⑩おわりに(2023/12/17頒布♦️受アンソロジーのノベルティ問題)
皆様こんにちは。
ノベルティ・非公式グッズに関する関連記事をお読みいただいた皆様、ありがとうございます。
初めてこちらをご覧の方は、ぜひ最初の記事からご確認ください。
2024年9月6日付で♦️受アンソロジーの主催komugi様より最終的なご見解をいただきましたことを受けまして、2024年9月10日に本件一連の資料をまとめた上で、法律事務所に相談致しました。
下記は、今回ご相談させていただきました一弁護士さんの見解となります。
なお、現段階では事務所名等は伏せるようにとのことでしたので、明確に弁護士さんのお名前等のお答えが出来ませんこと、予めご了承ください。
◼️結論
・公式から販売されたスマホケース、及びゲーム内の画像との比較の上で、ケイト受アンソロジーにて頒布されたマルチポーチの背面デザインは複製権の侵害に当たると考えられます。
・二次創作物における©️(コピーライト)の表記は権利が全てkomugi様にあるという誤解を招くリスクが高いことから、するべきではありません。(今回お話を伺った弁護士さんは特に©️を最も問題視されておりました)
●マルチポーチ背面のデザインに関して
※参考リンク(https://mond.how/ja/topics/0tf7d41dgngx9p0/vxzbav88c2li4vb)
※画像左:公式スマホケース(©️Disney Aniplex Inc.)
今回相談した弁護士さんはツイステを存じ上げない方でしたが、マルチポーチのデザインと公式グッズのスマホケースとの比較を見て、一目でこれはさすがによろしくない、といった反応でした。
トレースではなくても、わざわざ公式デザインを見ながらゲーム内に登場するデザインに寄せて作成をしていることは明白であると考えられる為、一般的には複製権の侵害にあたる模倣品になるとの見解です。
●©️の表記に関して
以下2点の問題があるとの見解でした。
①二次創作においてコピーライトを使って創作者自身の名前を表記すると、その原作(一次創作物、今回の場合はツイステ)の世界観、キャラクター、設定等全てにおいてもその著作権が自分にあることを主張することとなってしまうため
②作品(今回の場合ツイステ)について全く知らない人が該当グッズを見たとき、コピーライトに記載されている人物がすべての著作権を持っている(一次創作者である)と誤認してしまう恐れがあり、大元の権利がディズニーやアニプレックス等にあると思い至らない
弁護士さんの見解としては©️をどうしても用いたいのであれば、版権元の社名も合わせて表記する必要があるとのことでしたが、その為には版権元にライセンス許諾を得る必要があります。
●公式ガイドラインの解釈に関して
二次創作に関する公式ガイドラインについて弁護士さん個人の意見としては、無償(本の頒布代に上乗せ等もされていない)であれば非公式グッズを作製して頒布をしてもガイドラインの範疇に収まる可能性はあるとのことでした。
ただし、無償配布であってもノベルティ目的で本を購入する人がゼロとは言い切れない以上、非公式グッズ自体に一定の価値を見出されていることから解釈の一つとして「利益」と見なされる場合もあるそうです。
また、無償であればどんなデザインや形状のものをどれだけの数作って頒布しても問題無いと考えることも個々のモラルと解釈による部分が大きい為、問題点として挙げられているデザイン面や©️の表記等がガイドラインの範疇にあたるか含め、今回のようなケースは版権元に問い合わせて判断を仰ぐしかないとの見解でした。
あわせて、本件のマルチポーチは「商品価値」があると捉えられるリスクがある以上、版権元に今後のグッズ展開上の営利機会の損失と見なされる可能性もあります。こちらに関しても版権元に判断を仰ぐしかないとの見解です。
※二次創作に関する公式ガイドライン参考リンク
(https://faq.twisted-wonderland.aniplex.co.jp/category/show/18?page=1&site_domain=default&site_domain=default&sort=sort_access&sort_order=desc)
●クリアファイル及びポーチ表面のデザインに関して
デザインの著作権侵害について、判断する見方は主に二通りあるそうです。
①デザイン全体を一枚のイラストとして全体が著作権侵害に該当すると判断する見方
②デザインを構成している一つ一つのパーツ自体が著作権侵害に当たるという見方
今回のクリアファイルの場合は②で判断するかたちになるだろうとのことでした
例えばクリアファイルやポーチの表面のデザインの中でも、トランプのみを著作権侵害と判断することは難しいですが、スマホケースや寮服のロゼット等ゲーム内独自のデザイン性が高いものに関しては、版権元から著作権侵害と主張される可能性が高くなります。
●二次創作グッズにおける版権キャラクター名の使用に関して
非公式グッズに記載するそのキャラクター名が商標登録をされていたら、確実に商標権侵害になります。
(※商標登録されてなければ非公式グッズに何でも記載して良いわけではなく、公式誤認を招くリスクを推奨するものではありません)
●昨年12月の対応文書に関して
2023年12月5日に主催様が公開した『現地ノベルティについて』という案内の中で「アンソロロゴを入れており、誰が見ても公式グッズでないことが一目で分かる」と記載がありますが、今回の弁護士さんはそもそもアンソロロゴという概念がなく、アンソロロゴが二次創作本のタイトルを表しているということすら存じ上げていませんでした。このことから、グッズ単体で見た時にアンソロジーのロゴが誰が見ても二次創作物であると分かることの証明とはなりえないという判断になります。
また、「cater」の意味は「提供する」「給仕する」という意味合いの動詞なので、権利的な文字列ではないと主張されておりましたが、弁護士さんの見解としてはそれは説明として不十分であり、caterの後に続く.dまで含めて説明しなければ主張として成立しない為適切とは言えないとの見方でした。
◼️最終結論
法的観点で見ると、今回の一連の件は著作権侵害(マルチポーチ背面に関しては特に複製権侵害)にあたる可能性が極めて高いとの見解に至りました。
ただ、二次創作物である以上その最終判断は版権元の公式にしか出来ない為、著作権上問題であると思われる点や公式の利益を害する可能性を不安に思う点については、版権元に問い合わせて判断を仰ぐしかありません。
今回の弁護士さんのお話はあくまで解釈の一つとしてお読みいただき、今後の二次創作活動における免罪符ではなく、参考資料としていただけますと幸いです。
また、今回提起した非公式グッズに関する諸問題が公式ガイドラインにある「モラルの範囲内」かどうかと問うと、弁護士さんの個人の見解としてはモラルの範囲内とは言えないとの見方でした。
法的見解は以上となります。
今回は主催様が弁護士に相談に行かれたことと、何度も専門性のある裏付けの有無について気にされている節があったため、こちらも弁護士さんに詳しくお話をうかがわせていただきました。
そもそも一般論として二次創作自体が著作権侵害にあたるとされますが、ツイステに関しては公式ガイドラインの範囲内であれば二次創作を楽しんでもよいとされて成り立っています。
その上で、二次創作の在り方としては本来、公式に迷惑をかけないように個人個人がモラルやルールを守って活動するべきであると考えています。
勿論、公式(版権元)に迷惑がかかるリスクのあるような二次創作物を作らないことが大前提です。ですが、作り手としては無自覚だった部分に第三者から二次創作活動に関する指摘や意見が入った時は、その指摘や意見を即座に全て誹謗中傷と決めつけるのではなく、明らかに悪意のあるものを除いてまずは一旦受け止め、立ち止まって考え、時にはリスクを考慮して作製や頒布等を控えたり、内容を変更したりするということも視野に入れておいた方が、より安全に二次創作を楽しめるのではないでしょうか。そういった柔軟な考え方が出来る方が、一人でも増えてくださればいいなと思います。
そして、もし誰かが立ち止まれずにいた時には、周囲のフォロワーや友達同士できちんと止めてあげられる空気づくりもまた、大切なのではないかと考えさせられました。
この度は本件に関わる一連の問題提起にあたり、お騒がせいたしました。
この先の二次創作活動において、主催様を始め、少しでも多くの方が同人活動として「非公式グッズ」を作って頒布することにはらんだ法的なリスク、そしてモラル面での問題をご理解の上で、楽しく創作活動できるコミュニティとなることを祈っています。
ケイト受ノベルティ問題再提起用アカウント
◼️引用リンク集
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