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「とりあえず出てみよう!」と踏み出したら、自分が変わった。世界が変わった。

今年もエントリーが開始しているアプリ甲子園2023!

今回はアプリ甲子園の過去のファイナリスト・アプリ甲子園2021準優勝である、保坂篤志さんにインタビュー。

実はアプリ甲子園2020では1次審査に応募するも落選してしまった保坂さん。彼が当時出場した際にどのような気持ちだったのか、どのような形でアプリ甲子園に臨んだのかを深ぼってみました。
アプリ甲子園とはどのような大会なのか、出場者たちの胸中とは。当時の彼のアプリ甲子園に対する思いを垣間見ながら、アプリ甲子園の魅力に迫ります。

たまたま目にしたアプリ甲子園に感動、「自分もやってみたい!」

アプリ甲子園2021 準優勝 : 保坂篤志さん

――保坂さんがアプリ甲子園出場を決断したのは、どういうきっかけですか?
 
保坂:プログラミングスクールで、 2019年大会の決勝の様子がずーっと流れていたんです。それで、準優勝した作品のプレゼンを見てすごく感動して……。ダントツにおもしろいと思いました。「こんなアプリがあるんだ! こんなものが作れるんだ!」と思って、自分でもやってみたいとものすごく興味を持ったのが始まりです。それで2020年の大会に応募したんですが、一次予選で落ちてしまいました。
 
――それが悔しかったんですよね。
 
保坂:すごく悔しかったです。色盲などで色の判別が難しい人が色を判別しやすくなるアプリを作ったんですけど、「こんなのがあったらいいな」という、自分の単純な興味だけで作ってみた感じでした。だからあまりうまくいかなかったんですね。自分のモチベーションが高まっていないときは頑張れなかったし、グダグダしていたところもあって、目標をしっかり目指さなかったところは反省しました。精一杯できなかったことも、一次で落ちたことも、すごく悔しかったです。
 
――2021年は単語学習のアプリを作ったということですが。
 
保坂:はい。このアプリは、自分がほしいという気持ちだけでなく「大会に出す」ことを念頭に置いて、アイデアのところから「斬新さってなんだろう」とか、「人の興味を引けるアプリってどんなものだろう」と考えて作りました。

夏休みは1日6時間作業した日も

 ――アプリ開発は、どういうスケジュール感で進めていったんですか?
 
保坂:初めて出した2020年は、3カ月ぐらいで作りました。2カ月でデザインを考えて、残りの期間でプログラミングをやろうとしたので間に合わなかったし、デザインもまちまちなみたいなところで終わってしまって。
それで一次予選で落ちてしまったんですけど、その通知が届いた次のスクール日から、「次のアプリ甲子園ではやってやろう!」という気持ちになっていました。高3で最後の年ということもあって、「なんとしても」と思いながら1年がかりで作りました。アイデアを練るだけで半年ぐらい使いました。
 
――高校生活を送りながらアプリ甲子園の準備をするのは、すごく大変なことだと思います。どうやってモチベーションを保ってきたんですか?
 
保坂:一つは悔しさがあるんですけど、もう一つは、アプリを作るのを純粋に楽しんでいたということがあります。自分は単語を覚えるのが本当に苦手だったので、「これができたら楽しいだろうな」と思いながら作っていたし、アプリがちょっとできたところで使ってみたらすごく勉強できたので、それがうれしくなって。だから頑張れたところもあります。そしてやっぱり、メンターさんがずっと一緒に寄り添ってくれたのが大きかったと思います。僕はアイデアを出すのが苦手だったので、メンターさんにいろいろなやり方を提案してもらいました。知らないところや専門的なところはメンターさんに付け加えてもらいながら、100個ぐらいアイデアを出したと思います。その中で、自分の実力と内容のおもしろさが一番かみ合っているものを選びました。
 
――そうやって教えてもらいながら自分で開発を進めたら、知らなかった技術もどんどん自分のものになっていきますよね。
 
保坂:そうですね。アプリが完成するころには、少しは分かるようになってきた感じでした。いまでも、そこで学んだことや新しく得た知識がアプリ開発で生きることはすごく多いです。本当に大事な経験だったと思います。
 
――学業と両立する中で時間を捻出するのは、やっぱり大変でしたか。
 
保坂:時間の捻出は頑張りましたね(笑)。特に、夏休みの間は一番頑張っていたと思います。スクールでは、「夏休みは開発を頑張ろう」ということで、何時間作業したかを記録できるようになっていたんですね。自分の記録を見返してみたら、1日6時間なんて日もたくさんありました。
 

自分がやり切れたことが何よりうれしかった


アプリ甲子園2021 保坂さんの作品 : 「WordCam」

――開発期間中に一番大変だった部分はどこでしたか。
 
保坂:結構ありますが、特に四つあります。
一つ目がアイデア出しの部分です。すごく長い時間をかけています。自分の中ではすごく苦手なところで、もう、「何を作ればいいの……」ぐらい、作る・アイデアを出す、っていうのをずっとやってたから、それが大変なところはありました。
二つ目が、デザインを考えるところです。いままではデザインはあまり重要視していなかったのですが、開発中、デザインはアプリの質を高めたりユーザーが楽しく使えるようになったりと、アプリを使い続けてもらう上で大事なところだと気づいたんです。だから、すでに出ているアプリですごくいいデザインだと思ったものを根こそぎ集めてきて、たくさん考えました。メンターさんにアドバイスももらって、修正を重ねて、最終的には第8バージョンぐらいのデザインで決まりました。
三つ目がプログラムを書いているときです。特に、6割ぐらい完成した時点が自分の中では一番しんどくって……。自分の知らない知識を求められるし、何を直せばいいか分からないバグみたいなものも延々と出てくるフェーズに入ってくるんですね。そういうものを直していくことや、難しいことを学んでいくことがすごく大変でした。
最後はプレゼンです。制限時間が決まっている中で、最も効果的に自分のアプリをよく見せるには何をすればいいのか、何を話せばいいのか、それを考えるのが大変でした。プレゼンも、第7バージョンぐらいまであるんですよ。
 
――ファイナリストに決まってから、練習の期間はどれくらいだったんですか?
 
保坂: 3週間から1カ月ぐらいあったかと思います。2次予選でのプレゼンを作り変える中で、話すことを考えて、スライドを作って、原稿も作ってしっかり話せるように覚えるところまで、すごく大変でした。プレゼンの練習は全部撮ったので、50録画ぐらいあります。
 
――率直に言って、ファイナリストに選ばれときはどんな気持ちでしたか。
 
保坂:めちゃめちゃうれしかったです! その前まで、死にそうなぐらい緊張していたんですよ。オンラインで二次予選のプレゼンをしてから、結果発表までだいたい2、3時間ぐらい空いていて、その間、自分は世界で一番緊張していたと思います。家の外に出てずっとうろうろ歩き回って……。
 
――準優勝は、ちょっと悔しくはなかったですか。
 
保坂:いえ、もう、全然悔しくなかったです。1ミリぐらいは悔しさもあるんですけど、準優勝まで行けたことが、まずうれしかったです。それと、ほかのファイナリストの作品がすごいものばかりだったから、僕はそこに並べただけで幸せで「この作品になら負けても納得だな」というところはありました。

アプリ甲子園に挑んだことで、確かな自信がゼロから再構築された

――アプリ甲子園に参加して何がよかったですか。
 
保坂:一つは、めちゃめちゃ高い壁というか、いい目標を与えてもらえる経験になったことです。1年間継続して頑張れるぐらい、いい目標でした。その先に大舞台があるので頑張り続けたことで、これまでで一番成長した年になりました。
 
――その前の2020年に出場した経験を振り返ってどうですか。
 
保坂:大会に初めて挑戦したことは、間違いなくいいことだったと思っています。
そんなに重たくとらえ過ぎず、「もう、とりあえず出しちゃえ」と出してみたことが、チャレンジの第一歩でしたから。悪かったのは、目指した時点で満足してしまって頑張り切れなかったことです。
 
――そのことに高校2年生で気づけたのはすごく大きな財産だと思います。
自分自身や周りとの人間関係では、何か変化はありましたか。
 
保坂:まず、「保坂くんはプログラミングができる人」とガッツリ認知されるようになりました。友達からプログラミングの課題で質問されたり、「一緒にこんなアプリを作ってみない?」と声が掛かるようになったりしました。人のつながりは確かに増えたと思います。決勝で企業の人と知り合ってインターンに誘われて、いま、お世話になっているのもすごく大事な経験になったと感じます。
それから、自分が再構築された感じがあります。いままであった自分の自信が一度全部なくなって、ゼロになって、そこから新しい自信が形作られた感じなんです。それまで、本気でプログラミングを頑張ることはそれほどなくて、「楽しくやって、分からないことはメンターさんに教えてもらう」テンションだったけど、アプリ甲子園で真剣に挑戦したことで自分が確実にできることや自分の限界が明確になって、新しい自信というか、本当の意味で自分自身を支える柱が一つ生まれたと思いました。
 

「出してみよう」と決断したところからいろいろなことが始まる

――アプリ甲子園に出してみたいけど、ちょっと踏み出せない中高生もいると思います。そんな皆さんにコメントをお願いします。
 
保坂:やっぱり、重く考え過ぎてはいけないと思います。僕も、二次予選で結果を待つ間に本当に緊張して、その時は「成功しなきゃいけない」みたいに思い詰めていました。でも、挑戦することが結局一番大事なところだと思います。気負わず、「とりあえずやってみよう」ぐらいのテンションでいいのではないかと思います。
人に教えてもらうと周囲の期待を感じたり、ましてファイナリストになったら、いろいろな人から「頑張ってね」と言われたりします。でも、周りは気にせず自分が楽しくやればいいと思います。
 
――「甲子園」という名前がついていて、結構、ハードルの高いイメージを持っている方々もいるかと思うのですが、保坂さんも、初めて挑戦するときはそんな感じでしたか。
 
保坂:それはそうですよ。すごく怖かったです。何からやればいいのか、どれぐらい自分に力があればいいのか、こんな作品で本当に出していいのか……皆さんも、そういうことを考えてしまうかもしれないけど、「出してみる」と決めたところからいろいろ始まってくると思うんです。そこから、「大会のために、もっといろいろなアイデアを頑張ってみよう」と思い始めて、世界を見る目が変わることもあると思います。嫌になったらやめてしまえばいいんです。それぐらいの気持ちで、まずは「出てみよう」と自分の心の中で決断してみる。それが大事なことではないかと思います。
 
【インタビュー者:桝本 彩乃】


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<エントリー締め切り>
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アイデア部門:9月25日(月)


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