戯曲　こじらせプリン②

愛希　・・・は？

まみ　いやだから、会いに来たんだってば。神様に言われて。

愛希　・・・は？

まみ　愛希ちゃん、は？しか言えないわけ？

愛希　いや、だって、そんなこと言われても。あなたが言ってること意味わかんなさすぎですよ。

まみ　まあそりゃそっか〜。（咳払い）では、１から詳しく説明しよう！

愛希　最初からそうしてくださいよ。

まみ　えっとまずー、私、まみっていうんだけど、もう死んでます！

愛希　・・・は？

まみ　つまり、わかりやすく言えば、幽霊ってこと！愛希ちゃんにしか見えてないの！意味わかる？

愛希　わかりません。

まみ　まあとりあえず信じて！

愛希　いや無理でしょ。

まみ　私さー、生きてるとき別に大して悪いことしなかったし、死んだらすぐ天国に行けると思ってたんだけどー、そんなに甘くなかったわ。神様がさ、愛希っていうプリンをちゃんと食べられない女の子がいるから、天国に行きたいならまずその子に会ってこいとか言い出してさー。ほんと意味わかんない。しかも愛希ちゃん普通にプリン食べてるし。消費期限切れてるけど。

愛希　何で私と会ったら、あなたが天国に行けるようになるんですか。全く理解できません。

まみ　私だってさっぱりわかんないよー。てか愛希ちゃんそろそろ敬語やめてよー、これもなんかの縁だってー、ね？仲良くしようよー。まみちゃんって呼んで！

愛希　死んでる人とご縁とかないと思うんですけど。

まみ　（愛希の身体をユサユサしながら）だーかーらー、敬語やめてー。

愛希　もーうるさいなー。はいはい、わかりました。えっとーまみちゃん？だっけ？もしまみちゃんの話がほんとなら、もう私に会えたんだから天国行けるんじゃないの？とっとと帰ったら？どこから来たのか知らないけど。

まみ　そいえばどこから来たんだろ私。海かな？

愛希　何で海。

まみ　私さー、海で死んだの！

愛希　え？もしかして溺れて死んじゃったってこと？溺死ってこと？

まみ　うん、そう。

愛希　（必死な感じで）私泳げないから、水に溺れて死ぬのだけはほんっとに嫌だって小学生の頃からずっと思い続けてる。絶対死ぬほど苦しかったでしょ。大丈夫だった？

まみ　あはは！大丈夫も何も死んじゃったから私！やっぱ愛希ちゃんおもしろいねー！まあ確かに苦しかったけど、自分で決めたことだしなんか平気だったよー。

愛希　自分で決めた？どういうこと？

まみ　え、普通にそのままの意味。

少しの間。愛希の表情が険しくなる。

愛希　・・・。自殺ってこと？

まみ　ピーンポーン！当たり！そんな暗い顔しないでよ、全然大丈夫だって！死んでるのに大丈夫ってなんか変な感じするけど。

急に黙り込み、下を向く愛希。

愛希　・・・。

まみ　ちょっとー愛希ちゃーん、どうしちゃったのー。

愛希　・・・すごいね。

まみ　ん？なにが？

愛希　・・・。自殺できてすごいね。

（続く）