きなこむ

詩を書くのが好きです。 書くことで何か整う気がするからです。 でもあまり読むことはしま…

きなこむ

詩を書くのが好きです。 書くことで何か整う気がするからです。 でもあまり読むことはしません。 私にとって、詩はとても自分勝手なものなんです。

最近の記事

へそ曲がり

へそ曲がりと女に振られて 鏡の前に立ってみりゃどうだい たしかに曲がってら! ああ、こりゃ見限られても仕方ない 道行く女を見れば どいつもこいつも美味そうだ ネットを覗けばほら こっちもあっちも美味そうだ 声をかけようと踏み出せば 途端にへそが動き出す 画像をほうぼう渡りあるけば その都度へそが動き出す むずむず、むずむず へそ大爆笑、大よじれ 男でごめんなさいねと お天道様を仰げば 仕方がないよと 聖女の微笑み 助平でごめんなさいねと もう一度仰げば もうこっちを見て

    • 壁とわたし

      私は何者でもない、と 誰に問われるでもなく答えると 白い壁が大きく笑い声をあげた つられて私も笑い出す そうさ、噴飯ものだ 手にもったチョークで 白い壁にびびびと赤い線を引いた お礼のつもりだった だが壁は悲鳴を上げた なんだい、たいしたことない奴め わたしは、彼に向って さらにおしっこをかけてやった! おともの音楽:細野晴臣、”Non-Standard Mixture”

      • 世界が

        世界が 俺のものになればいいのに そうすれば 世界は平和さ 世界が俺のものになれば 一番尊いのは愛だ 次になにを選ぶ? 俺は音楽を選ぶ 芸術の中で 音楽より尊いものはない (画家小説家舞人その他大勢からの抗議) Classicは侮れない 真正面から向き合うと底知れない闇がある POPSは最も強い 人数の多さがそれを物語る ROCKは人々を支えている たとえまるで興味のない人をすら JAZZ、JAZZは分らんね でも俺にとってすら、たまらなくいいものがある そう、たまらなく

        • すでに多くが交りを終え 出遅れたものたちが川を舞う 誰かいないか、誰かいないか あるものは飛び回り あるものは葉の上で羽を休めながら 相手はいたか、相手はいたか そこで休んでいていいか もっと光らなくていいか    * けしかけるお前もほら 出遅れた物見客 せめて彼らの幸福を願え 相手の一人も見つかりますように、と おともの音楽:Bon Iver, "Salem(Live at Barclays Center, Brooklyn, NY, USA, 2019)"

          アラスカ、星野道夫

          アラスカ、には 行ったことがないが 気持ちの良いところだろうなと思う 星野道夫の写真が 気持ちのいいものばかりだから 彼の取る写真にも 連ねる文章にも 正しく風が吹いている 空はフェアだ 誰に対しても優しく厳しい アラスカ、には 行ったことはないが その印象は裏切られることはないだろう かの土地のあらゆるところ、 人々に親しいトウヒ 背の低い地衣類 冬ごもりをする生き物たち、に 彼は遍在して やはり気持ちの良いところだろう おともの音楽:Derek Trucks Ban

          アラスカ、星野道夫

          わが子

          わが子の小さな手をおもう 楽しみと興奮の入り混じった笑顔をおもう そこらを駆け回る足音をおもう ふとんについた涎のしみをおもう まるいやわらかい小さなおしり 泣き顔、止めるすべのない癇癪 バナナが欲しい、バナナが欲しい、バナナが欲しい… 七月には七夕の行事があるという 短冊を持ち帰ってきた 何を書こうか 何を願おうか さて君は何が嬉しい? おともの音楽:Derek Trucks Band, ”Back Where I Started”

          鎮座する石

          かみさまがおわす ところにぼくはいて ならばもう幸せじゃないかと 問われるけれど そうではないんだな 幸せの『し』の字もないよ 正しくあろうとすれば 面倒なことばかり ただ、間違ってはいないと 自己肯定感のひとさじがあって 少し安心するだけ かみさまとは鎮座する石のようなものさ お日さまであたためられた巨大な石 そのそばにぼくはいて 幸せの『し』の字もないよ そこにいるだけ おともの音楽:Derek Trucks Band, ”Back Where I Started”

          鎮座する石

          ニワゼキショウ

          オオイヌノフグリは盛りを過ぎて キツネノボタンもとうに熟した カタバミは爆竹を空に捧げ オオバコがにょきにょきと頭角を現す そしてニワゼキショウ 草原を見渡すとそこかしこに 彼らもきっと今が最盛期 晩春と初夏のはざま 草原を見渡すとそこかしこに咲く おともの音楽:Derek Trucks Band, ”Sierra Leone”

          ニワゼキショウ