【クソデート妖怪目録】第一夜 妖怪スパコン男

妖怪マシンガントーク男

一橋卒、銀行員、社会人8年目、身長175くらい
年収800万円(推定)

仕事上がりに銀座のバルで待ち合わせ。
魚が有名なこのバル。私の好みである。
食べ物の好みが近いというのは非常にポイントがたかく、序盤は快調なスタートを切ったと言える。

私は彼より遅れて入店。

遅れたことを詫びながらマスクを外す。
彼もなぜかマスクをしたままだったのでこのときはじめて顔を見たが、顔も悪くない。

これはもしかして、今日はいい感じか?

マッチングアプリを再開して1ヶ月。二次面接へ通過させた受験者は0の弊社のため、いい加減内定の見込みがあると思いたいものなのだ。

ただし、そう思ったのも束の間だった。



「いやあ〜ぼくこのお店すきなんですよ、あっ!むいさんもお魚好きなんですよね。しばらく外食できてなかったから今日はめっちゃ楽しみにしてました!」



・・・・めっちゃくるやん。

確かにプロフィールには「話し好き」とは書いてあったし、やたらメッセージが長いから(1やりとりに質問2つ以上入ってくる)めんどくさいなあとは思ってはいた。実際にあって見てわかったが、ゆっくり話すならまだしも大量のトピックを短時間に投げてくるので、非常にストレスであります。

「僕は今海外のNPOとかと仕事してるんですけど、むいさんって東南アジアとかいったことありますか?ぼくこの前初めて行って来たんですけど、治安の問題があってボディーガードついたんですよ!テロとかあるとそういうの心配ですよね」

この内容だけならなんらおかしいこともないのだが、
問題はこれが10秒以内にこちらに投げられるということである。

こういうタイプは過去にも麻布高校出身者に見られた。おそらく頭の回転が早いのだと思われた。なぜその頭の回転を相手のペースにあわせるという方向性に活用できなかったのか。私はスパコンと話したいんじゃなくて人間と会話しに来たんだよ。

彼が話していた内容は主に以下である。

・彼は銀行から出向で今は他の会社にいる
・同期に置いてかれる感じは寂しいが非常にやりがいを感じている
・休みの日は動画見てる
・私が写真通りの綺麗な人でびっくりしている(よく言った)
・僕なんか
・ごはんおいしい
・僕なんか
・僕なんか


うるせえ私はお前のおかあちゃんか


もはや開始30分くらいで帰りたくなってしまったのだが、なんと、こいつ、よく食べるのである。何かと注文をするせいで「もうお腹いっぱいで〜」と言うことも難しく、相槌を打ちながらニコニコ笑って時が流れるのを祈るように待った。

マシンガントーク男にうんざりしてくると、どんどん粗ばかりが見えて来てしまう。とにかく黄ばんだ歯が不衛生に感じていやだった。
私はうんざりすればするほどニコニコ相槌しか打たなくなるのだが、向こうはさらに気をよくして話が止まらない。その度に歯が見える。ここは地獄の釜の底。

最終的にお店が「いい加減帰れよ感」を出してくれたおかげで解散。
先手必勝とばかりに「ごちそうさまでした」と伝え、奢ってもらった。

別れ際に熱烈に「LINEのIDを、、」と言ってくるので「あ!あとでメッセージで送りますね^^」と伝えて解散。

元彼との初デートの高揚を思い出して、泣きそうになりながら帰宅した。
クソデートと接するたびにパワーが削られる思いがする。
ただ、それでも気持ちを強く持って、会い続けることが大事と思うことにした。なぜならこれは私が私らしくいられる人と出会うまでの旅路の一つなのだから。

よろしければサポートお願いします!いただいたご支援はダーマペンでの治療費などにあてます。