黒よりも暗い -12-
随分と夢を見ているようだ。寂しかった。寂しくて押し潰されそうだった。綺麗な女性がいる。去り際。もう1人の男。男は去り際にハグをする。私はその発想がない。好きなら好きと言えばいいのだ。それができずただ去る。寂しさは倍増する。寂しさを埋める為だったら何をやってもいい。成し遂げるものなんて何もない。プライドだっていらない。寂しくて寂しくて寂しくて。誰か近くにいてほしい。1人でもいてくれたらまだ生き繋げらえる。これ以上耐えられない。風よ花よ草木よ友になってくれ。空よ雲よ夕日よ私の友になってくれ。友になってください。土よ月よ私を包みこんでください。寂しくて寂しくて包んでください。お返しするものはなにもない。せめて一生愛し続けます。命にかえても守ります。力不足ならごめんなさい。それでも私が初めに命を捧げます。私の友になってください。独りでいきていきません。これから独りで生きていけません。これ以上独りでいきていけません。独りで生きるのは疲れます。疲れ過ぎました。疲れ果てました。私の周りでは笑ってくれる人がおりません。話を聞いてくれる人がおりません。一緒に歩く人がおりません。一緒に食べる人がおりません。一緒に寝る人がおりません。一緒に楽しむ人がおりません。一緒にはしゃぐ人がおりません。一緒に叫ぶ人がおりません。一緒に怒る人がおりません。一緒に悲しむ人がおりません。一緒に悩む人がおりません。一緒に考える人がおりません。一緒に感動する人がおりません。もう我慢はできません。我慢という壁が強すぎました。鋼鉄で作られているのでしょうか。ダイヤモンドで作られているのでしょうか。しかしとうとうその壁も限界のようです。寂しさを留めておくことはできません。泣いても泣いても変わりません。友はできません。人自体やって来ません。お店に入っても相手にされません。話しかけても相手にされません。私は風なのでしょうか。空気なのでしょうか。幽霊なのでしょうか。微かに嫌悪されます。やはり鬼なのでしょうか。臭いのでしょうか。醜いのでしょうか。なぜ私はいつも独りなのでしょうか。そのような運命なのでしょうか。苦しくて苦して苦しくて。苦しくてもう生きたくありません。涙を絞り出そうとしますが出てきません。寂しさを紛らわすものはありません。私は独りで死ぬ運命なのでしょうか。いつ死ぬのでしょうか。いつ死ねるのでしょうか。独りで生きる意味に何かあるのでしょうか。統制が好きでした。孤立しなから。自由時間になると私はいつも独りでした。だから、統制の時間となると人は集合します。私は孤立しません。そういう意味で私は統制が好きでした。しかし、統制の中でも虐めがあります。横から上から関係ありません。結局統制も好きになれません。むしろ嫌いで離れたくなりません。結局私は独りです。せめて寝ている最中は寂しい思いをしたくなかった。夢の中でさえ独り。独り慌てふためいて頑張っていても人は遠ざかっていく。私は独りになる。独りが好きなわけではない。でも結局独りになる。龍が見えた。その龍も右肩の鬼のように青紫色をしていた。私の左肩から背中にかけて纏わりついた。鬼と龍には好かれているのか。龍から声はしない。ただ黙って纏わりついていた。私は嫌な気はしない。特に不快に感じるものはない。早く人間だった頃の記憶を全て無くしたい。消し去りたい。独りという概念さえ消し去りたい。剣を振る。闇雲に振っているが外からみると舞っているように見える。楽しんでいるようにも見える。しかし、その逆である。寂しいのである。悲しいのである。辛いのである。それを消し去る為に必死に舞う。寂しさを感じるぐらいなら一生このまま舞っていたい。舞う時は右腕の剣を短くする。気のせいか髪の毛が長くなっている。舞う。舞う。舞う。地を這い、天を裂き、風を切る。大地を踏みしめる。大地を打ち鳴らす。大地の鼓動を感じる。自然を感じる。とにかく舞う。舞って舞って朽ち果てたい。私の生命を全て捧げたい。お願いをさせて頂くならば永遠の安らかな眠りが欲しい。大地があってくれてありがとう。風があってくれてありがとう。太陽があってくれてありがとう。月があってくれてありがとう。草花木があってくれてありがとう。空雲があってくれてありがとう。あなた方が居なかったら私はどう生きればよかったのか途方に暮れていた。あなた方が居てくれるおかげでまだ生きれる。あなた方は私から奪わない。私を虐めない。私を避けない。私から離れない。一緒に居てくれる。あなた方をもっと感じたい。あなた方の声を聴きたい。あなた方と同じ存在になりたい。鬼の私には無理なのだろうか。人間の頃の寂しさは完全に拭えない。しかし、自然との交わりも悪くない。人間と交わることができないのであれば自然と交わりたい。寂しさは全く慣れない。独りの時間だけは誰よりも自慢できる。孤立を合わせるとかなりの達人だろう。しかしこんなものは役に立たない。役に立てようと思ってもみなかった。でも自然と交わりたいと思うようになった。長年孤独孤立でいた理由はこれだったのだろうか。目が覚めると濡れた肌にあたる冷たい風が痛かった。
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