社会復帰

ある引きこもりの人の動画を観ている

upするごとに
「待ってましたー」とコメントが並び、再生数が回転する
こんな優しい世界がかつてあったのか、と
それを視聴者ともども共有する

同時に
これがいつまで続くのだろう?
とも思う

本人は、これで収益化したくなく
Super Thanksとかも受けつけていない
それはとてもよくわかる気がする
自分は「施しを受けるような人間ではない」と思っているのだろう
実際に、そうだと思う

ないのは、彼の現在と社会を繋ぐ梯子で
何らかの理由でドロップアウトせざるを得なかった人たちが安心して元の世界に加われる仕組みで
誰もが意欲さえあればその能力を発揮できる社会
過去が、隠さなければならない恥ずべきものではなく
現在の自分を構成する一部として優しく受け入れられる関係性

そして、もし
こういう優しい言葉が溢れているならば
それを皆、発したい、そういう世界に棲みたいと切望しているならば
現在はそれを回収する仕組みがないだけであり
どうしたら、どのようにしてそれが可能になるのだろう?とも思う

目に見えない優しさが、この世の中にも常に溢れているのだと意識するには
私たちはあまりにも幼い

彼が
「ビジネス貧乏」として糾弾される日が来ないことを願う
みんなが、「あなたに会いたい」「一緒に飯食おうよ」と言う関係性が
これからも同様に保たれる中で社会復帰できることを願う
それは多分、らくだが針の穴を通るように難しいことだ

ドロップアウトした人間が
何らかの欠落があったのだと自動的にみなされるのではなく
「施し」「援助」を受けて再び自立するのではなく
最初から同じ目線で扱う組織があってもいいと思う
そういうタイプの人間もいると思う
「発達障害で」「仕事ができないから」ドロップアウトしたんだ、
そういう人でも働ける仕組みを作るんだ
そうではない人も、そうではない支援のあり方も、あると思う

「救いたい人が、一番救われたい人」
私は、世界を繋ぎたい