ダブルバインド（二重拘束）を防ぐ

慣れてくると増える悩み

新入社員が入社して２ヶ月がたちました。
会社にも慣れてきたと同時に、ストレスも溜まってきているのではないでしょうか？

ストレスの原因は様々ですが、会社の状況や社風も理解できないままに、納得できないことがあると大きなストレスになります。

新入社員研修では「わからないことがあれば、何でも聞いてくれ」と言われたから、言われたとおりに

「これは、どうしたらいいんでしょうか？」と先輩や上司に聞くと

「そんなことくらい自分で考えろ！」と言われてしまい、どうしていいかわからなくなってしまいます。

これは、どの会社でも起こりえることです。

これを二重拘束（ダブルバインド）といいます。（私の若かりし頃は、二重拘束はよくありました）

ダブルバインドの弊害

矛盾した２つ以上のメッセージを受けとると、どうしていいかわからずに精神的に束縛された状態に陥ることです。

ダブルバインドがあると新入社員は、行動できなくなり、萎縮し、自信を無くしてしまいます。

もっとひどくなると、心の傷となり、心療内科や精神科に通うようにもなり、退職してしまうこともあります。

下手をすると、パワハラで訴えられる可能性もないとは言えません。

これを防ぐためには、会社ではダブルバインドは起こりうることを新入社員に伝えることです。

また、先輩・上司の伝え方、言い方を変えなければなりません。

「これは、どうしたらいいんでしょうか？」と聞かれたときに

「君はどうしたらいいと思った？」と言えれば、新人も落ち込むこともなく、考えて答えたはずです。

しかし、伝え方やコミュニケーション方法など表面的なことを教えただけでは効果は続きません。
すぐに、もとに戻ってしまいます。

価値観が起こすダブルバインド

ダブルバインドを根本から無くすには、その人の価値観を知ることがとても大切です。

なぜなら、話す言葉にはその人の育った環境や経験が大きくかかわっており、無意識で言ってしまっているからです。

「そんなことくらい自分で考えろ！」と言った先輩や上司には、

「自分が新人の頃はできて当たり前だった」「人に聞く前に、まずは自分で考えろ」などの思いがあったはずです。

この思いこそが、その人の価値観です。

伝え方も大切ですが、最も大切なのが自身の価値観を知ることです。

自分の価値観をストレートに新人にぶつけてしまったために、ダブルバインドが起きました。

先輩や上司の発言が違っていれば、ダブルバインドにはならなかったでしょう。

ダブルバインドを避ける方法

経営トップもダブルバインドに気を付けなければなりません。
環境の変化が激しい現在、トップの発言が変わるはままあることです。

ある私立学校の例です。
理事長は常に教員に向けて「学生に素晴らしい教育するために、能力を存分に発揮してほしい」と激励をします。

しかし、教育も大切ですが、学生数が減少するなか、学生募集も大切です。

私立学校の場合、学習募集ができなければ、経営が成り立ちません

そこで、理事長は「学生募集のために、学校回りをせよ」と指示を出したのです。

教員は「学生を教えるために来た、学生募集は私たちの仕事ではない」と憤っていました。
これも、ダブルバインドです。

若年層の減少を考えれば、理事長の気持ちも痛いほどわかります。
しかし、理事長はストレートに言いすぎました。

言い方を変えれば、そこまで教員は反発しなかったはずです。

もしも、「皆さんの素晴らしい教育をぜひ各学校の先生方に伝えてきてほしい」だったらどう感じたでしょうか？