可愛いと可愛いで可愛い

篠澤広という遠いところにいるアイドルを好きになった。

これは篠澤広のネタバレだけど、「わたしにいちばん向いてないと思ったから」という理由でアイドルを選んだ彼女にもう一度、「なぜ、アイドルだったんですか？」と聞いた。
わたしは今、その答えに心臓を撃ち抜かれて5日が経っている。

「かわいくなりたかった」

2018年が好きだ。2018年のK-POPが好きだ。2018年の美容垢が好きだ。2018年がとにかく好きだ。ふと思い出しては何度もノスタルジーに浸っている。

教室の隅でぼーっとしてたって、伏し目で笑ったって、目元にセザンヌの14番のチークを仕込んだって、変化に限度があるのはわかっている。
ロレッタのキラキラシューを使ったって、フィアンセのピュアシャンプーを使ったって、石原さとみにも西野七瀬にも橋本環奈にもなれないなんてわかりきっている。

それでもあの時代が大好きでしかたない。

学年のマドンナに憧れて、朝少し早く起きて可愛いを仕込んで、仕草に気を使って、背筋はずっと伸ばしたままで、お嬢様みたいに丁寧な所作。
それじゃお顔はちっとも変わらないけど、なんだか本当に可愛くなれるような気がしていて、そんなみんなの純度100％すらも可愛いを上乗せしてくれて。

いつから可愛くなりたいは可愛くなれないに変わってしまったのかな。
もうあの頃のメンバーはみんな脱退、卒業しちゃったみたいで、見渡しても誰もいなくて、ステージすらも消えてなくなってしまった。

それでもやっぱり、魔法少女が好きで石原さとみにも西野七瀬にも橋本環奈にも憧れているし、明日小路になりたいし、いつかの誰かのクラスメイトのAちゃんに、Mちゃんになりたいままなんだよなぁ。

篠澤広の可愛くなりたかったを聞いて、ずっと思ってしまう。

儚い広ちゃんにも、強くて可愛い咲季ちゃんにも、あざとかわいいことねちゃんにも、芯のある優しいリーリヤちゃんにも、元気いっぱい佑芽ちゃんにもなりたい。
明日小路にも木崎江利花にもなりたいし、ほたるちゃんにもなりたいし、薫子ちゃんにもなりたいし、おとぎちゃんにもなりたいし小南ちゃんにもなりたい。ユリカ様にもスミレちゃんにもなりたいし、いちごちゃんにもあかりちゃんにもなりたいし、みつきちゃんにもなりたいし、つむぎちゃんにもなりたいし、知世ちゃんにもなりたい。
さくらちゃんにもうさぎちゃんにもなりたい。キュアスカイになりたい。キュアニャミーになりたい。キュアマジカルになりたい。キュアトゥインクルになりたい。キュアロゼッタになりたい。キュアビューティーになりたい。キュアアクアになりたい。

なりたい姿全部になりたい。

毎日違うわたしに気づいてるかなをしたい。

可愛いと可愛いで可愛い！！！！！！！！！！