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#ネタバレ 映画「海月姫」

「海月姫」
2014年作品
助っ人は外からやってくる
2018/3/24 16:18 by さくらんぼ

( 引用している他の作品も含め、私の映画レビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )

クラゲを愛するヒロイン・月海(つきみ)は、熱帯魚ショップで死にそうになっているクラゲを助けようとしました。引っ込み思案にもかかわらず、渾身の力をふりしぼって、店長に意見する月見。しかし不審者扱いされ、店外へ放り出されてしまいます。

その時、偶然通りかかった一人の女性!?。彼女は月見から事情を聞き、助っ人になってくれ、無事、クラゲちゃんは救出されるのです。

このエピソードは、映画全体を貫く、「月見たちの竜宮城である、『男子禁制の天水館』、その立ち退き騒動」と、相似形になっているようです。

主題は、「助っ人は外からやってくる」かもしれません。

月見たちが恐れるのは外界、そして男性。

しかし救世主も、そこにいるかもしれないのです。

月見たちの教祖は、天水館の個室から出てこず、文書でただ指示を出すだけですから、あまり頼りになりません。

漫画チックな演出が、他にあまり類を見ない、ユニークな喜劇でした。

アパート内での腐女子(本来の意味とは違うらしい)たちの言動、その、あまりのお笑い芸人ぶりに、なれるまで拒絶反応を起こしがちですが、ヒロインを演じていた“のん”(能年玲奈)さんに、天然の匂いがして観る気になりました。もちろん“のん”さんと実際にお会いしたこともなく、これは私のイメージにすぎませんが。

★★★★

追記 ( 映画「椿三十郎」 ) 
2018/3/24 16:34 by さくらんぼ

この映画「海月姫」からは、映画「椿三十郎」を連想します。よろしければ〈2007年版〉のレビュー、タイトルは「部外者に相談するメリット」をご覧ください。(無いレビューは順次掲載中です)

ちなみに「椿三十郎」の名セリフ、「本当にいい刀は鞘に入っている」が、「海月姫」では、「本当に良い真珠のネックレスは、バラして(鞘から出して)ドレスの飾りに使ってはいけない」となります。

現時点では、オマージュかは分かりません。

追記Ⅱ ( 中島みゆき さんの 「糸」 ) 
2018/3/25 9:27 by さくらんぼ

>主題は、「助っ人は外からやってくる」かもしれません。(本文より)

この映画のヒロインたちのように、引きこもっている人の中には、個性や才能にあふれた人もいるはず。しかし本人たちはそれを、「外出できないほどの違和感」として感じているのかもしれません。

でもプロデューサーと言うんでしょうか、それを発見し、上手に商品化して、世界へ発信してあげられる人とめぐり逢えたら。

この映画は、そんなお話しでもありました。

追記Ⅲ ( 小川に浮かぶ椿 ) 
2018/3/26 16:11 by さくらんぼ

>現時点では、オマージュかは分かりません。(追記より)

仮に、オマージュだとした場合の話です。

映画「椿三十郎」から、映画「海月姫」を思いついた、その「種」の部分は、もしかしたら、映画「椿三十郎」に出てくる、「ポトリと落ちた丸い椿が、小川に浮かんで、流れていくシーン」かもしれません。その椿から、クラゲを連想し、話をふくらませて行ったのかも知れません。

追記Ⅴ ( 映画「パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト」 ) 
2018/3/26 21:55 by さくらんぼ

>でもプロデューサーと言うんでしょうか、それを発見し、上手に商品化して、世界へ発信してあげられる人とめぐり逢えたら。
>この映画は、そんなお話しでもありました。(追記Ⅱより)

よろしければ、映画「パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト」もご覧ください。

追記Ⅵ ( ファッションショーのランウェイ ) 
2018/3/27 8:37 by さくらんぼ

>映画「椿三十郎」から、映画「海月姫」を思いついた、その「種」の部分は、もしかしたら、映画「椿三十郎」に出てくる、「ポトリと落ちた丸い椿が、小川に浮かんで、流れていくシーン」かもしれません。その椿から、クラゲを連想し、話をふくらませて行ったのかも知れません。(追記Ⅲより)

小川のシーンはどうなったかと言うと、ファッションショーのランウェイ(花道)を、ビールの泡のような、トマトのような、クラゲ(椿)たちをモチーフとした、創作ドレスを着た彼女たちが、行き来するエピソードになったのかもしれません。

追記Ⅶ ( 居合斬りみたいな ) 
2018/3/27 9:23 by さくらんぼ

映画「椿三十郎」の有名なクライマックスには、①一瞬で勝負がつく居合斬りみたいな技と、②吹きあがる血しぶきがありました。

①は、議員の父が再開発で天水館を取り壊そうとしたので、反対住民たちと対立している現場へ、修(長谷川博己さん)が飛びこみ、居合斬りのごとく、「わが鯉渕家を育ててくれたこの天水町を、踏みにじるような事はしません」と、勝手に宣言してしまいます。

②そして宣言文のチラシが、血しぶきのごとくバラまかれます。今さら「今のは嘘だ!」とは言えない雰囲気。一瞬で勝負はつきました。唖然とする議員。喝采する住民たち。

②さらに、ダメ押しでしょうか。このエピソードの直前には、ファッションショーのドレスに、蔵之介(菅田将暉さん)が、誤ってワインかジュースみたいなものを“ぶっかけて”しまい、皆で大騒ぎして洗濯し、乾かすシーンもありました。

また、天水館(アパート)の住人の中には、刀みたいなものをふりまわす女もいましたね。

追記Ⅷ ( 着物に描かれた椿 ) 
2018/3/27 9:47 by さくらんぼ

> 又、毛布をかぶってかっ歩するシーンの絵があります。あの珍奇な姿が気になっていましたが、あの毛布に書いてある花は、韓国の花である「むくげ」のようです。毛布をかぶったのは、花をまとうための必然なのでしょう。( 映画「この世界の片隅に」の追記Ⅶ 〈 韓国の「旗」と「花」 〉より )

映画「海月姫」では、ヒロインが恋する修(長谷川博己さん)と初デートの時、蔵之介(菅田将暉さん)から着せられた着物が、大胆な花柄で、アップではないので断定はできませんが、その花が「紅白の椿」に見えるのです。チラシにも少し写っています。

追記Ⅸ ( 海月だって彼氏を選ぶ ) 
2018/3/27 15:45 by さくらんぼ

( 映画「椿三十郎」のラストに触れます。)

たしか…

決闘で勝った浪人・三十郎に、若者たちが、「先生、私たちを弟子にして下さい」とかけ寄ります。しかし三十郎は、「俺なんか見本にするな! いいか、よく聴け、本当にいい刀は鞘に入っているもんだ」。そう言い終わると、武者震いし、一人去って行きました。

これが映画「海月姫」になると…

置いてきぼりを食う若者役は、(本当にいい刀である)議員の長男・修(長谷川博己さん)です。彼を住む世界が違うヒロインが捨てるのですね。

そして彼女は、いつも近くにいてくれて、さらに同じオタクの匂いのする(ある意味、浪人的な)議員の養子・蔵之介(菅田将暉さん)に乗り換えるのです。

追記Ⅹ ( 海月になってみる ) 
2019/6/2 9:47 by さくらんぼ

夜中にふと目覚めて、HNK「ラジオ深夜便」を聴きました。そうしたら、とろけそうに優しいギターの調べが。

そして曲が終わったとき、アナウンサーの男性が、「深夜に聴くギターの音色は、心に沁みますね…」としみじみと呟きました。

私も同じ感想だったので、少しうれしくなり、さっそくCDを。

あれから何度か聴いていますが、やはり夜に似合います。寝る前に、薄暗く静かな部屋で、一人聴けば、まるで水中に漂っているような気分になります。

ギターの音が、ヒンヤリとした、透明感のある水を想起させるのです。

それは、海ではありません。

にぎやかなホテルのプールでもなく…

しずかな水槽の中、海月になって、漂っているような気分が、一番しっくりくるでしょうか。

CDは「シネマ 村治佳織」です。



( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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