戦力として活躍していたためです。
「これは最後の1枠を13人で争うわけか・・・」と希望の光がぼやけた感覚を今でも覚えています。
僕はこの1枠を勝ち取るために「野球」以外のことでアピールを始めました。

20人全員がエースで4番なわけがない

野球の腕前で言えば、入部したての1年生の大多数はどっこいどっこいです。
監督は何を見て最後の1枠を決めるのでしょうか。

練習への参加意欲です。
通信簿で言うところの「関心・意欲・態度」の欄が一番高い選手が選ばれます。
僕は具体的に以下の行動を心掛け、漏れなく実行しました。

・練習には誰よりも早く来る(開始の1時間半前くらい)
・球拾いは1球ごとにビーチフラッグの如く走る
・先輩のプレイミスでも声掛けをする
・バッティングピッチャーなど目立つ役割を獲りに行く
・移動の際は最も重い荷物を持つ(ヘルメットケースとか)
・応援は誰よりも声を張る
 などなど

「野球がうまいやつ」よりも「熱心に練習に参加するやつ」と見られることを第一に動きました。

特に効いたのは「先輩のプレイミスでも声掛けをする」だと思います。
試合中、先輩捕手がパスボールをしました。
その時に「前に落とせ!」とつい声を張ってしまったんです。
周りの先輩たちや監督が僕に視線を向けました。
「あ、、すみません!」と謝ったのですが、先輩方は

「そういうのもっと言え!」と褒めてくれました。

実際は褒めていたのかどうか分かりません。
認めてくれたのは確かだと思います。
物怖じせずに試合に参加する意識、今ではあの一瞬が背番号獲得へのターニングポイントになったと確信しています。

ベンチ入りする全員が投手でもなければ4番でもありません。
何かしら役割があり、役割ごとに背番号を与えられています。
声出し要員上等です。
ベンチを盛り上げる選手はチームにとって必要な役割を果たします。

僕が得たのは「来年以降に向けた経験として、ベンチ入りさせておく1年生」の背番号20でした。
「熱心に練習に参加するやつだから、あとあと伸びるだろう。なら早いうちからベンチに入れて経験を積ませておこう」そんな考えを監督は持っていたのだと思います。
背番号発表の時、名前を呼ばれたときの嬉しさ、景色は今でも覚えています。
同世代のライバルたちは「お前なの?!」と言いたげな目で僕を見ていました。
ホクホクしながら家に帰り、父親に背番号を見せたときの僕は誇らしげな顔をしていたと思います。

とりあえず声を出せば良いのです。目立ってナンボ、自分のステージにあった役割を果たすべく、今後も頑張っていきたいですね。

#高校野球の思い出

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