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科学冒険隊タンサー5感想(34話)

・科学冒険隊タンサー5第34話「殺人ロボット大反乱 戦えタンサー5」

4000年前での写真撮影の任務を終え、タイムタンサーで帰還するタンサー5。だが、戻ったアクアベースはまるで廃墟のようだった。タイムタンサーをチェックすると、タイムチャージの故障で1000年後の未来に来てしまったことが分かる。ハジメはただちに修理に取りかかる。そんな時、ロボットに追われた未来の人々がこちらに逃げてくる。作業ロボットに誤って殺人指令をインプットしてしまったため、パニックになっていたのだ。

バンダイチャンネルのあらすじより

今まで過去へと向かって事件を解決してきたタンサー5が、最終回に至って逆に未来へと向かうことに。

未来のアクアベースは廃墟と化しており、それを見たジョニーは笑い出す。アクアベースが廃墟になっているということはすなわち、未来の世界ではアクアベース、そしてタンサー5はお払い箱にされており、見向きもされていなかったと。自分たちのやっていることに本当に意味があるのなら、誰かが引き継いでいたはずだと…

メンバーの中に不信感が漂う中、タイムタンサーの修理にハジメが残って他のメンバーは未来のアクアベースを調査することになる。そこに現れたのは未来の人々達、そしてそれを追うロボットの群れだった。ジョニーは未来人の争いになど関わるなと言うが、リュウたちは見捨てることが出来ず彼らを助ける。未来人たちの服装は如何にもな昭和の未来ファッションであり、ある意味時代を感じさせます(笑)

しかしリュウたちが助けた未来人たちはリュウたちに礼も言わずに責任のなすりつけ合いを始める。彼らがロボットに追われていた理由…それは作業用ロボットに労働を任せて自由を謳歌していた人々が、間違ってロボットに殺人指令をインプットしてしまったために、ロボットが殺人兵器と化してしまったのだった、と「デトロイトビカムヒューマン」や「仮面ライダーゼロワン」などが最近では有名と思われるSFの定番、ロボットの反乱展開。

そうこうしているうちにもロボットの大軍がアクアベースへと攻め込み、タンサー5も応戦するが数が多すぎて防戦一方の戦いを強いられる。そしてアクアベースへと逃げこんできた未来人たちは、彼らの戦いをただ黙って見守っているだけだった…

タンサー5のマシンが次々と戦闘不能になるが、ここでハジメからタンサー5の修理が終わったと知らされる。ジョニーはそれを知ってさっさと帰ろうとするが、リュウは未来人のために残って戦おうと言い出し…

「冗談じゃねえぜ!俺が戦ったのはこいつらを守るためじゃない!タイムタンサーを守るためだ!
どうして俺達がこいつらを守らなきゃならねぇんだ?自分たちの生み出したものにしっぺ返しを食ってもただ逃げてるだけの奴らだぞ?
それに、アクアベースをお払い箱にしたのもこいつら未来人だ!
こんな奴らのために命を張るってのか!
見ろこいつらを!リュウが怪我してまで守ろうってのに、知らぬ存ぜぬだ。
こんな奴らを…何故命を懸けてまで守るんだ!」

「…本当の人の心を分かってほしいからだ」

「分かるもんか!こんな奴らに」

「分かる!…きっと分かってくれるさ」

ここでのジョニーの言い分は人間的な心には欠けるものの、論理的には何も間違っていない言い分であり、無茶をしてでも未来人の為に戦おうとするリュウとどっちが正しいとも言えない立場に。基本一枚岩で戦ってきた以前のタンサー5に、ユメト退場後の異分子として化学反応を期待されたジョニーですが、ここまでただ「身勝手な行動と心無い言動が目立つ嫌な奴」として目立ってしまい、このままの印象で作品が終わってしまうというところでしたが、最終回にしてやっと「リュウたちとは違う、しかし間違っているとは言えない別の答えを持っている」というリアリストキャラとしてのキャラを非常にギリギリの危ういところで確立させ、ここは本当に良かった部分でした。

ジョニーはその場を去ってしまうも、戻ってきたハジメも含めて4人でタンサー5はロボットたちに挑む。しかし戦力の差は大きく、もはやこれまでかと思われたその時、ジョニーがこの時代のビッグタンサーを見つけ、援護に来てくれた!更にそこにリュウたちの姿に感銘を受け、自分たちの時代は自分たちで守ろう、と立ち上がった未来人たちも駆け付けてくれたのだった。

急場をしのいだタンサー5は、未来人たちに別れを告げて今度こそ現代へと帰ることとした。まだ未来の問題は解決していないが、自分たちの力で立ち上がることを思い出した未来人たちならきっと解決してくれることだろう…無事現代へと帰ってきたタンサー5は、自分たちのやってきたことがちゃんと他の人の為になっていることを改めて実感した。そしてリュウは更に思いを馳せる…

「…あぁ、遺跡とか遺産とかって何だろう、って今考えてたんだよ。
…生き物なんだな。物じゃない。遺跡となったアクアベースが生きていて、人々を救ったんだ。今の時代に生きている人々に、何かを与え、立ち止まって、振り返らせる。
それが遺跡であり、過去から引き継がれた遺産なんだ

「私たちが守ってきたのは、建物や物じゃなくて、人の心だったのね」

個人的には正直、世界遺産要素はおまけ程度、という感じのアニメだったのですが、最終回にしてこの作品における「世界遺産とはどういうものなのか?」という答えを出し、更に物語の設定を未来に置くことにより「現代の施設であったアクアベースが過去の遺産となる」ことによってこのアクアベースを主題として展開した物語がこの答えの途中式として機能するのは実に鮮やか。凄く目の付け所のよかった展開で、「タンサー5の仕事にはどういう意味があったのか」という理由付けも兼ね揃えているという隙の無さで、これはやられました(^^;総じてアベレージが高いかと言われるとそうとは言い難い今作でしたが、最終回は間違いなく名作。

そして長官から、未来はどうだった、と聞かれたリュウはこう返す。

生きてましたよ。遺跡となったアクアベースがね

数々の事件に出会い、戦ってきた科学冒険隊タンサー5。
彼らは、これからもなお、大切な人類の遺産を、
…いや、心を守っていくことだろう…

終わりのナレーションより

という訳で最終回、いいものを見ることが出来ました。
他は総括にて。

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