結婚式に忘れ物をした

先日、私は親友の結婚式に行った。
「結婚することになった!」
と報告を受けたときからずっと、
"彼女の結婚式に行くときには忘れ物をしたい"
と思い続けてきた。
そしてちゃっかり忘れ物をした。

忘れ物をしたいと思う理由は
以前記事にしたので
↓こちらを読んでいただけたら嬉しいです。


なんだかんだで、
私は彼女の結婚式を大変楽しみにしていた。
まずそもそも
結婚式というものに
行ったことがなかったからね。
しかもそんな私に、
受付という大役を任せてくれてとても嬉しくて。
ネイルを新しくして💅、
めっちゃ高いまつげ美容液で
まつげをフッサフサにして👀、
綺麗なピンクブラウンに髪を染めて💇‍♀️、
まるでデートに行くみたいに色んな準備をして
その日を心待ちにした。
"絶望を持って行ってしまったらどうしよう"
なんて思っていたけど、
きっと忘れて行けそうだなと安心していた。
ちゃんと忘れ物をできそうだな、と。

そうして迎えた親友の結婚式。
私は、
大号泣をぶちかました。
彼女の親御さんやご親族の方たちよりも
泣いていたと思う。
みんなスマホやカメラを構えて、
バージンロードを歩く2人の姿を
必死に追っているのに、
私だけが下を向いてズビズビ鼻を鳴らしていた。
恥ずかしいから泣き止みたいと思うのに
涙が次から次へと出てきてしまい、
どうしても顔を上げることが出来なかった。
この世のものとは思えないほど綺麗な
花嫁姿の親友を
ただ見ることさえも出来なかった。

泣いてしまった理由は
"親友が綺麗過ぎて"
とかそんな綺麗な理由なんかじゃない。
もっと自分勝手な、
誰にも共感してもらえないような、
しょーもない理由。

_____"親友のことが羨ましくてたまらなかった"
だから、泣いた。

ドラマでしか見たことのない光景が
目の前で繰り広げられていた。
何言ってるかわからない牧師さんのお話も、
指輪の交換も、誓いのキスも、
お父さんお母さん
今まで育ててくれてありがとう的なやつも、
幸せに満ちた弾けるような笑顔も、
私は虚構の世界にしか存在しないと思っていた。
だって、そう思わないと、
自分がそれらと無縁な人生を生きていることに
とても耐えられなかったから。
でもそれらはしっかりと現実の世界に存在し、
よりにもよって
自分の目の前で繰り広げられられていた。
もう、泣くしかなかった。
私も親友と同じ女性として生を受けたのに、
それなのに、
私の人生にこんな幸せな出来事は
きっと訪れない。

そう思ったら、涙がずっと、止まらなかった。
辛うじて立ってはいたけれど、
少しでも気を緩めたら、
膝から崩れ落ちて
子供のようにわんわん大きな声をあげて
泣いてしまいそうだった。
わざと卑屈になって
そんな風に思ったわけじゃない。
そんな風に思いたかったわけじゃない。
良いことだけを考えようと頑張っても、
自分がいつかこんな空間の中で
幸せそうに笑う姿をイメージすることは
どうしても、どうしても、できなかった。

泣きながら私は、
もうひとつ忘れ物をしたことに気付いた。
何を忘れたかって?_____ハンカチ。
コロナも落ち着いて
お手洗いにある手を乾かす機械も
きっと使えるようになってるだろうから、
ハンカチはいらんだろうと思って
持って来なかった。
でも、こんなに泣いてしまうなら、
持って来たらよかった。
なんで持ってこうへんかってん、私のあほ。

でも、私が結婚式で流した涙は、
本物の涙だったと思う。
自分の意志ではどうにも出来ない涙。
必死に生きているからこそ流れた涙。
誰にもわかってもらえないかもしれないけど、
親友の結婚式でズビズビ泣いたことで、
"私は今、必死に生きている"ということを、
しっかりと確かめることができたのです。

羨まし過ぎて泣き過ぎて
一瞬しか顔を上げられなかったけど、
私の目に私の涙越しに映った花嫁姿の親友は、
私が彼女を見てきた10年間の中で
間違いなく、いちばん綺麗だった。
結婚おめでとう、大好きだよ。


私は弱くて泣き虫だから、
これからも誰かを羨ましく思いながら、
泣いて泣いて生きていくんだろう。
でもどんなときも、
流した涙は偽りのない本物の涙だって
胸を張って言えるように
必死に、生きていこうと思う。
そして、どこへ行くときも
必ずハンカチを持っていこう。




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