ポルトガルのクラシック音楽名曲紹介

皆さんこんにちは。本日はポルトガル人作曲家によるクラシック音楽の名曲を紹介します。

(1)ルネサンス〜バロック音楽
この時代にポルトガルで作曲された楽曲の多くは、1755年のリスボン大地震とそれに伴う火災で失われてしまいました。今日残っている作品の中から、ここでは3人の作曲家の楽曲を取り上げます。

ポルトガルのルネサンス音楽を代表する作曲家として、M.カルドーソ(1566-1650)、D.ローボ(1565頃-1646)、ポルトガル国王のジョアン4世(1604-1656)が挙げられます。彼らの生きた年代的にはバロック音楽の作曲家と被っていますが、少なくとも現存する作品はルネサンス音楽の様式で作曲されているため、ルネサンス音楽のカテゴリーに括られるようです。ジョアン4世の作品はほとんど残っていませんが、カルドーソとローボの楽曲は宗教作品が現存しています。
ここでは両者による「死者のためのミサ」を聴き比べていただこうと思います。
・カルドーソ:https://youtu.be/ZKfHkQsTO6E
・ローボ:https://youtu.be/KmDN4nImbEY
ローボの作品はいかにも王道のルネサンス音楽という感じですが、カルドーソの作品は天上の音楽のような響きで、古い時代の音楽だと必ずしも感じさせないような不思議な趣があります。

・C.セイシャス作曲 ハープシコード協奏曲 イ長調
https://youtu.be/aOocxj4bEO4
セイシャス(1704-42)はD.スカルラッティと交流があった人物で、彼の作品で現存するものの大半は鍵盤楽器のための楽曲です。この曲は3楽章から成り、バロック音楽らしい快活でチャーミングな響きが魅力です。

(2)近現代
・F.ブランコ作曲 人工楽園
https://youtu.be/DkeGEeqKqyY
ブランコ(1890-1955)はポルトガル近代音楽を代表する作曲家で、ベルリンに留学したのちパリでドビュッシーにも師事しました。「人工楽園」はオーケストラのための作品で、ドビュッシーやラヴェルなどフランス印象派の作品が好きな方には聴きやすい作風なのではないでしょうか。またブランコは音楽学者として、ジョアン4世の研究も行っています。

・A.フラゴーソ ロマンチックな組曲
https://youtu.be/FFuAKFA4Lkc
フラゴーソ(1897-1918)は繊細な作風のピアノ曲や室内楽曲、歌曲などを残しましたが、インフルエンザの流行により21歳で生涯を終えてしまいました。「ロマンチックな組曲」はヴァイオリンとピアノのための作品で、「前奏曲」「間奏曲」「子守歌」「夜想曲」の4曲で構成されています。中でも「子守歌」は、流れるような曲調とどこか儚げな響きが魅力です。
フラゴーソの他の作品で筆者が気に入っているのは、ピアノのための夜想曲や、未完のヴァイオリンソナタです。

・A.J.フェルナンデス作曲 前奏曲とフーガ 
https://youtu.be/j8QiSZJc374
フェルナンデス(1906-83)はパリでN.ブーランジェに師事した人物で、ピアニストとして活動したのち作曲家・教育者として活動しました。新古典主義によるモダンで洗練された作風で、ピアノ曲のほかヴァイオリンやチェロのための曲を残しました。
「前奏曲とフーガ 」はほの暗い響きのプレリュードと、前衛的なテーマのフーガの対比が印象的な作品です。フェルナンデスの楽曲では他に、ピアノのための「5つの前奏曲」もおすすめです。

・J.B.サントス作曲 ピアノ四重奏曲
https://youtu.be/-VEBXFDbxtI
サントス(1924-88)はブランコに師事した作曲家・指揮者で、1945年にイギリスを訪れた際同国の作曲家であるR.V.ウィリアムズに勧められて、ポルトガルの民族音楽の要素を作曲に取り入れるようになったと言われています。サントスの代表作品は6つの交響曲で、他にもオーケストラのための作品や室内楽曲などを残しています。
この曲はブランコに献呈されたもので、エネルギッシュで疾走感あふれる曲調が聴いていて非常に耳に残る作品です。

なおここでは紹介していませんが、J.V.da モッタ(1868-1948)やL.コスタ(1879-1960)なども素敵な作品を残しています。
近現代のポルトガルの作曲家による楽曲は、モダンで洗練された響きが特徴的で、同時代のクラシック音楽が好きな方には非常に聴きやすいと思います。ポルトガルのクラシック音楽の魅力がより広まり、今後演奏頻度が増えることを願っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?