東京という保冷剤

こないだ、東京に行って来た。



学生の頃、夢を追いかけて、
なんかしょっちゅう行ったっけ。
良くも悪くも冷たい場所。
_____お前は本当にその夢を追いかける覚悟があるのか?ないだろう、帰れ!今すぐに!
どこからともなく誰かのそんな声が聞こえてくるような気がして、大学生の私はいつも、足早に東京を去っていた。


今回も一泊だけして帰った。すぐ帰った。
特に理由があって行ったわけじゃない。
強いて理由を言うとすれば、
なんか東京の冷たさが恋しくなったから。
それはこの夏が異常に暑いからなのか、
マッチングアプリで誰かと関わり続けることに疲れ果ててしまったからなのか。
まあいい。
とりあえず東京へ行けば心を冷やせる気がした。


アプリで出会った人のことを
本当に好きになれるものなのか?
そう思う人は多いだろうし、
私も思ったことはある。
でもさ、なれるときはなれるんだよな。
とはいえマッチングアプリは、お互いに同時進行の相手がいるという残酷すぎる現実があるだけに、うまくいくことはほぼないんだけど。

また会えると思ってLINEを交換しても、
ちょっとラリーをしたら、
はい、突然の未読無視スタート。
私は未読無視がそれはそれは苦手でして。
読んですらもらえないのかァと。
(もちろん私がもう会いたくなくて無視してしまうこともあるけど、既読はつけます。それが私なりの誠意なんだけど理解してくれる人いるかな?)
未読無視が始まったら私はサッと身を引きます。
サヨナラと送ってブロック削除。
どうしても傷つきたくないんだよな。
どうしても、どうしても。

"返事がないことが返事"
どこかで見たか聞いたかしたこの言葉。
あーあ、恋愛ってなんでこんな残酷なんやろう。
好きになれたのに、結局サヨナラを自分から送ってしまった相手のことを思って今日も胸が痛いけれど、この胸の痛みは期限付き。
どうせ1週間くらいで消える。
それは間違いないの。いつもそうだから。
でも、傷跡まで消えるわけじゃなくて、
その残った傷跡が積み重なって
涙が出るほど痛むことはあるんだよ。
東京という保冷剤でしっかり冷やして、
この暑い夏と、
未読無視の痛みを乗り越えられたらな。



それにしても東京はやっぱり冷たかった。

_____やっぱりお前は結局夢を捨てたんだな、帰れ!今すぐに!

そんな声が聞こえた気がして、
また夢を追いかけたい気持ちが少し顔を出した。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?