凛子

24歳、フリーライター、本と映画が好き。

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べちゃべちゃのチャーハンがほんとうは世界一好き

うちは母子家庭だった。 といっても、寂しかった記憶はあまりない。 夜の仕事で昼夜逆転している母に変わり、祖母がずっと一緒にいてくれたから。 小学生の時に祖父が亡くなってから、高校生の時に母が再婚するまで、祖母、母、私の女だけで暮らしていた。色々思うところもあるけど、それでも楽しく過ごしていたと思う。 仕事をしている母に代わり家事は祖母の仕事だったので、料理も基本的には祖母が作っていた。朝はおにぎりかトースト、昼は素麺や蕎麦、夜はその日によって。 もちろん母が休みの日は

    • 本谷有希子「嵐のピクニック」の意図された悪意と狂気

      私は整理整頓というものがとことんできない。だからという訳だけでもないが、本棚から溢れた本は床やクローゼットやソファーの裏、バッグの中までありとあらゆる場所に存在している。 そもそも、本を大切にしたいという意識がないのだ。電子書籍は嫌いだからほとんど買わないが、紙の本であれば読めればいい。平気でブックオフで100円の本を買ってくるし、部屋で見当たらない本は買い直したりするから大掃除の時に4冊同じ本が出てきたりする始末。 そんなわけで、買ったものの読む前に本の海に消えてしまっ

      • ふざけんなって思うたび作ってたクッキー生地が溢れそうで焼く

        自分の中で、この気持ちの時はこれを作る、みたいにルーティーン化されている料理やお菓子がある。 例えば、落ち込んだ時は煮込み料理、なにかいいことがあった時は皮から作った餃子、など。気持ちが動いた時は総じて手の込んだものを作りたくなるのだ。 クッキーはなにか苛立つことがあった時によく作っている。以前noteに載せた第三回笹井宏之賞応募作「怒りつつ食え」でも後半でそんな短歌をいくつか作った。 ふざけんなって思うたび作ってたクッキー生地が溢れそうで焼く オーブンのブーンの音を

        • モルカーの監督制作「マイリトルゴート」の考察とその後

          えげつないものを観てしまった。 見里朝希監督の短編アニメーション映画「マイリトルゴート https://mylittlegoat.tumblr.com/ 見里朝希監督は、今流行りのモルカーという短編アニメーションでも有名な監督だ。 モルカーはその愛らしい見た目からネット上で人気になり、私も数話見たことがある。その時はこんなものか、と言った感想でそこまで刺さらなかったのだが、Twitterでおすすめされて同監督の「マイリトルゴート」をサラッと観た。これがえげつなかった。

        べちゃべちゃのチャーハンがほんとうは世界一好き

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          美術の先生と原点と小川洋子「原稿零枚日記」

          去年、ド田舎の最寄り駅に初めて喫茶店が出来た。4テーブルほどしかない小さい喫茶店で、女性の店主さんが一人で営業している。 今まで最寄り駅にふらっと立ち寄ってちょっと飲み物を飲む、というような店が皆無だったので、私は出来てから頻繁にその喫茶店を利用している。 店主さんは本人曰く40代らしいけど、私には30代くらいに見える。派手な美人というよりも、顔のパーツがあるべき場所に存在している、整った顔の女性。 私はこの女性が好きだった。いつも穏やかで、間接照明のような、ギラギラし

          美術の先生と原点と小川洋子「原稿零枚日記」