見出し画像

#ネタバレ 映画「レオン〈完全版〉」

「レオン〈完全版〉」
1994年作品
根を張らないと真っ直ぐに育たない
2014/1/28 10:36 by さくらんぼ


( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。)

一見すると順風満帆な家庭なのに、躾だけで愛を知らないまま育ち、大人になってしまった子供もいます。三つ子の魂100歳までなので、こんな養育はいけません。ステルス・ネグレクト(勝手に造語)、これは悲劇なのですが、親の無知は恐ろしい。

人間が育つ上で根っこの部分は大切です。

マチルダは階段横にすわり、足をブラブラさせていました。根っこ(足)が地についていない記号でしょう。

レオンは天井からぶら下がりナイフで仕事をします。これも、同様ですね。

また、あのヤクザな刑事、彼は薬を飲むと上を見てもだえます。上を見る顔を天井のカメラが捕らえるシーンがありますが、彼もまた、上ばかり見ていて、根っこが無い。

マチルダは子供なのにもう大人であり、あとは歳をとるだけ状態です。

レオンは体は大人なのに、心は子供のままです。

ヤクザな刑事は、刑事のクセに第一級の犯罪者です。

みんな、どこかズレている。

子供の頃、きちんと根っこを大地に張っていれば、まっすぐにスクスク育ったかもしれないのに・・・。

映画はラストでマチルダが植木を全寮制の学校の庭に植えるシーンで終わります。

すべて本当のことを話しなさいと、校長先生は言いました。

それに答えて、素直にマチルダは語りました。

人と人との出会いで、最初から本当のことは中々言えないものです。

お互いが分からない段階で本当のことを言う時は、破滅も覚悟せねばならないからです。

でも、相手は案外受け入れてくれるかもしれない。

早まって勝手に去っていってはいけません。

マチルダは良い先生に恵まれたようですね。

★★★★★

追記 ( 結婚相談所 ) 
2017/4/8 15:20 by さくらんぼ

何十年も前のこと。なにかで結婚相談所に勤める人の話を読みました。

それによると、結婚に際し、皆、相手の条件をいろいろ挙げますが、「男性には女性の身長に好みがあり、身長さえ叶えてあげれば、後はまとまりやすい」のだそうです。ツバメの恋愛みたいですね。

無自覚かもしれないけれど男には誰しも「お気に入りの身長」があり、それさえ合えば惚れやすい。惚れてしまえば、あとは盲目、みたいな事らしいのです。だから「女の後ろ姿に惚れる」とも言える。

それを読んだとき、私の中には「へ~!?」と、「そうかもしれない」の感想がありましたが、何十年も生きてみて、今は「やっぱり、そうかもしれないなぁ」と思っています。女性の方、靴の選び方を変えてみますか。

追記Ⅱ ( 根を張らないと真っ直ぐに育たない ) 
2017/12/11 9:28 by さくらんぼ

これは映画「gifted/ギフテッド」の追記Ⅵです(掲載が無い場合には後日掲載します)。

ヒロイン・メアリーには両親がいません。

父代わりの叔父さんが一人いるだけです(とても良い叔父さんですが)。

この薄幸な設定で、すでに、これは「天才」の話ではなく、「愛情」の話であることが謳われていました。

なのに、そのメアリーは、「天才」が災いし、叔父さんからも引き離されそうになるのです。

そんな状況で、強引に英才教育を推し進めたら、メアリーの心はナチュラルには育たないかもしれない。

私はふと、映画「レオン」を思いだしました。

あの作品も、「心を置き去りにして、体だけ大人になった男」と、「体を置き去りにして、心だけ大人になった女」の物語でしたから。

(  ブラームスのヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77 を聴きながら。)

追記Ⅲ ( シリーズ ) 
2017/12/11 9:43 by さくらんぼ

映画「レオン」を初めて観たとき、歳の差の有るカップル誕生に対して、頭では理解出来たけれど、あまり感情移入は出来なかった。

理解は出来たというのは、同じ孤独を抱えている男女が、お互いに共鳴する事に対してである。感情移入できなかったというのは、少女があまりに幼すぎる感じがして、私には恋愛感情などわきそうもなかったからだ。

監督はなぜこのような異例の設定にしたのだろうと、当時は疑問に思っていた。例えば少女にしても、同年齢でも大人びた役者を使えば、より恋愛に説得力が増すのではないだろうか。

しかし先日、同監督の映画「グラン・ブルー」の秘密を見つけたと感じたとき、この「レオン」の異例の設定が「レオン」単独のものではなく、実は「グラン・ブルー」と通じるものである事が分かった。

どちらの愛からも「異例だが同じ想いを持つもの同士の共鳴」というキーワードが感じられたのだ。監督は二本の映画を使い、同じ想いを綴っていたのかもしれない。

(  これは映画「レオン」〈1994年〉 2003/10/4 8:09 by さくらんぼ を再掲したものです。)



( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


#映画感想文

この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?