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斬られて候4

御歳七十を過ぎる是枝は芍薬とした姿勢で、上段に構える様は一輪挿しに刺した菊のようである。

真近で拝見した越野は是枝を見習い、ジム通いを検討したが、細君に「どうせ続かないんだから、家でできる運動にしなよ」と反対されている。

実際にジム費を捻出するには家計のどこかで帳尻を合わさなくてはならず、家計簿を睨む前から細君は匙を投げていた。しかし年々崩れていく越野の体形にも危惧を抱いていた。

細君は、一昔前は糖尿病は贅沢病と言われていたらしいが、現在では金がなければないほどに健康に投資できる金がなく、糖尿病になりやすいのではないかと思っている。

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