戯曲 こじらせプリン⑥

愛希 え、怒られるの?神様優しいんじゃなかったの。

まみ だって私めちゃくちゃ怒られたもん。

愛希 なんて怒られたの?

まみ 『バカああああああーーーーーーーまみの人生にもちゃんといいこと用意してたのに、なんでもう死んでんのバカああああああーーーーーーー!』って言われた。あ、これほんとだから。マジの話。

愛希 へえー・・・。

まみ なんか神様いわく、神様はこの世界に生きてる人全員の人生をちゃーんと見てるらしくて、いいことも悪いことも両方ちゃんと用意してるらしいわ。うそかほんとか知らないけど。で、私の人生にもそろそろいいこと起こそうかなーと思ってた矢先に、私が世界を裏切っちゃったってわけ。

愛希 なんか、なんかすごいね。神様と会話とかシュールすぎて・・・。

まみ でね、私もムカつくから、そこで言い返してやったの!『もっとマシな人生にしろや!このポンコツ神様が!』って。

愛希 神様にケンカ売るとかまみちゃん強すぎ・・・。

まみ なんか相当いいこと用意してくれてたらしいけど、『世界を裏切ったこと全く後悔してないから!』って言ったらなんか納得してくれた。

愛希 納得?

まみ なんか、神様の一番の望みは、『みんなが後悔なく人生を終えてくれること』なんだって。ほんと神様って勝手だと思わない?

愛希 え、勝手?なんで?

まみ だってさあ、自分の気まぐれで人の人生にいいこと起こしたり、かと思えば悪いこと起こしたりして散々振り回しといて『後悔なく人生を終えてほしい』だなんて、ほんとめちゃくちゃ!

愛希 (激しくうなずきながら)うん、たしかに。まみちゃん言えてる。

まみ (空に向かって叫ぶ)このポンコツ自己中神様がああああああああーーーー!

愛希 ちょっとまみちゃん!今何時だと思ってんの!静かに!

まみ あはははは!愛希ちゃんまだわかんないの?私にはもうこの世界に怖いものなんてないの!

愛希 は?何の話?

まみ だからもしさっき愛希ちゃんが警察呼んでたとしても、実は何の意味もなかったんだよね〜!

愛希 待って待って。全く話がつかめない。

まみ 私のこと見えてるの愛希ちゃんだけだってさっき言ったでしょ?

愛希 そいえばそんなこと言ってたね。

まみ だから、私の声が聞こえてるのも愛希ちゃんだけ。

愛希 え、そうなの?

まみ だからお巡りさんには私の姿も声もわからない!それにこんな時間に叫んだって何の問題もなーい!(叫んで)このポンコツ神様があああああああーーーーーーーーーーー!

愛希 はいはいもうわかったから静かにっ。私の鼓膜が限界。ていうかそれ、神様には聞こえてるんじゃないの?

まみ あ。

愛希 また神様に怒られても私知らないからね。

まみ まあいっか〜すでに一回神様にケンカ売ってるし怖いものなんてない!

愛希 まみちゃんこの世にもあの世にも怖いものないとか最強・・・。いいなあ、うらやましい。

まみ やっとなくなったの。私にも怖いものくらいあったよ。生きてるときは。

(続く)

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