見出し画像

小説のWord設定/原稿レイアウト



はじめに

私はWordで書いてPDFに出力していつも入稿しています。Wordはもともと英語圏に適したものであり日本語で文章を打つのには不向き、またWordの設定なども複雑で、特に本文レイアウトに苦戦する方も多いと思います。私自身も最初苦戦し、何度も改変して現在自分の好きなレイアウトで本文を作っています。
そこで今回は私の本文レイアウトを紹介したいと思います。あくまで私個人が気に入っているレイアウトですので参考程度にしていただければ幸いです。

2023/12/25 追記
Twitter(X)のスペース機能でこちらの記事の解説(一人語り)をしました。合わせてお聞きいただけるとよりわかりやすいかと思います。
※前半は装丁、後半がこちらの本文の話をしています。



前提として

・Wordで作っています。
・私個人は「字が大きめ」「行間に隙間がある」レイアウトが好きです。
 ⇒イメージはライトノベル文庫のレイアウト。
 ⇒岩波文庫などのレイアウトは苦手です。


A5サイズ:二段組

A5サイズは版が大きいため2段組がおすすめです。
1段組でも読めますが、人間の視線の動き的に上から下へ動かすと疲れやすくなるため、2段組にして1文を短くし視線の動きを減らした方が読みやすくなります。

文字数と行数

文字数26文字ですが、何故か私のWordは「設定数マイナス1」の数で表示されるので26文字にしています。実際は25文字です。
行数は20行。これ以上に大きくすると行送りが13pt台になるので避けています。一方で小さくすると今度は行間が空き過ぎて児童書のような印象になってしまいます。
A5サイズは版が大きい紙ですので、文字を小さくすると読みにくい印象があります。なので8.5pt~9ptが良いかな、と思います。
先ほど出た行送りですが、14pt以下にするとふりがなを表記する際文字が被ってしまうので、14pt以上になるよう設定しています。個人的に14pt~15pt台が見やすい印象です。16ptは大きすぎる印象です。
また行送りがこちらの設定画面で分かりましたら、必ず固定値の方でも設定してください。時々反映されないときがあるので...…。

余白

余白を設定する際は、必ず上下左右マイナス3mmの仕上がりになるのを前提に設定ください。これを忘れると出来上がった時若干違うイメージなるので......。
A5サイズは大きい版ですので余白を大きく取ると綺麗な見栄えになる印象です。逆に余白を開けないと全体的に文字が印刷されている領域が広くなり、開いた時にすこし気圧されます。
外側はページを捲り・指を置く位置にある余白のため、指を置いても文字が被らない程度に余白を開けるのがおすすめです。
天地(上下)の余白は、天<地で余白を大きくするのがおすすめです。視線の動き的に下まで動かすと疲れやすいため、地の余白を大きくして全体的の文字を上の方に位置させるのがおすすめです。

サンプル
実物



A6(文庫)サイズ:一段組

文庫サイズはやはり1段組がベストでしょう。
2段組だと小さくなりすぎてしまうので見にくい印象になってしまいます。2段にするならA5,B6,新書サイズが良いかと思います。

文字数と行数

文庫サイズの文字は8ptだと小さくて読みにくい、9ptだと大きすぎる、という印象なので無難だ8.5ptに設定しています。
また文字数40文字前後が良いイメージです。それ以上だと詰まりすぎ、以下だと空きすぎ、な印象です。
行数は15行以上~20行以下なら妥当かな、と思いますが、私自身がよくふりがなを振ること、行間を詰め過ぎたレイアウトが苦手なこと、から行間のあるレイアウトで作っています。イメージとしてはライトノベル文庫のレイアウトに近いかと思います。

余白

先ほどは天<地で余白を大きくする、と書きましたが、私は文庫本で出す場合、ノンブルを天に記載しています。その関係で余白を天>地に設定しています。
外側の余白は15mm以下になるように設定しています。大きすぎると版がもともと小さいのにさらに文字面積が小さくなってしまうので気を付けています。

サンプル
実物



B6サイズ:一段組

B6は市販の単行本くらいのサイズ感です。
一段組・二段組とも似合うサイズなので、個人的に万能サイズと思っています。

文字数と行数

文字数43文字、文字サイズ9pt、行数18行、行送り15.5pt、と比較的行間に余裕があるレイアウトにしています。個人的に行数は19行・20行くらいでもいいかな~と思っています。しかしふりがなを振る場合は14pt以上は無いと被る場合がありますので、そこを気を付けるようにしています。また文字サイズも8.5ptでも問題ないサイズかと思われます。

余白

作ってみた感じだと、のどの部分をもう少し余白を開けても良いかな、と思いました。以上の設定でも読めなくはない妥協範囲ではあるが内側に寄っているので、あと2,3mmは増やしても良いかもしれません。

サンプル
実物



A5正方形サイズ:一段組・中綴じ

A5サイズの正方形は可愛らしいサイズです。
二段組のものも見ますが、個人的に二段組は小さくて見にくい印象なので一段組で作成しています。そちらの方が絵本っぽくて可愛い印象です。

文字数と行数

A5正方形サイズはほぼほぼA5サイズの半分くらいの大きさのため文字サイズは9ptだと大きい印象でしたので8.5ptに設定しています。
またこのレイアウトはのどが無い中綴じを前提に作っていますので行数も増やしています。

余白

このレイアウトは中綴じのためのど(とじしろ)はありません。しかし、少しとじしろを設定した方が個人的に中綴じでも読みやすい印象でしたので設定しています。
また天地の余白は、天にタイトル、地にノンブルを設定しているので、それを見越して余白を設定しています。

サンプル
実物



最後に

此処まで書いてきましたが、結局のところ自分が好きなレイアウトはそれぞれなので、何が正解・不正解は存在しません。同人誌や市販本などを参考に少しずつ調整し自分の好きなレイアウトを作るのが良いと思います。
ただし人間の文章を読むときの視線の動き(縦文章)として、視線を下から上に持ち上げるのは疲れる行為であるため、それを削減するために「二段組などで1文章を短くする」「地の余白を取り文章全体を上に持って行く」などは読みやすい・見やすいに共通して言えることと思います。
また個人的には「外側の余白を指を置いても文字が被らない程度空ける」、「のど(とじしろ)の余白は余分に取っても問題ない」の2点はどのサイズの本にも言えるかと思います。

以上が私の小説レイアウトになります。
参考程度にして頂けたら幸いです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?