見出し画像

顔料の教科書〜基礎から応用まで

普段は、仕事でほぼ顔料は扱いませんが、知識を身につけるために記事をたまに更新しながら書いていこうと思います。

そもそも顔料って何かといいますと、
顔料のイメージは、繊維、生地の表面にひっつけて色を出すものだとおもってください。
顔料と似た染料のイメージは、繊維の中に入れて色を出すものだと思ってください。
この2つの違いが、業界以外の方には分かりづらいのではないかと思います。

顔料は、無機顔料と有機顔料に大別されます。
一般に無機顔料は有機顔料に比べて、隠蔽力が高く、耐光性、耐熱性が優れていますが、比重が高く、また色合いの幅が限られます。
有機顔料は有機合成技術によって化学構造を微妙に変化させることができるので、色合いの幅が広く、鮮やかな色の製品が多くあります。半面、耐光性、耐熱性に劣る製品もあるので、選ぶ際に注意が必要です。

無機顔料と有機顔料の大別
無機顔料
・有色無機顔料
・体質顔料
有機顔料
・レーキ
・有色有機顔料

無機顔料は有色無機顔料と体質顔料に大別されます。有色無機顔料には、白色系の酸化チタン、鉛白(塩基性炭酸鉛)、亜鉛華(酸化亜鉛)、リトポン(硫酸バリウム/硫化亜鉛)など、赤色系のベンガラ(酸化鉄(Ⅲ))、鉛丹(酸化鉛)、銀朱(硫化水銀)、モリブデン赤など、黄色系の黄鉛(クロム酸鉛)、 カドミウムイエロー(硫化カドミウム)、ジンクロメート(クロム酸亜鉛)、リサージ(一酸化鉛)など、 青色系の群青、紺青、コバルトブルー(アルミン酸コバルト)など、黒色系では鉄黒(酸化鉄(Ⅱ、Ⅲ)、カーボンブラックなどがあります。酸化チタンや酸化亜鉛は、紫外線防御のための日焼け止め化粧品にも使われます。

体質顔料は透明性白色粉末で隠蔽力が小さく、単独では顔料として使いにくい製品ですが、他の顔料の増量、希釈や塗料の塗膜強化の目的で使われます。バライト(硫酸バリウム)、石膏(含水硫酸カルシウム)、カオリン(白陶土)、シリカ(二酸化ケイ素)、ホワイトカーボン(沈降性シリカ)、 タルク(滑石)、炭酸バリウム、炭酸カルシウムなどがあります。

有機顔料にはレーキと有色有機顔料があります。レーキには2種類あります。ひとつは染付レーキで、体質顔料を染料で染色した顔料です。もうひとつは染料を2価以上の金属塩と反応させて不溶にした顔料です。アゾ染料からつくられるアゾレーキが代表的です。

有色有機顔料には、不溶性アゾ顔料、金属フタロシアニン顔料、アントラキノン顔料、バット顔料などがあります。化学構造による染料の代表的な種類として示したアゾ染料、アントラキノン染料、インジゴ系染料の中で、水に不溶な物質が顔料として利用されています。 また金属フタロシアニン顔料は青色から緑色の色調を持ち、耐光性に優れています。

顔料が使われる塗料について

塗料というと、顔料と樹脂を有機溶剤に溶かし合わせた油性塗料があります。
他には、顔料と樹脂の油相を乳化して水中に分散させた水性塗料もあります。
水性塗料は、乾くまで水で洗い流すことができ、ニオイが少なく引火のおそれもありません。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?