斬られて候24
店は常連でいっぱいである。
常連はちびちび酒を舐め、片肘を突き、頭を沈ませながら肴を喰っていた。
店の活気とは別におばさんは暇そうに、レジ机に寄りかかり、喧騒のなか煙草の煙をくゆらせていた。壁には店主が好きなサッカーチームのポスターが所狭しと貼られている。
福富が会釈すると、おばさんは小躍りしながら近づいてきてでっぷりとした腹を掴み「また太ったんじゃなーい」と気さくに話しかけてきた。
「年取ると、腹は出るのに腕や足が細くなっちまって、老いってのはやだねー」といい福富は麦酒腹をぽんと叩き答えてみせた。
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