水族館に興味を持ったきっかけ

はじめに


幼い頃から水族館の飼育員または魚類学者など、魚に関係のある仕事をすることが夢だった。
今は何とか新人飼育員(仮)となり、今までの活動や水族館への思いを振り返ってみるためにこれを書く。

 水族館に興味を持ったきっかけ

水族館が好きになったのは、日本の影響が大きい。2018年にフォロワーさんの姫路市立水族館の播磨灘大水害を見て一目惚れしたからだ。

姫路市立水族館の播磨灘大水槽

​韓国の水族館にないような地味な生き物たちが空から差し込み太陽光を浴び、キラキラと光る様子は日差しの届かない暗い地下にある水族館しか知らなかった私にとって色々ショックだった。

この水槽を直接見てみたいと思い、日本へ向かった。

​2019年の春、近畿地方に旅行に行った際、「京都水族館」、「ニフレル」、「姫路市立水族館」、今はなき「須磨海浜水族園」を訪問し、韓国の水族館との違いを知ることが出来た。

私の感じた日本の水族館の特徴は

1.     郷土資料館の役割も担っている

2.       独立した建物を持つ

3.       展示生物を“食材”として紹介することにはばかりがない

4.       入場料が韓国に比べると安い

5.       SNSで生き物の情報をちゃんと伝える

6.       展示生物の名前を明記している

7.       海獣のための屋外スペースがある

8.       博物館のような落ち着いた雰囲気の水族館が多い

​などなど…

韓国の水族館で見られない色んな展示があって、日本はすごいなって思った。

 

やむを得ず​韓国の水族館に

2020年の1月、「葛西臨海水族園」に訪問したのを最後に、コロナ禍により日本に行けなくなった。それで、代わりに韓国の水族館に行くようになった。

日本は水族館関係でSNSやブログなどで活発に活動している人が結構いたけど、韓国では少なかったということで、記録を目的にブログを始めて水族館の訪問記を書くようになった。

韓国水族館巡りを始めて感じたことは

1.      ​韓国の水族館は独立された建物を持たず殆ど地下か商業施設に位置する 

2.       “美味しそうな”魚を展示しない

3.       入場料が日本より高い

4.       水族じゃない生き物を飼育しがち

5.       内装が雑すぎて子供向け

6.       魚名板がないことが多い

7.       水族館の主人公が水族ではない

などなど

そういうところで、2021年に開館した、「アラマルアクアリウム」に訪問してとんでもないほどがっかりしてしまった。ずいぶん遠いところにあったので4時間もかけて向かった。韓国独自の設計と技術で作られて、今までなかった自然光を取り入れた水族館ということですごく期待していたが、館内にはコンクリートのくずがあっちこっちで見えるし、水は濁っているし、魚は死んでいるし、カナリアが溺死していたりした最悪の水族館だったのだ。

今振り返ってみると、私は水族館好きじゃなくて「日本の水族館」が好きだったかもしれない。

で、お前に何ができるんだというの

そうだ。私ってただの水族館好きである。

自分にできることはブログやインスタに記録することだけだ。でも水族館不毛の地のこの国の誰かに知ってもらえたかった。水族館好きはあなた以外もいるってこと。それで界隈の人の中では少し有名になり、知り合いの飼育員さんも増えてきた。

楽しかった日本留学

韓国に「寺が嫌なら坊主が出るべき」ということわざがある。やり方に納得いかない人なら、己が去るべきだという意味である。それでも韓国の水族館で嫌で留学に行ったわけではないけれど、2022年の春から23年の2月まだ1年もしない期間を広島で過ごした。まず行ってからすぐ近くの水族館の年パスを購入して、月2回以上水族館に行きようになった。日本の年パスは韓国平均1万円以上に比べると非常に安い方なので、4館の年パスを作った。

留学生活は心の安定をもたらすともに自分の水族館観を固めるきっかけにもなった。水族館があるから旅にでて、自転車に乗り、間もなく閉館すると言う水族館に行くため貯金を注ぎ込んだことだってある。

中国地方を中心に大体の水族館に行って、総計30館の水族館に訪問した。主にマリホ水族館と宮島水族館に行っていたんだが、どっちも地域の特徴のある生き物の展示をしながらも美しい空間を演出できて、いろんな特別展やイベントがあって、飼育員さんの展示生物への愛が感じ取れるいい水族館だと思った。

 分かっているからこそ見えること

百聞一見にしかずという言葉があるが、100回聞いても一見しても、そもそも知らなければ見えることもないのである。

水族館に行くと本当に「分かっている分だけ見える」という韓国のことわざを実感できる。もちろん私の持っている知識は独学レベルなので、知識が浅いながらも全く分からない人よりは見えることが多いと思うのだ。例えば魚名板がなくても魚の名前が分かるとか。

留学してから分かったことなのだが、日本は国土が南北に長いから生物多様性が豊富で、採集や移動が韓国より容易であるよこや、安くて勉強になる展示がたくさんあることは公営の水族館が多いからというところや、食育教育がなされていて美味しそうな魚の展示が一般的であることなど。

さんざん韓国の水族館の現状を批判する投稿をしながらも、SNSなどを通して飼育員さんと関係を持ち、話を聞くことができた。自分の思っていた問題点を彼らも認識しているものの、現実的な問題で本当に「仕方ない」ことだと分かった。LEDで赤く光っているブルージェリーフィッシュと、魚名板すらない魚、誰のセンスか分からないダサい内装と展示生物が中心ではない空間構成。それには全部理由があって本当に「仕方ない」ことなのだ。一番ショックだったのは日常生活で触れられるいわゆる美味しい魚を展示するとクレームがくるとのことだった。

この活動でいろんな人と出会い、飼育員さんは飼育している生き物を深く愛しているってことが分かった。私の投稿と水族館観を興味深く見てくださる方もいればみんながそうであるとは限らない。きっとその中の誰もが自分に好意的ではないと思うし、自分のことを嫌っている人もいれば粗探しまみれの投稿で傷つきた人だっているはずだ。

それでも守り抜くべきこと

そんな「仕方ない」理由で成り立っているのが韓国の水族館だが、そんな「仕方ない」をなんとかするべきだと思う。

水族館は博物館であり、エンターテイメント要素が高い施設である。水族を飼育展示しながら生き物に関する知識を発信する社会教育施設なのだ。ゆえに水族館は展示生物の情報発信を最優先し、少なくとも飼育している生物の名前は書いておくべきだと思う。

綺麗な生き物を展示するのはどこの水族館でもやっていることだが、その生き物の詳しい情報どころか名前すら分からなくなっている水族館がほとんどだ。

魚名板は読まれていないことは日本も一緒だが、読まれてないからってなくすのはおかしいと思う。水族館が生き物へ興味を持つための入り口の役割をしてほしい。

最後に

ブログを始めてから韓国23館、日本30館の水族館および水槽展示施設に訪問した。もう韓国水族館巡りのコンプリートは遠くないものだ。

私はただ水族館に行くことが好き。魚を見ることも、餌やりも、建物の構造や設備を見ることも楽しい。一番楽しい趣味を今年も来年も続けられたらうれしいなと思う。

自分の好きなことを好きなままで生きたい。​

 

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