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思想・哲学・宗教・人物(My favorite notes)

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思想・哲学・宗教など心や意識をテーマにしたお気に入り記事をまとめています。スキさせて頂いただけでは物足りない、感銘を受けた記事、とても為になった記事、何度も読み返したいような記事…
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2022年4月の記事一覧

経済の交換様式と宗教

社会文化の違いやそこに暮らす人間の意識の違いを分析するには、様々な観点があります。 その中でも、「交換様式」の観点からの分析は、最も強力なものであると思います。 「交換様式」の違いは、それに対応した社会形態や文化の違いを生み、意識の違いを生みます。 この投稿では、柄谷行人や中沢新一の説を参考にしながら、「交換様式」と宗教に関わる知見、私見をまとめます。 非常に長く、抽象的な文章になりますが。 経済人類学の3つの交換様式 一般の経済学は、主に市場経済における「商

フィンセント・ファン・ゴッホ 5

フィンセント・ファン・ゴッホ 1 フィンセント・ファン・ゴッホ 2 フィンセント・ファン・ゴッホ 3 フィンセント・ファン・ゴッホ 4 あとがき フィンセント・ファン・ゴッホの名前は世界中で広く知られ、芸術家の代名詞として用いられるとともに、「狂人」、「社会不適合者」、「独学の人」、「生前に絵が一枚も売れなかった画家」「弟テオの献身」などのタイトルも常に同時についてまわります。 今回、ゴッホをとりあげた理由には、そのような「狂った画家ゴッホ」の印象をもう一度見返し

フィンセント・ファン・ゴッホ 4 

じゃがいもを食べる人たち ゴッホが画家を志してから数年、ついに仕上がった自信作でした。 聖書のある静物 この絵をゴッホは父親の死後すぐに描いています。ゴッホの父親はプロテスタントの牧師で、この聖書も父親が所有していたものだと言われています。手前の本はエミール・ゾラの「生きる喜び」という当時の現代的な生活が描かれた小説です。 タバコをくわえた自画像 アントワープでのお酒とたばこと売春宿にまみれた破滅的な生活が想像できます。ゴッホは生涯で数多くの自画像を描きましたが、こ

フィンセント・ファン・ゴッホ 3

耳を切り落としたそのあとで 耳の怪我はじきによくなりましたが、フィンセントは少しずつ精神的に追い詰められていきます。近隣の住民たちからも気味悪がられて、フィンセントを精神病院へ収監するよう市長に求める請願書まで提出されてしまいました。結局5月にはアルルから北へ20キロほど行ったところにあるサンレミという地域にある元修道院だった病院にフィンセントは入院します。病院でフィンセントは絵を描くことが許され、すぐにこの病院とその周辺は彼の絵画の主要なモチーフとなっていきました。まず窓

フィンセント・ファン・ゴッホ 2

画家になる 画家になる、と決心をしたフィンセントはひとまずブリュッセルの美術大学に入学して、絵の描き方を学ぼうとしますが、なぜか一年ほどしてすぐに実家へ帰ってしまいます。しかし実家に帰ったら帰ったで、今度は父親と大喧嘩をしてしまい、仕方なくハーグへ引っ越します。 その当時、ハーグには15歳年上の従兄、アントン・モーブが住んでいました。アントンはハーグではすでに有名な画家でした。アントンはフィンセントを心から歓迎し、画家として、水彩画や油絵の描き方、またアトリエを借りるお金

フィンセント・ファン・ゴッホ 1

カラス舞う麦畑、最後に男はピストルで自分の胸を撃ち抜きます。 +++++ フィンセントと名付けられたその男の子は、オランダにあるズンデルトという小さな村に生まれました。ファン・ゴッホ家は祖父の代からの牧師の家庭で、キリスト教の戒律を守る厳格な父親と優しい母親の元、フィンセントは6人兄妹の長男として育ちます。 小さいころのフィンセントは内向的な少年でしたが、小学校へ入るとクラスのほかの子供たちとのケンカが増え、すぐに小学校は辞めてしまいます。仕方なく両親は家庭教師を雇い、