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3月11日に思い出す

東日本大震災から9回目の3月11日が巡ってきた。私は東北の出身ではないけれど、東日本大震災の津波被害を見た時に忘れられない建物があった。

もう20年以上も前のこと。毎年春に友人3人と国内旅行をしていた。その4人での旅行の最後の行き先は岩手県。食べ物が美味しそうとか、そんな理由だったと思う。

盛岡駅からレンタカーで浄土ヶ浜へ出発。でも当時はカーナビなどついていなかったため時間が読めず、車から降りて散策ができる時間もなく、車窓から眺めるだけに終わってしまったのを覚えている。

宿泊先のホテルの部屋から海が眺められると思っていたが見るとコンクリートの壁がほとんどで少ししか海が見えなくて残念に思った。夕飯までの時間がまだあったので、周辺を散歩してみることに。

ホテルの周辺は大きな城壁とも思えるコンクリートが高くそびえていて「ここの防波堤かな」と話していると地元のおじさんが「これは津波除けのために作られているんだよ」と教えてくれた。

ホテルでの夕食は三陸の恵みが盛りだくさんでとても美味しかった。そのホテルは2011年3月11日の津波被害で映し出されていた。「たろう観光ホテル」間違いない。建物はかろうじて踏みとどまっているけれど、私達が泊まったであろう部屋はもうなくなっていた。

あの時「津波除けだよ」と教えてくれたおじさんは生きているとしたら助かっていただろうか。あんなに「高いなー」と眺めていた防潮堤はいとも簡単に乗り越えてきた津波。もし私たちが泊まっている時に遭遇していたら跡形もなく流されていただろう。

今たろう観光ホテルは津波被害を後世に伝えるために遺構保存され、観光スポットともなっている。いつかたろう観光ホテルを訪ねられたらと思っている。

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