私が副会長に立候補した話5

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帰りの学活が始まった。私のクラスでは毎日MVPの人を日直が決めて発表する。
「今日のMVPは......」
日直が考えていると、私の隣の席の男子が
「いやどう考えても今日のMVP、りんごでしょ」と言ってくれた。その子は、おふざけキャラであんまり行事とか乗り気じゃない人だったから、余計驚いたしちゃんと伝わったんだなって嬉しかった。
そして、「MVPは、りんごさんです!」
みんなに拍手をされてまたもやとても嬉しくなった。

放課後、立候補者は全員結果が出るまで生徒会室で待機している。生徒会室にいくまで、友達や先生に歌よかったね、とたくさん声をかけてもらった。
待っている間、生徒会で貸し出している絵の具カップをみんなできれいに洗った。これがなかなか汚れが落ちなくて、綺麗になるまで大変だった。
あっという間に一時間経った。時刻は4時過ぎ。
「遅いね。去年ならもう出てたのに」

それからまた2時間。さすがに待ちくたびれていると、ガラガラと生徒会室のドアが開き、先生に続き、選挙管理委員の三役が入ってきた。
「はい、結果出ました。適当に席についてください」
「まずは選挙、おつかれさまです。これだけ長引いたのは、票数が僅差であったためです。みなさん素晴らしかったと思います」
委員長の話にひとまず安心した。圧倒的に負けたわけじゃないんだ。でもだからこそ期待が胸に膨らんでしまう。
「では、会長から発表します。会長 〇〇さん信任です」
ありがとうございます、という声と拍手が響き、おさまった。
「副会長 〇〇さんと....

りんごさんです。

えっ....?嬉しさより先に戸惑いがでる。落ちた先輩の方は怖くて見れなかった。

その後も次々と名前が呼ばれていき、書記長は2年生の先輩が受かった。

全ての発表が終わり、先生が話し始めた。
「はい、さっきも言ってたけど、本当に僅差でした。だから何回も票数数え直してそれで出た結果です。本当に素晴らしかった。落ちた奴が良くなかったわけでもないし受かった奴が偉いわけでもない。だから、これからの一年みなさんの活躍を期待してます。では解散。お疲れ様でした」

ガタガタとみんなが動き出した。ちょっといい?、と落ちた二人が先生に呼ばれ、生徒会室を出て行った。

すっかり暗くなった道を一人歩きながら、私は泣いていた。
先輩を落としちゃった、どうしよう。これから私が副会長で大丈夫なのかな。
不安が胸を支配し、素直に喜べなかった。

家について家族に報告すると、おめでとうよかったね、と自分のことのように喜んでくれた。それでやっと、受かってよかったという気持ちになれた。

1年生で副会長になった私。

しかし、それが私を苦しめることになるとはまだ知る由もなかった。

#生徒会 #副会長 #選挙 #中学 #学校

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