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#ネタバレ TV「踊る大捜査線」

「踊る大捜査線」
1997年
今観ても感動する
2023.12.30

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )

(2023.11.30)

TV「踊る大捜査線」(全11話)。映画だけでなく、TVシリーズも観たいと思っていました。しかし、昔は再放送をしたようですが、最近はあまり・・・それが、12月に再放送されるようです。録画予約しておきました。

(2023.12.2)

TV「JIN -仁-」の再放送を録画した件ですが、第4話以降はエラーになっていました。12月になって、おそらく無料サービス期間が切れたからでしょう。私の契約しているケーブルTVは、契約チャンネルでなくても、ときどき無料サービス期間があり、それが11月にあったのだと思います。私は契約チェンネル名の記憶をしていないので、無料サービスだったという意識がありませんでした。残念です。なので、とりあえず契約チャンネルの数を増やしました。そうしないと、数日後に放送されるTV「踊る大捜査線」も・・・。

(2023.12.6)

①TVドラマ「踊る大捜査線」を録画中ですが、第1話を少しのぞき見してみました。うわさ通り、映画よりもTVの方が面白そうです。そして、意外にも、②TVドラマ『ゼイチョー ~「払えない」にはワケがある~』を連想しました。オマージュかはまだ分かりません。

(追記)①の冒頭、主人公・青島が取調室で被疑者を取り調べているシーンがあります。そこで青島は「警察なめるんじゃね~ぞ」と言うんです(その後もこの類いの言葉は時々出て来ます)。実は、取り調べ研修だったのですが。そして、少し後には、警察組織のお役所仕事ぶりに驚いている青島に、ヒロインが「警察も公務員だから」と軽くいなすシーンも。

②の冒頭でも、警察官を連れての、家宅捜索研修で、滞納者との緊迫したやり取りがありました。そして、その場では出て来ませんが、このドラマの決めゼリフは「公務員をなめないでください」なのです。こんなセリフを住民に向かって言う徴税吏員(公務員)を私は知りませんが、それなのに、このセリフが出て来た大元は、もしかしたら、①なのかと思った次第です。

そのほか、①では派手なアクションよりも警察内部の人間ドラマに焦点を当てたのが斬新でしたが、②でも、納税課内部や、滞納者Aだけでなく、周囲のB、C、D、などにも焦点をあてているようです。別記事で書いたように、それには、問題を感じなくはありませんが。

又、①同様に、②でも財務省出身のキャリア組との対立が描かれています。

さらに、①での営業マン出身の青島は、その他の警察官とは違う空気をまとっています。②での財務省から来た饗庭も、マンガ的なキャラをまとっています。

(2023.12.14)

TV「踊る大捜査線」を数話観ました。今見ても十分満足できる面白さで、当時のヒットが伺えます。この中には、本庁と出先の刑事たちの対立が描かれていまが、本庁の刑事は、出先の刑事をバカにして相手にしていないように見えます。私に警察内部の事は分かりませんが、TV「ハコヅメ〜たたかう!. 交番女子〜」にも類似の話が出て来たので、そのような傾向はあるのかもしれませんね。

そこで思い出すのは、同じく刑事ドラマ・TV「俺たちの勲章」です。こちらの主人公は、若手刑事二人でしたが、本庁どころか、出先の同僚からも、本庁と同様の、冷たい扱いを受けていました。だから、彼らの味方は、ヒロインとお互いしかいなかったのです。TV「俺たちの勲章」は、ちょうど私が就職した頃のドラマであり、(9割の先輩は普通に扱ってくれましたが)私も教育係の先輩と折り合いが悪かったので、主人公たちの哀しみに、他人事とは思えない気がしたのを覚えています。

(2023.12.17)

TV「踊る大捜査線」の再放送を観ていますが、9話あたりのエピソードには疑問があります。被害者だった女性・柏木雪乃が、青島刑事たちの仕事ぶりを見て、「自分も刑事になりたい」と言い出します

そこまでは良いのですが、湾岸署では、彼女に受験のアドバイスをするだけでなく、湾岸署のデカ部屋を貸し与え、隣席の真下刑事が講師役までしているのです。これは公務員の「全体の奉仕者」という言葉に反する疑いがあります。さらには、デカ部屋に常時民間人を座らせる事で、情報漏洩の心配もあります。私なら、質疑応答ぐらいはしても、勉強は自宅でするように指導しますが。その場にいない人のために、目の前の人に嫌われるのも、公務員の仕事の一つです。

それ以上に問題だと思ったのは、別の事件で、和久さんが取り調べの最中に、雪乃が取調室にやってきて、「私に話をさせてください」と言うのです(すでに情報の漏洩も起きている)。雪乃は加害者の気持ちが良く分かるとかで。

しかし、例えば刑事であっても(他の公務員であっても)退職したら民間人であり、自由に古巣に出入りする事さえ、はばかられると思うのに、刑事経験もない、加害者の親族でもない民間人が、「私に話をさせて…」と言うのはどうでしょうか。越権行為というか、定年前の大ベテラン刑事を前にして、でしゃばり過ぎで、たとえ刑事であっても失礼になりかねません。

そして、トドメは、その犯人に胸を刺さされた青島よりも、犯人の将来を第一に考え、警察署内での殺人未遂の疑いのあるこの事件を、和久さんは独断で無かったことにしたいと言い、そこでも雪乃が一番に、「私は何も見ていない」と声を上げるのです。事実上、警察の会議的な場で、署員でない者が、一番に意見表明することにも異様を感じます。

犯人がナイフを振り回しても、誰も被害を受けず、取り押さえに成功したのなら、まだしも、運が悪ければ大事になっていた流血事件を、労災を申請したいという被害者・青島の気持ちを無視してまで封印するのは、何か違う気がするのです。

情報漏洩の件で思い出しましたが、守秘義務についての印象的なエピソードが、映画「新聞記者」にもありましたので、レビューを転載しておきます。

『 >でも、新聞社に出向している公務員である松坂桃李さんの仕事には、守秘義務がありました。妻は、その守秘義務の重大性を理解していましたが、二人の間には、いつのまにか触れてはいけない溝が出来ていました。(本文より)

実は、官僚・杉原(松坂桃李さん)を可愛がってくれた元上司も、少し前に自殺しているのです。

その理由が政界と関係があるのではないかと探っていた杉原と、新聞記者・吉岡(シム・ウンギョンさん)は、とうとう証拠を見つけます。

元上司の書斎にある、鍵のかかった机の中から、杉原にあてた遺書が見つかったのです。「(同じ守秘義務を持つ官僚であり、個人的にも信頼できる)お前にだけは話しておく…」と書かれた。

しかしその時、「たぶん、ここにあります」と言って鍵を渡し、書斎に案内してくれた妻が、「私は知らない方が良いから…」と言って部屋を出てしまいました。

夫の死の真相が書かているかもしれない書類なのに、夫が死んでも自分は見ないのです。民間人であるために。ここにも公務員の妻の矜持というか、哀しい溝がありました。

そして後日、記事になった新聞で、妻はそれを知るのです。』

( 映画「新聞記者」の追記Ⅴ 2019/7/19 9:56 by さくらんぼ より転載 )

(2023.12.19)

@ 『踊る大捜査線』続編決定報道があるようです。TV、映画?

@ 踊る大捜査線 TV版の全話を観終わりました。2023.12.17に書いたように、9話あたりのストーリーには違和感がありましたが、それ以外は、とても面白い作品であることが分かりました。

特に、青島と室井の男同士の友情と、それを許さない仕事上の立場との葛藤は、とても感動的でした。ふと、健さんあたりのヤクザ映画にでも出て来そうな話ですね。

(2023.12.20)

TV「踊る大捜査線」には、「(主人公の)青島には、自分だけの法律があるらしい。上の者が作った法律は破るが、自分の心にある法律は破らない」、あるいは「法律(規則だったかも)は破るためにある」、「超法規的措置だ」みたいなセリフがあったように思います。しかし、青島の「心の法律」の全容は知りませんが、憲法を守る旨の宣誓をしている公務員が、法律を破るのを軽く考えるのは問題で、やはり、これは虚構の世界なのでしょう。

では、リアルではどうかと言えば、上の者が作った法律等の範囲内であっても、適用には幅があるようで、青島以外の公務員も、その幅の中(法律の範囲内)で仕事をしているはずなのです。つまり、必ずしも「厳格」を求めてはいないと思います。その扱いは「適正」というような言葉で表され、役所のマニュアルにも載っています。つい先日も、政治家の方が質問に答え、「適正に行う」みたいなお話をされていました。まさに適正な答弁です。

( これは2023.11.30以降のパレット記事を加筆再掲したものです。)

追記 2023.12.23 ( 和久さん、青島たち、室井、そして室井の上司は、「警察改革」という同じ夢を見ているのか )

青島と室井は対立しているように見えますが、それは職務上の役割を演じているためで、根っこのところでは、相性が良さそうですね。だから、室井は青島を湾岸署から、本庁(警視庁)に栄転させたがっていました。このように、対立しながら、お互いに敬意を持っている関係として、これは映画「眼下の敵」の駆逐艦と潜水艦の、艦長を思い出します。

この構図は、意外にも、本庁内の室井と一部の上司の間にもあるようです。室井が青島たちに入れ込み過ぎると、上司は室井に出世をちらつかせて、「君を○○に推薦しようと思う」「私を失望させるな」「君の夢は、出世して叶えればよい」みたいな話をするのです。これ、「正しいことをしたければ偉くなれ」と言った和久さんや、青島を栄転させたがっていた室井と相似形ですね。

室井の上司は、室井が青島たちに入れ込み過ぎて、室井自身が出世コースから外れてしまい、(警察改革という)本丸である室井の夢が消えてしまう事を心配している気配があります。類似の話は、青島の口からも語られました。つまり、室井の夢は、青島の夢や、和久さんたちの夢であるだけでなく、室井の上司の夢でもある可能性があるのです。

青島は「事件に大小は無い」と言い切ります。しかし、有事には痛みを感じながら、大事(全体)のために小事(一部)を切り捨てなければならない事も、時に、世の中にはあるのかもしれません。だから、室井の期待に青島が答えられなければ、青島も切り捨てられるはず。それは、たぶん「警察改革」の生みの苦しみであり、後には小事(一部)まで救済する事につながって行くのだと思います。


(  最後までお読みいただき、ありがとうございました。
更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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