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21歳のヨーロッパひとり旅27_(1989年の夏 45日間)

●アンナさんちで1日のんびり
(1989.8.10)
 昨日は午前中雨が降り、午後も曇って夜霧が深かったが、今日は穏やかないい天気である。夏だが、なぜかうららかな春の陽気のような感じ。

 お昼も済んだので、イスを家の外へ持ち出し草原で日向ぼっこをしているところである。
 となりでは、アンナさんの家にいつのまにかすみついてしまったという2匹のネコが、ゴロゴロのどを鳴らしながら寝そべっている。
 時々聞こえる虫の羽音。木々のざわめき。遠くの畑のトラクターの音。花壇には幾種類もの花々。
 裸足で草を踏む。
 最高にリラックスできるところだ。
 「What's マイケル!?」のようなネコがすり寄ってきたのでちょっとからかってやる。ネコと遊ぶのは面白い。

 一人で旅をすると、自分がまず動かなければ何も始まらない。これが誰かと旅をするのだったら、自分が何もしなくても何かが起こりうる。
 私の場合、誰かと一緒だとすぐ相手任せにしてしまうことが多い。そうすると、その体験の印象が薄くなってしまう。それは避けたかった。せっかくの若い時の体験である。より強烈なものでありたい。パンを買うことから情報を得ること、泊まる宿まで全て一人で決める。だから、楽しさも辛さもモロぶつかってくる。いい思い出を作るために旅をするのではない、ここに生きている自分を感じるために出かけていくのだ。数え切れないほどのハプニングの中で自分が見えてきた。その捉え方、対処の仕方、次に対する備え方、…と、ここまで書いて、なんだかそんなことがどうでもよくなってくる午後のいいお天気。
(続く)

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