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東証市場区分の見直しに関するフォローアップ会議(第15回)の動向:グロース市場の上場基準検討

2024年3月22日に東証市場区分の見直しに関するフォローアップ会議(第15回)が開催され、その議事が公開されています。

主な議題は下記3点です。

  1. 資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応

  2. 企業行動規範の見直し

  3. グロース市場の上場基準に係る検討

1. 資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応

2023年3月にプライム市場及びスタンダード市場上場会社に要請された「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」について、2024年2月末時点でプライム企業の59%、スタンダード市場の22%が開示を行っています。とくにPBR1倍未満の会社において開示が進展しており、プライム市場、時価総額1000億円以上の会社では87%が開示済みです。
東証では2024年3月末に再周知を行い開示をさらに促していく方針です。

2. 企業行動規範の見直し

企業行動規範は2007年に東証が定めた規範です。当時流通市場の機能発揮や株主の権利を阻害するような企業⾏動が発⽣していたことを踏まえ、そうした企業⾏動を規制するために制定されました。
現在までに改訂が行われていますが、骨子は制定時と変わりがありません。

現在の議論では、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上という昨今重視される項目について規定する点や、2015年に制定されたコーポレートガバナンス・コードとの重複が多いなかでどのように棲み分けをどう行うか、前述の「資本コストや株価を意識した~」に対応した規定を加えるかといった議論がなされています。

3. グロース市場の上場基準に係る検討

2023年3月にJASDAQ、マザーズ上場会社を中心に改組されたグロース市場について上場基準の見直しについて議論が行われています。

グロース市場はIPOが非常に活発に行われている市場ですが、新規上場銘柄の株式時価総額規模が小型化している傾向があり懸念する声があります。

現在の上場基準は流通株式5億円、流通株式比率25%であり5~20億円規模での上場が可能となっています。一方で成長企業を前提とするグロース市場では10年後時価総額40億円以上という上場維持基準を設けています。現状40億円を下回っている会社はグロース市場全体の約3割存在しており、今後この水準に抵触する会社が続出する懸念があります。
こうしたことから、グロース市場の上場基準をより厳格にする検討も行われていますが、時価総額の基準を高めると上場維持基準に抵触する会社がより増えることは自明であり、新興市場の萎縮を招くことから慎重な議論がおこなわれています。

委員からはグロース市場が期待通りにワークしていない点や、上場維持基準の引き上げがリスクテイクを促進することを期待する点、M&Aを促す施策の提案など意見がありました。


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