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人間たちの話:柞刈湯葉

本を読むときは表紙絵を眺めて、裏の短いあらすじを読んで場合によってはあとがきとか解説を読んでから本編を読んでいる。

別にめずらしくはないと思う。
プロローグからエピローグまで順番に読まないといけないなんてことはないでしょ。

人間【にんげん】(名)
自分をサピエンス(賢い)と呼ぶ唯一の哺乳類

表紙イラストの背景として書かれていたこの表現をひどく気に入った。

みんな、謙遜したりなんなりで自身の出来を低く見積もった振る舞いをするけれど、誰もが「平均よりは頭がいい」だとか「マシ」だと思っている。

私だってそうだもん。
頭の回転は悪いし、思考は右へ左へと散らかっている。お勉強もできた方でもない。でも一丁前に自尊心はある。

大学院まで進学している以上、一般的には「頭のいい人間」に分類されるのは理解している。学舎がお金を積めば大学院生になれる程度に競争倍率が低かったとしても。

私の場合は、ある程度「賢さ」に分類される知能が低いことを説かれながら生活してきていたベースがあるから傲ることはない(と思いたい)けど、ある程度実績ができてくると歪みが起こるのも仕方あるまい。

まぁ、そんな感じの人間だから、斜に構えているとも言えるのだけど、ちょっと奇妙な世界観は大好き。だからSFが好き。ディストピアとかの区別はついてないけど。

読了後にあれこれ思ったことを並べるために始めたnoteだったけど、「面白かったな」ですんなり終わったのは久々かもしれない。物語をそうそう読んでいないからかな。

面白かった。

少女終末旅行みたいな雰囲気から始まって、
超監視社会で、
人の都合でいろいろ変化するのは、修論の途中で細胞の分類が変わったらしいことを別のゼミの先生から聞いたときのことを思い出してちょっと嫌だったな。

石の話はマグリットも好きだしって思って読んでて、後で確認したら思ってた絵画と違ってた。やはり脳なんていうバグが多くて信頼ならない記憶装置に頼るのは良くない。

透明人間のはなしは、高校の頃に一次創作で作ったキャラの設定と似てて、でも不完全でうまく動かせなかった部分が明確になった気分。もう名前も思い出さない。あの頃の情熱?空想力?夢の世界はどこに行ってしまったんだろう。


とにかく、面白かった。
また読み返すと思うし、他の長編も読んでみたい。

あ、そうそう短編七芒星でも石の話があったけど、SF作家は石に抽象表現を負わせるのが好きなのかな?それとも1984みたいに有名なのがあるのかな?

珍しく感想らしい感想になった。
読書感想文自体は、参加賞のクリアファイル欲しさに角川によく送っていたくらいには得意な方だ。

一般的な「感想文」を求めてる人は他者の「感想文」で事足りるだろうから、私はこれで。

おわり

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