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私立大学の待遇・環境(文学系)

こちらの方の記事に触発された。

大学の待遇や環境の話はなかなか出てこない。まして文学系ともなれば、ニッチすぎてほとんど情報がない。誰の得になるか分からないが、書き留めておこうと思う。

年収

今まで経験した私立大学は全て年俸制。ただし、「年俸+ボーナス」「年俸+入試手当」「年俸+ボーナス+入試手当」と給与実態は各大学で異なる。少なくとも「年俸=年収です!」という大学は経験していない。具体的な給与額は守秘義務のため公開できないが、助手・助教以降はサラリーマンの年収中央値とされる400万円を下回ったことはない。
なお、文学系の場合、入試問題の作問や採点、小論文の採点、英作文の添削、英語面接の面接官といった業務が加わるため、入試関係の手当はそれなりの額となる(それだけ手間と時間は取られるが・・・)

先掲の記事に拠れば、「国立大の場合は55歳で昇給が止まる。さらに63歳でボーナスがなくなる大学も多い(年俸制移行の影響)」とのこと。私立大学でも昇給停止を行う大学はあるが、おおむね60歳以降(主に定年延長・再雇用)で、ボーナス全カットは聞いたことがない。

研究費

文学系の場合、個人研究費+外部獲得資金(科研費・民間助成など)+自腹で研究を進めることになる。

個人研究費はどの大学でも20~30万円支給された。教材研究費や若手向け研究費が支給される大学もあった。理工学・医学系と異なり、研究室に所属する人数で研究費が左右されるということはない。

研究費については、総じて一般的な国立大学文系学部よりも私立大学の方が恵まれている感がある。

業務量

お察しの通り、高校訪問・出張授業・オープンキャンパス・入試対応・成績不振者の対応など、様々な業務がある。だが、これらの業務をストレスに感じたことはない。

私自身、私立大学の出身で「私立大学の教員とはこういう仕事をするんだ」と分かっていた。そもそも、私立大学の場合、教職員の収入は学生の学納金に拠る(私立大学の収入の8割は学納金だ)。したがって、新入生獲得のための営業活動は必須であるし、学費を納めている以上、どんな学生であっても最低限の教育とサポートを受ける権利があると思う。そのような意味で、学生に関わる仕事に「雑務」はないと考えている。

このあたりは、運営交付金(税金)が収入の大半を占める国公立大学と、学納金が収入の大半を占める私立大学で、肌感覚が違うと感じることも多い。

最後に

N=1の世界なので、この記事の内容がどこまで普遍的なのかは分からない。ただ、先掲の記事にある通り、「結論として決して国立大にいれば研究ができるという訳でもなく、私立大では研究ができないという訳でもない」というのは事実だ。

文学系で言えば、今後、縮小廃止が濃厚な国立大学文系よりも、私立大学の方がよい待遇を用意している可能性が高い。国立大学にとらわれず、私立大学という環境で、優秀な方々と一緒に働けることを楽しみにしている。

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