塔、自由に一首評 恋が世界を変える
今回も引き続き塔4月号から気になった短歌を抜き出します。
前回あつかった短歌が恋人たちに大きくズームインをした作品であったのに対し、この作品はあえて少しズームアウトすることによって恋人の尊さを強調することに成功している面白い例である。
普通、何かについて歌を読みたいとき、我々はその主体を中央に持ってきがちである。肖像画の中心にはもちろん人が描かれるわけだ。だがあえて主体から離れることによって主体自体の存在感を醸し出すことができる。提出歌では「僕ら」はキッパリと「遠景」と言