アポトーシス

現役パパ活女子大生

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最近の記事

お湯

「…あ」 確かお風呂の中だった。いつだって思考が深まっていくのはお風呂の中だから。両手で覆う目元が温かくて、膝を抱えてシャワーの音に包まれていた。 もう多分、言えるのかも。 そう気が付いて驚いた。誰に、何と言うか。誰に、の回答は「従兄弟のお兄ちゃん」で、何を、の回答は「あなたからの性暴力で私はこんなに壊れたよ」だ。 前回、シャワーに洗い流してもらいながら泣いていた時は、そのことを考えると瞬く間に動悸がして息が荒くなった。返してほしい回答はただ一つ決まっていて、それ以外

    • 就活用自己分析の副産物をnoteにしたもの

      余裕を持って生きていたい。自分の足で立って、必ず片手は空けていられるように。可能であればもう片方の手も空けていられるように。手を伸ばせば触れられる距離にいる人を、もう二度と失わなくて済むように。 もう二度と話せない間柄になってしまった「彼」にとって、世界は、息をするだけで身体に毒素が取り込まれる場所だったのではないかと思う。私が吸っても死なない気体が、彼の中では毒物として22年間蓄積されていった。そんな風に見えた。 恐らくそれが致死量に達する少し前に、かけてくれた電話を取

      • 沢山甘やかされる環境を自分で構築したくせに、いざ沢山甘やかされると不安になる。 いつかその甘えに足をすくわれて、今手の中にあるものを全てこぼす気がする。 そんな杞憂を毎日愛でて生きている。 本当はもっと享楽的で在りたい。現時点で十分に、十二分に享楽的な人間であるかもしれないが、もっと。命を軽んじるような享楽性を持ち合わせたまま生きていたい。 小女性を失っていく。成熟した女性を目指し続けたくせに、いざ20代の中盤を迎えながら不意に足が止まる。このまま進んでいく先に、私は

        • n回目の訂正とおじさんの贖罪(昨日の日記)

          「身振り手振りが多いよね。なんで?」 どういう意味だろうと思った。 「ほら今も、考える時に腕を組む。笑う時に手で顔を覆う。疑問に感じたら首を傾げる。全部アニメみたいだ。記号が多い。」 「確かに、そうかもしれないです」 「だよね。なんで?」 考えたことが無い。全部反射でやってる。でも前々から思っていたことがある。 「なるべく、相手に分かりやすく振る舞おうとしてます」 「なんで」 なんで?なんでだろう。でもこれも思い当たることがある。 「…敵意がないことを表明し

          実父がパパ活をしていたら

          「父が不倫をしているかもしれない」 新年明けて数週間後の出来事だった。LINEの通知で見て、同時に「あの父が?」と思った。母とのトーク画面に届いた一枚の写真。 そこにはやけにセンスの悪いパンツがあった。 幼い頃、父は博識で優しい人だった。どこか抜けていて茶目っ気があり、交友関係が広くて私を沢山可愛がってくれた。私も父が大好きだった。 そんな父の父(祖父)は、頑固で厳しく、自分が正しいと信じて疑わない、田舎の家父長制と男尊女卑を煮詰めたような人だった。そして私が大学に進

          実父がパパ活をしていたら

          初夜

          「今?元彼の家いる」 なにしてんのと笑う友人の温度感は想定通りで、本人不在のアパートで布団の上に寝転がりスマホをいじっていた。 『会員登録ありがとうございます』 の感謝を無視してページを進めていく。アプリの使い方の説明と、必要事項の記入を淡々と済ませる。プロフィールを作成しようとして、ふと手が止まった。自分の本名以外の名前を考えるのは初めてだ。何と名付けていいのか戸惑った。数秒考えていい案を思いつく。その名前に決めた。 「うわ~。プロフだって。なんて書こう」 電話越