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欲しい家

今の家に移り住んでから、今年で15年近くが経ちます。

都内の狭くて古くて小さい、独り暮らしの一軒家。
誰かと住むには狭すぎる、そんな一戸建て。

よもや、まさかで、人生の中で一番長~く住んだ場所となってしまいました。ちょっと長くいすぎてる気もするけど、一戸建ては集合住宅とは違う、根付く感じがあって、それが心地よいのです。

その前に住んでいた所は、もうこれ以上ここにはいられない!という緊急事態により、まるで逃げ出すように今の家に引っ越ししてきました。

緊急だったので、そんなに家探しに時間を掛けていられないから、選び方としては消去法。今までとは違った沿線で、都心から通える距離で、家賃が無理なく(重要)払えて、バストイレは別で…云々。

急ぎとは言っても勤めながらだったので、一~二ヶ月くらいは掛かってしまうんだろうな…と覚悟を決めていたのだけど、実際には不動産屋巡りをした、その日の最後にするっと今の家を引き寄せられてきたのでした。貸アパートでも貸マンションでもなく、アパートの家賃で「貸家」と書いてあったのには目を疑ったけど、こーゆー物件はたま〜〜〜にあるらしい。

物理的には隠れてないけど、当時の私に取っては隠れ家のような住処となった、古い小さな一戸建て。小さいながらも「一国一城の主」なんだと思います。

15年近くの間で「この家を出なければ」という緊急事態に見舞われたのは、福島第一原発の事故が起きた時。ちょうど失業状態で、東日本大震災のショックに引き続いた、まさかの原発事故。サバイバルの問題が丸ごと刺激されて、もう頭の中はパニック状態に陥り、東京がどうなるのか分からない、日本もどうなるのか分からない。家賃払うなんて無理、生活そのものが詰んだ、もう限界だ。

ひとまず親のところへ身を寄せるしかない…と、一晩かけて何を持ち出すのかを選び、荷物をまとめて、カバンを持ち、呼吸を整え、さあ!よし!!家を出るぞ!!!今!!!!と、一息入れて扉に手をかけた、その瞬間。

まるで見ていたのかと思うようなタイミングで、普段ほとんど使っていなかった固定電話が突如鳴り出し、ピークに達してた気合がいきなり出鼻を挫かれた格好に。それと同時に頭の中に「あ、存在は私を東京に居させようとしている」という理解がポンとやってきたのでした。

固定電話は事務的な内容で、その用件のために、その日は帰省することにはならず…そしてその次の日も…そのまた次の日も…と、結局は親元には帰らなかったのでした。慌てて送った荷物も全部送り返してもらうことに。 

その後、強い余震を何ヶ月も経験することになりますが、一度全身全霊で行動したことにストップがかかった、あの全体のプロセスと「あ、存在は私を東京に居させようとしている」という理解で、何やら腹の底が決まったらしく、繰り返しやってくる余震や放射能の情報に感情の一部は怯えながらも、完全なパニックの恐怖に陥ることはなくなったのでした。

いま考えても、あの電話のタイミングはミステリーでしたね。

今の家に残っていなければ、タロットや数秘を教えるとかワークショップをやるとか、小さいながらも自分で何かをやるという動きは、全く起きてこなかったと思います。人生って不思議。

ただもうさすがに相当古びてきてるので、地震や台風が来るたびに内心「大丈夫か?」と思っているので、最近住みたいと思っているのは、山の緑が見えるところで、一戸建てで「災害に強い家」なのでした。

揺れに耐えて、火に耐えて、水に耐えて、地上を走って、空も飛べるやつ(どんなの?)