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#ネタバレ 映画「マイノリティ・リポート」

「マイノリティ・リポート」
2002年作品
夢の中
2003/4/26 17:01 by 未登録ユーザ さくらんぼ

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )

プリコグは24時間体制で夢の中まで管理されている。夢の中ということは潜在意識の中までということだろう。つまり、本人がまだ自覚していない自分の心の底まで、先に他人に知られてしまうという事だ。なんと嫌悪すべき事だろう。映画はこれを中心にすえている。これこそ究極の管理社会の姿の暗喩であろうか。

そして、その隣には、過去に子供を失ったという悲しい思い出を忘れられない警察官がいる。このような思い出があっても、普通は、そんなに簡単に他人には話さないものだ。しかし未来の犯罪防止システムはそのプライバシーを丸裸にする。犯罪発生前には、心の中の情念はプライバシーであると思う。それを侵害されて良いはずがない。

この映画は、そんなコンピューター管理社会の、プライバシー漏えいについての「不快感」を描いているのではないか。

今挙げたエピソードの他にも、網膜認証によりどこにいても個人が特定されてしまう事や、それから逃げるために目の玉を取り替える嫌な手術をする事、そしてその直後には目が見えないために腐ったものを口に入れてしまう事もあった。また血にまみれた取り出した目の玉だけでもドアが開くシーンもあった。ちなみにプリコグが予知夢を見ると出てくる木の玉、あれは目の玉を意識していそうだ。

またクモのような不気味なマシンが、ドアの下から部屋に入り込み、這いずり回る。そして人を感電させる。虫嫌いにはいやなシーンだろう。そして、そのまんまの極めつけのエピソードは嘔吐棒のシーンである。

そんなダークな映画だからこそ、山小屋で穏やかな表情を見せて寛ぐプリコグのシーンが出てくるのだろう。人が幸せに暮らすとはどういうことかを、ワンシーンで象徴的に対比させて描いていると思う。ところで「少数意見」とは一体なんの事だろう。それは・・・もしかしたら、そんなこの映画自身の事だろうか。

追記 ( 希望 )
2003/4/27 11:49 by 未登録ユーザさくらんぼ

私にとってこの作品は、面白いけれども解釈はちょっと難物でした。そのせいか、送信してから自分の文章を読み直してみて驚きました。主人公の活躍にぜんぜん触れていないのです。でも、それは私にとって印象が薄かったからで、それはそれで私の心の鏡に写ったままだと思う事にしたのです。

でも、大事なポイントを思い出しました。「胎児」について触れさせていただきます。

主人公は胎児の様に水に浮いていたプリコグを助けます。これはプールで見失った子供の救出を望む主人公の気持ちにもつながるエピソードです。そして、その後の展開では、主人公が過去のトラウマから立ち直り、まだ見ぬ次の子供を誕生させる自信にもつながります。

人間が未来の「死」を恐れる気持ちを具現化したものが、プリコグの予知夢による犯罪予知システムでしょう。それはとても不快な世界でした。しかし映画は「生・誕生」の希望にも私たちを気づかせる事で締めくくられています。映画は未来に対する心構えをそんなふうに語っているのではないでしょうか。

追記Ⅱ( 時代 ) 
2017/4/9 9:06 by さくらんぼ

「 今はこんなに悲しくて

涙もかれ果てて

もう二度と笑顔には なれそうもないけど

そんな時代もあったねと

いつか話せる日がくるわ

あんな時代もあったねと

きっと笑って話せるわ

だから 今日はくよくよしないで

今日の風に吹かれましょう… 」

( 「時代」 作詞・作曲:中島みゆき さんより抜粋 )


(  最後までお読みいただき、ありがとうございました。

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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