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1月観た映画


フロム・ダスク・ティル・ドーン(1996)

前半の展開を後半でほぼ全て破壊してジェットコースターのようにぶっ飛んでいく映画。だが破壊され尽くした先のラストは不思議な爽快感があり、「これからなんだってやれるぜ」というパワーに満ちている。
キャラクターがちょいと出のやつも強烈で一発で印象に残り、しかも死ぬ時はあっさり死ぬ。主人公を絞らない作品なので「こいつは死なないでくれ!」とハラハラしっぱなしだった。

トレマーズ(1990)

清々しく観れるモンスターパニック。ピンチ→解決→ピンチ→解決のテンポが心地よく、人もいっぱい死ぬので楽しい。特撮も最高で生々しさの面では今のCGより上かも。怪物には厳格なルールがあり、人々もそのルールの中で思考を巡らせ立ち向かう姿には心を熱くさせられる。機会があればシリーズを追いたい。

ザ・ファースト・スラムダンク(2022)

井上雄彦さんの絵がそのまま動くスラムダンクの映画。宮城というキャラクターを深掘りした新ストーリーは感動的なのだが、山王戦の試合描写が余りに良いので過去回想に入るたび「試合はどうなったんだよ!見せてくれよ!」と思ってしまった(結果知ってるのに)
ここぞの場面でかかる10-FEETのテーマソングも気持ちを爆上げにしてくれる良い映画。

オール・ユー・ニード・イズ・キル(2014)

トム映画。死に戻りを繰り返すうちにナヨい笑顔の広報担当が非情な指揮官になっていくのが表情でわかる流石のトム。超高速で迫るギタイのデザインはかなりの絶望感でモンスターパニックとしても良質。臨場感のためか手ブレ演出が多く、アクションが見辛いのはネックかも。

プラダを着た悪魔(2006)

KT Tunstall 「Suddenly I See」が流れるOPがめちゃくちゃ良い!ここだけ何回か見返している。エミリーブラントが偶然出演していたので「平和な世界で定職についたんだね」と勝手に胸が熱くなる。着替えまくるアンハサウェイがファッションや仕事を通じて自分らしさを見つめる姿から元気をもらい、月に一枚くらいはちょっといい服を買おうと思ったりした。

私はゴースト(2012)

序盤はかなり退屈だったが、少しずつ滲み出る描写がかなり恐ろしい。八方塞がりの中でいくら足掻いてもなんの意味もない。主人公が対するものは運命なのだ。先へ進むしかないのに先はない。誰にでも勧められる作品ではないが提示されている恐怖は相当のものだった。全裸中年男性だけが癒し。

哭悲(2021)

「ウィルスによって加害性が爆発するが、残った人間性が強烈な罪悪感を感じ涙を流す」という設定が秀逸。ノンストップのスプラッターはエンジン全開。
タブーにも果敢に挑んでおり、これが初長編監督作品だと思うと色んな意味で恐ろしくなる。後半ややセリフでなんとかしている感はあれど話題になるのも納得の怪作。

アバター/ウェイ・オブ・ウォーター(2022)

前作でクオリッチ大佐に惚れて「やれ!ナヴィ共を根絶やしにしろ!」と思いながら見ていたので続投はかなり嬉しかった!今作でも元気にナヴィ共を虐げており、更には息子との複雑な関係という色気も獲得して全方位隙がない。

また肝入りの3DCGで描写されるパンドラの海はため息が出るほど美しく、キャメロン監督の『シゼンハタイセツ、キョウゾン』という声が聞こえてくる。
テーマは「家族」ということだが子どもの大半が思春期なのでギスギスしてるし大人は怒鳴ってるし話聞かないしなのでちょっとゲンナリした。
パンフがかなり高いが、設定資料集としてかなり読み応えがあり嬉しい出来。

イニシェリン島の精霊(2022)

この監督の描く人物は皆どこかに悪性を抱えている。では映画全体が陰鬱なのかというとそうではなく、罪悪感に苦しみ贖罪を成そうとしたり他者に思いやりを見せる場面があり、そこがたまらなく美しい。
うまく言えないが、生来の悪心を持つものがそれでも良いものであろうと足掻くような。「スリー・ビルボード」もふくめ、自分はこの監督の描く世界が好きだ。

ラスト、状況は何も好転していないのに微かな希望が差し込むように思えるあの海岸。映画館で観てよかったなぁと思えた1月のイチオシ映画です。

非常宣言(2022)

描き方が非常にリアルなパニック物。飛行機内での感染爆発とそれに対する政府の対応は現実のコロナ問題を想起させる。テロを起こした犯人の造形は自分と遠い存在では決してなく、強烈な存在感に震え上がった。

緊迫した状況と好転しない展開が続き観ていてめちゃくちゃ疲れる本作。もしかして監督はバッドエンドにしたかったんじゃないかなと少し思う。