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子育ては、自分の人生を生き直すこと

たまに年下の知り合いから、自分は子どもを持とうとは思わない、と言われることがある。


結構カジュアルなことを言える間柄だからか、ストレートなことを言ってくるなあ、と思いつつ、かつてそうだった自分のことを思い返してみたり。



かつての自分も、なんとなく子どもを持つことに踏ん切りがつかなくて、このままでもいいんじゃないか、とか。

でもやっぱり後から産めばよかったと思うのかなとか色々と思い巡らせて、夫には子どもはいらない!と伝えていた。


頭の中でぐるぐる回っていたのは、子どもで自分の大事な仕事やキャリアが中断されることへの抵抗感とか、自分の人生が終わってしまうような終末感とか、後戻りができなくなる恐怖感とか。

子育て大変そうだし、とか。



そんな気持ちを10年ほど抱えて生きていたのでよくわかる。
この大変な時代にリスクなんて抱えたくないしなあ。


結局、なんで自分は出産したかというと、シンプルに、このまま人生を突き進んでいくと家族は減っていく一方なんだ、というのを親の葬儀で痛感したからなのですが。

当たり前のことだけど、経験するとこの衝撃はあまりにも大きかった。

家族計画、とはよく言ったもので。



実際に子どもが生まれてから、自分の仕事への向き合い方が、はっきりと変化した。


産後なるべく早く仕事復帰したくて、速攻保育園に入れようと妊娠中から保活してたのに、蓋をあけてみれば育休は2年目に。



今の自分は、子どものために何ができるのか考えることが最優先事項。

仕事復帰もいかに子どもに負担を強いないかということが最重要。
今年から夫の長期出張が急増してワンオペが増えたので余計に。

もちろん仕事は大事だし、お金も大事だし、何らかの形で続けていきたいけれど、子どもが産まれる前と同じ情熱や時間を傾けることはもうできないだろう。
あの頃にはもう戻れないのだ。


今思うとどんな服でも着こなせていた体型も、趣味も、つぎ込んでいた情熱の行方も、自由気ままな一人旅も。今はどこへやら。

それは、きっと20代の頃の自分からするとあり得ないことだっただろうし、耐えられなかったかもしらないし、夫からも君は変わってしまったな…と言われたりもした。


一見保守的に見えるのかもしれない。

でも、自分の人生を今生き直している!と、かなりポジティブな気持ちだ。



ひとりの人間が産まれてから育つ様子を間近で見守る、という体験は、同時に自分自身も生まれ変わったような感覚だ。
人生を生き直しているような気がする。それぐらい日々が新鮮なことの連続だ。



生き直し、といえば特に親との関係は如実だと思う。

割と幼少期から親との関係はあまり良いとはいえなかった。干渉気味な親に対して、自分が無理をしているなと感じることが多かった。実家に帰るまでの道のりで動悸が激しくなり、塞ぎきむような気持ちになっていた。


でも、育ててもらったから〇〇やらないと、と義務感のように思っていた。
親からも育ててやったのに、とか子どもを産んだから〇〇できなくなった、みたいなことを聞くことがあり、なにか罪悪感のように感じていたなと思う。


親孝行ってなんなんだろうと思いつつ、もはや義務のように催促され、応じていたなと思う。



子どもを産もうと選択してからは、自分の親が子どもも持ちたくて自分が産まれてきたんだよなあ、と当たり前のことに気づいた。


そして、自分にとっての親は、育ててくれた人、というよりも、
自分の子育てにおける先輩(反面教師大いに含む)という関係に変わったように思う。


親孝行についても、孝行(敬い尽す)というよりは、過去の子育てに関する感謝と労いという感覚に変化した。


自分が赤ちゃんの時も夜泣き大変だったみたいで、お疲れ様でした。寝不足の中ありがとうね、みたいな。習い事通わせるの大変だったね、お疲れ様でした。みたいな。



親も子育てを楽しんでいたはずなのだ。本当は。そこに焦点が当たるようになった。


今まで干渉されることが多く、付き合い方に困っていた時期もあった。親の顔色を伺いたくないのに伺ってしまう自分への嫌悪感。


それが、頑張って育てた子(自分ですね)が、無事大人になって結婚して子どもまで産んで他に何かを望むか?(いや、望まないでしょ?)ぐらいの強気な気持ちになれた。
自分も親なのだ。親として譲れないことができた。



これは、自分の中で革命に近いぐらい生きやすくなった。




子どもができると生きやすくなる、自分の人生を生き直している気がする、と伝えると利己的だろうか?

でも、子どもをもちたいという気持ちと相反するものでもないような気がする。

子どもからしても、絶対に楽しんで子育てしてくれた方が嬉しいし、ポジティブに楽しかったなと思ってもらえた方がいいと思う。


自分はそうやって今子育てをしている。


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