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#ネタバレ 映画「セーラー服と機関銃 -卒業-」

「セーラー服と機関銃 -卒業-」
2016年作品
美しいものは守りたいから
2016/3/10 7:11 by さくらんぼ

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )

リーダーとは“御神輿”かもしれません。

美しい御神輿は、担ぐ喜びがあります。そうやって人が集まって組織ができる。御神輿は、神なので、高い精神性を持って進むべき道を指示します。

担ぎ手は実働部隊であり、その中に現場監督となる人物もいて、彼が、御神輿と意思疎通をしながら、政策を具現化していきます。

映画「セーラー服と機関銃 -卒業-」はそんな映画なのでしょう。だからアイドルグループ「Rev. from DVL」の橋本環奈さんをヒロインに起用したのかも。

劇中こんなセリフがあります。

メダカ組の組長:18歳の高校三年生・星泉(橋本環奈)を評して、組員が「背が小さい」、「器が小さい」、「傷つけないようにしてくれ」と。でもこれ、御神輿の評価ですよ。けっして環奈さん、いや組長を侮辱したわけではなく。

この映画の半分はそんなお話しだったのかもしれません。

そして、なぜか涙が止まらなかった映画です。

★★★★

映画「冬の華」 
2016/3/10 10:50 by さくらんぼ

あと半分の話をします。

この映画「セーラー服と機関銃 -卒業-」は、健さんの映画「冬の華」にインスパイアされているような気がします。

主人公・星泉の“あしながおじさん”だった伯父さん(当時の組長・泉の心を傷つけないために、ヤクザであることを隠していた)を、敵組の命令により殺めた男が出てきます。

その男は、密かに伯父さんに惚れていて、亡き後も泉を助けます。ここでも“あしながおじさん”の構図が見えますね。

やがて不覚にも泉は男(伯父の仇)に惚れてしまうのですが、あるとき男は自分の拳銃を泉に渡し、銃口を自分の頭に当て「お前もヤクザなら俺を撃て!」と言うのです。

でも、とうとう撃てない泉。

ここのエピソードは映画「冬の華」の影響を受けていると思います。

映画「冬の華」では健さんと女子高生は事実上のすれ違い人生でしたが、この映画「セーラー服と機関銃 -卒業-」では、まるで後日談のようにガチ対峙していました。

そして、これは泉の精神性の高さが表れているシーンであり、不条理を乗り越え、人間として成長して行くところでもあり、そして「美しいものは守りたい」(恋人のこと)へと繋がっていくシーンだったのでしょう。

追記 ( こうして美しいものは守られた ) 
2016/3/10 14:31 by さくらんぼ

映画が始まるとスクリーンが横長になります。今は少なくなったワイドなスクリーン。これは嬉しいのですが、少し画質の粒子感が粗い。もちろん、これは意図的なもので、きっと「死人も出てくる戦争(抗争)映画だよ」と言う記号なのでしょう。

ところが、これは抗争映画を隠れみのにした、アイドル映画でもあるのです。ミニスカート・セーラー服姿の環奈さんが、下着が見えそうなほど飛び跳ねるのは当たり前で、ベッドに寝転んだり、ラブホで着衣入浴したり(残念お湯無し)。さらには、吊るされたり、濡らされたり、汚されたり…と(あっ、キスもした)、それに喜怒哀楽の表情も乗せた、大人向けサービスカットの満載なのです。

こんなアイドル映画なら、少なくともPCで観る以上にクオリティーの高い細密画像でなければいけないのに、観客の期待を裏切って、戦争映画の粗い画像にしたのは、いかにも不条理であり、とうてい承服できないことなのであります(つい力が入ってしまいました)。

追記Ⅱ ( ひたむきさ ) 
2016/3/10 22:27 by さくらんぼ

環奈さんが“1,000人に一人の逸材”と騒がれ始めた頃、私も「どれ、どれ」と、YouTubeでパフォーマンスを観たことがあります。たしか彼女の地元公演で、まだ、ほとんど無名時代のもの。たぶんファンが撮影してアップしたのでしょう。

たくさんの中に彼女が混じっていたのですが、私が感じたのは“健気なほどに、動的な表情も含めて、一所懸命に歌い、踊っていたこと”です。

その“ひたむきさ”に心打たれました。もちろん他のメンバーも上手でしたが、彼女が頭一つ抜けていたのです

追記Ⅲ ( 涙賃 ) 
2016/3/10 22:28 by さくらんぼ

どなたかも言われていましたが、この映画には“昭和の香り”があります。町並みが昭和という意味ではなく、どこか演出に、昭和のカドカワ映画を思わせるところがあるのです。

そんなつもりで、肩の力を抜いて、週末の映画館で缶ビールでも飲みながら観れば、良い気分で家路につけるのではないでしょうか。

それにしても、私はなぜラストに泣けたのでしょうか。自分でもまだ分かりません。

評価★4のうち一つは、その涙賃です。

追記Ⅳ ( 学級崩壊 ) 
2016/3/12 6:51 by さくらんぼ

映画の冒頭、授業中だというのに、最前列、先生の目の前で居眠りをしている泉がいました。

でも、先生は叱りません(学級崩壊)。

泉がヤクザだから怖がっているのですね(モンスタークレーマー!?)。直後には絶交(イジメ)する友達も出てきました。そうです、これは昨今の学校の姿、その記号なのです。

そうやって、教育の現場からはじき出された泉は(子供は)、ヤクザの世界(学校外の世界)に生きがいを見つけて、生きていくのです。

だから、この映画は“学校批判の映画”でもありました。

そして最後は卒業式です。

泉は卒業証書をもらうと、こちらを振り返り、あの有名な「セーラー服と機関銃」のテーマ曲をアカペラで歌います(ここは昭和カドカワ的、演出)。朝霧のような、白く透明感のある歌声。

これは失恋ソングであると同時に、映画では、学校生活を悼む(痛む)答辞の言葉になっていたのでした。

「 さよならは 別れの言葉じゃなくて

再び逢うまでの遠い約束

夢のいた場所に

未練残しても

心寒いだけさ

このまま 何時間でも抱いていたいけど

ただこのまま 冷たい頬を暖めたいけど

都会は 秒刻みの あわただしさ

恋もコンクリートの篭の中

君がめぐり逢う

愛に 疲れたら

きっともどっておいで

愛した男たちを 想い出に替えて

いつの日にか 僕のことを想い出すがいい

ただ心の 片隅にでも 小さくメモして 」

( 「セーラー服と機関銃」歌:橋本環奈より抜粋 )

追記

ラストには、肩に極彩色のレース(入れ墨の記号か)をあしらった服を着た泉が、真っ赤なルージュをつけて登場します。

やっと私の涙が止まらなかった理由が分かったような気がしました。

追記Ⅵ ( 武田鉄矢さん ) 
2016/3/17 9:37 by さくらんぼ

そうそう、忘れずに書いておかなければなりません。この映画を観に行く決心をしたのは“橋本環奈さんを一度キチンと観てみる”という理由でしたが、もう一つあります。

それは武田鉄矢さんです。“彼がこの映画のムードメーカーであり陰の主役”だと思ったからです。私は鉄矢さんのファンだから。

そして意外にも、橋本環奈さんと、武田鉄矢さんの“キャラの何かがハーモニー”しているという面白い発見もしたのでした。もちろん良い意味ですよ。

追記Ⅶ ( 「卒業」 ) 
2016/4/2 8:26 by さくらんぼ

映画「セーラー服と機関銃 完璧版」のラストには次のようなシーンが登場します(たぶん完璧版でなくても)。

「セーラー服を着て真っ赤なハイヒールを履いた泉が出てきます。彼女は地下鉄の排気口の上に立ち、セックスシンボルであるマリリン・モンローを真似て、スカートをひらひらさせます。そして同時に機関銃を撃つ真似もするのです。あれは両性が混在しているシーンですね。『思春期の揺れる性』。そんな主題のダメ押しだったのかもしれません。」

ところが映画「セーラー服と機関銃 -卒業-」のラストは、泉が一人、夏祭りの、浴衣風いで立ちで、ふりかえってスマイルし、ひと言「カ、イ、カ、ン」とつぶやくシーンになっています。

いかにも女の子らしいシーンです。

彼女はふっきれたのですね。

だからタイトルも「卒業」。

これで第一作目のラストの伏線も回収されました。

追記Ⅷ ( 指定席 ) 
2019/7/12 10:24 by さくらんぼ

>映画の冒頭、授業中だというのに、最前列、先生の目の前で居眠りをしている泉がいました。(追記Ⅳより)

最近TVで再放送されていましたので、また録画してみました。

そうしたら、また、このオープニングシーンに感じるものがあったのです。

なぜかと考えましたら、私の学生時代も最前列の中央付近に座っていたことが多かったからでした。

小学校に入った当時は視力よかったので、後ろの端っこが好みでしたが、だんだん近視になり、(メガネをかけるのは恥ずかしかったし)希望して前席に座らせてもらったら、そうなってしまったのです。

ですから、自分の学生時代を想い出すようで、懐かしかったのですね。もちろん、居眠りをするような根性はありませんでしたが。

追記

その代わり、今はよく映画館で…。



( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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