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法則を踏まえることの重要性

戦略コンサルタントのアップルです。
新年あけましておめでとうございます。

今年も頻度はさほど高くないと思いますが、たまに思いついたこと、感じたこと、大事だと思ったことなどを記事にしていきたいと思います。昨年を振り返ると、合計で13本の記事を書いていました。平均すると月1本のペースです。今年もそれくらいのペースでは何かしら書いていこうと思います。

近年はさして高い頻度で記事を書いているわけではありませんが、おかげ様でフォロワー数はじわじわと増え続けており、2,000人が視野に入ってきました(今日時点で1,865人)。最近書いた記事(フロー)がフォロワーを獲得しているというよりは、過去に書いた記事群(ストック)が主にフォロワーを獲得していると思われます。理由はともあれ、こうやって多くの人にフォローいただき、その中の一定割合の人に定期的に読んでいただいているとすればありがたいことです。ありがとうございます。

さて、今年の初回のエントリーのテーマは、「法則を理解しそれを踏まえて経営や事業をすることの重要性」についてです。

最近、とある本の中であるグラフをみて、やっぱり法則を踏まえることって重要だなとしみじみ感じたので、それについて書きたいと思います。

プロフェッショナルファームにおける法則

最近とある本で次のようなグラフを見かけました。

とある本に出ていたグラフ

コンサルも含むプロフェッショナルファームにおいては、おおむねこの法則が成り立つということです。売上が一定規模までは一人当たりの売上も伸びていくが、ある規模を超えると、一人当たり売上は減少していくという法則を示しています。

この背景として、その本では、ある規模を超えると在籍するプロフェッショナルの間に「専門性に重複」が生まれ、それが生産性の低下につながるためであると考察しています。

それ以外にも、規模が拡大するにつれて採用する人材の平均的な質が下がる傾向にある(少数精鋭ではなくなる)、プロフェッショナルを食わせていくために単価が安い仕事を取りにいくようになる、といった要因も背景にありそうです。

これはプロフェッショナルサービスにおける一つの法則ですが、この他だと、様々な業界に当てはまる法則としてV字カーブがあります。V字カーブは有名なのでご存じの方も多いと思いますが、横軸に事業規模(売上)をとり、縦軸に収益性(利益率)をとってある業界の各社の数値をマッピングすると、その傾向線はV字になるという法則です(下図参照)。

V字カーブ
(出所:https://www.miraiarch.jp/column/strategy/v/)

このV字カーブは、「中途半端な規模のビジネスが最も収益性が悪い。収益を出したいならこじんまりとニッチなビジネスを営むか、思い切って標準化・仕組化して規模の経済を追求するかのどちらかである」という大まかな法則を示しています。

さて、このように、自然科学が対象とする自然世界だけでなくビジネスの世界にもいろいろな「法則」があるわけですが、これを日常的にどれくらい意識できているかといえば全くもしくはほとんどできていない人が極めて多いと感じます。私のような経営コンサルタントですら、たまに法則が頭の中から蒸発してしまうときがあると実感します。

法則を意識せずにビジネスの事象に向き合うことは、いわば万有引力の法則やニュートンの法則を踏まえずに目の前の物理現象を考察するようなものです。このアナロジーで考えれば、それがいかに非効率で危険なことであるか、よくご理解いただけることでしょう。

コンサルティング業界で起きていること

例えば、本来は頭の良い人たちが集まっているはずのコンサルティング業界においても、一部のファームでは法則を無視した経営が行われているように感じます。

コンサルティング業界においては、冒頭紹介した「一人当たり売上高の法則」が基本的には成り立つわけですが、この法則を理解せぬまま規模拡大を追求しているファームも一定数あるのではないかという感覚があります。

ここ数年、コンサルティング業界全体が伸びているので、その流れにのって比較的小規模なブティックファームも成長を志向するのは自然といえば自然です。以下のようなノリというかシンプルなロジックで考えているところもありそうです。

・規模が拡大すればそれに比例的に利益も増える、利益が増えればパートナーなどシニア陣のボーナスも増える
・規模が拡大すれば、たくさんのクライアントを支援することができる。それによって業界における存在感も増すことができる。ブランドも高まる。

しかし先の法則が示すところは、規模拡大によるデメリットもあるということです。振り返ると、

①専門性の重複によって生産性が落ちる
②採用する人材の質が落ち、構成員の平均的な質が落ちる(非少数精鋭化)
③食わせていくために単価の低い仕事をとる圧力が高まる

少なくともこの3つのデメリットがあります。小規模だからこそのメリットや強みが、上記のようなデメリットによって徐々に削がれていくということですね。

規模を拡大したいというのは、人間のある種の本能だと思います。コンサルティングファームに限らず、どの業界の経営者にも共通する根源的な願望・欲望ではないでしょうか。だからと言って、欲望に忠実に規模拡大を妄信するのは危険です。規模拡大によるデメリットにも目くばせをし、そのデメリットを最小化させるような施策にも先手を打ちながら「効果的な規模拡大」を目指し実現できる経営者が、優れた経営者といえるのではないでしょうか。

そのためにはまず、自社を取り巻くビジネスの法則を知り、その法則を要所で想起することが必要です。
あなたの会社は、法則を踏まえた経営ができているでしょうか?

・自社に当てはまるビジネスの法則は何か?
・自社の経営はその法則にどの程度則ってなされているか?

そんな問いをもって見てみると、いろいろと気づきがあるかもしれません。


今回はここまでです。
最後まで御覧いただきありがとうございました!


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