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IT思い出話(15)

E先輩の思い出

先に紹介した癒し的存在だったEさんですが、忘れられない思い出があります。

私がプロジェクトに入ってしばらくして、開発のフェーズが次のステップに進み、自社内での作業だけでは済まなくなったのでコンピュータセンタに基本、常駐するようになりました。

ある朝、出勤するとEさんの机の上に段ボール一箱のリストがでんと置かれていました。それはEさんが担当していたプログラムが異常終了したために出力された、実行結果のリストだったのです。

このようにプログラムが異常終了した場合に出力されるリストをコアダンプといいます。コア(core)とはコンピュータのメモリのことで、ダンプ(dump)とはダンプカーのダンプと同じで何かを吐き出すという意味です。

つまり、プログラムが異常終了した時のコンピュータのメモリの内部情報をすべて吐き出したリストなのです。本来なら技術者はこのリストをみてプログラムがなぜ異常終了したのかを解析するのですが、なんとEさんはそのリストの箱を開けもせずそのままリストを廃棄する置き場に持って行ってしまった(捨てた!)のです。

まあ、バグ探しの方法はいろいろあるので最初から段ボール一箱分のリストを追いかけるより、あたりを付けてから探す方が効率がよかったのでしょう。泣きながら何百ページもあるダンプリストを追いかけるというのは最後の手段だったのです。

またもう一つの思い出。Eさんは昇格をするのを嫌がって、昇格試験をすっぽかしてしまったのです。当時のプロジェクトマネージャのTさんが嘆いていたのを今でもよく覚えています。

昇格すると管理職的な立場になるのを嫌がって、そんな風にボイコットをするという風潮が当時の社内にあったのでした。

そんなこんなで、私の初めての仕事の毎日はあっという間に過ぎていきました。


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