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#ネタバレ 映画「デッドマン」

「デッドマン」
1995年作品
2021/10/30 9:02 by さくらんぼ (修正あり)

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。)

昔、封切りで観に行った作品がありました。一部グロい描写もあって、それが頭から離れず、趣味ではありませんでしたが、あれは映画「デッドマン」だったのか、それとも映画「デッドマン・ウォーキング」なのか。

映画館の前で気になってスマホで検索してみましたが、慌てていたせいかイマイチはっきりしません。もし映画「デッドマン」だったのなら観るのを止めようと思いましたが、上映開始時間が迫ってしましたし、バクチだと思って入ることにしました。

結果は、やはり、昔観たグロい作品でした。

しかし、二度と観るまいと思っていた作品でしたが、二度目も映画館で鑑賞すると、印象はずっと良くなりました。私も少しだけ大人になったのかもしれません。

当時は何とも思いませんでしたが、登場するだけでわくわくさせてくれるような、ジョニー・デップさんは魅力的な俳優さんです。

★★★★

追記 ( 流されていく男 ) 
2021/10/30 9:33 by さくらんぼ

冒頭、列車に揺られている主人公・会計士のウィリアム・ブレイク(ジョニー・デップさん)が映ります。これから就職先に行くのです。

何時間もかけて列車が進むにつれて周囲のお客さんが入れ替わっていき、最初は紳士淑女ばかりだったのが、目的地・西部に近づくにつれ、だんだんとヤバそうな雰囲気を漂わせていきます。その雰囲気通り、到着した西部の町は、まるで、ならず者の集まった刑務所のようなところでした。

気弱で生真面目なウィリアムは、約束してあった就職を社長から断られ、不本意にも、そこから人生を転がり落ちていくのです。

映画のラストは、心臓付近に弾をぶち込まれて弱ってゆく主人公を、友人になった先住民の流れ者ノーボディ(ゲイリー・ファーマーさん)が水葬にするシーンになりました。棺桶代わりの小舟に揺られ、ウィリアムは川を下り、海へ帰って行くのです。

この物語は、周囲に流されていく一人の男の不条理劇だったようです。

追記Ⅱ ( 流されていく男 ) 
2021/10/30 10:12 by さくらんぼ

小津安二郎監督の映画には、地味と言えば地味な「庶民の日常生活」を描いた作品が多いですが、質の高さに世界が驚いたわけです。映画「東京物語」など世界のベストワンになってしまいました。

ところで …

主人公・会計士のウィリアム・ブレイク(ジョニー・デップさん)は紳士です。会計士という職業は彼を表す一つの記号なのでしょう。

そんな彼が、荒くれ者たちがたむろする西部の町へ一人やってきたのです。気弱な紳士だから目立たないだろうというのは間違いで、そこでは浮いてしまうから、目障りになり、嫌われ、迫害されるのです。

そんな彼と友人になったのは、同じく西部の白人から迫害されていた先住民の男です。痛みを共有したのですね。それと、主人公の(他の西部男とは違う)繊細さが、彼に有名な詩人と誤解させもしました。

つまり、主人公は、西部では浮いてしまうほど違和感のある奴だったから、西部男に迫害され、先住民からは歓待され、手厚く葬られて、天国へ旅立ったのです。

人生は、自分で切り開くものではありますが、周囲との関係性で、知らぬ間に意図せぬところへ流されていくものだとも思います。そして、ある者は栄光を手にし、ある者は、ふと気がつくと、底なし滑に腰まで埋まって、身動きが取れなくなっているものなのでしょう。

追記Ⅲ 2022.8.17 ( お借りした画像は )

キーワード「流れ」でご縁がありました。不思議な魅力の絵です。そのままでも良かったのですが、悩んだ末、最大倍率にして上下してみました。ありがとうございました。



( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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