見出し画像

#ネタバレ 映画「梅切らぬバカ」

「梅切らぬバカ」
2021年作品
おたがいさま
2021/12/1 9:40 by さくらんぼ (修正あり)

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。)

マイナーな作品なので、(失礼ながら)空いているだろうと思って劇場へ出かけたのですが、まったく逆で、近年珍しいほどの賑わいでした。

中年のご婦人が多かったので、(こちらも失礼ながら)もしかしたら、塚地武雅さん演じる自閉症の主人公・忠さんに、子どもを見るように母性本能を刺激されたのかとも思いました。

奇をてらわず、観る前に私が微かに感じてい心配もなく、つまり自閉症児をいたずらにコメディ化せず、映画は良くできていました。安心して観ていられます。

母・珠子を演じる加賀まりこさんとの二人だけでなく、共演者も良い味を出していました。

心温まる77分です。

★★★★

追記 ( おたがいさま ) 
2021/12/1 9:57 by さくらんぼ

映画のタイトルである「梅切らぬ馬鹿」は、ご承知のとおり、「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」から来ていると思います。

主人公の家の庭には、道にはみ出した大きな梅の枝があり、通行にはじゃまですが、いろいろあって枝を切りません。だから「梅切らぬ馬鹿」。

では、「桜切る馬鹿」はどこへ行ったのでしょう。

私は(映画の中の)自閉症児に偏見と差別感情を持っている町内の人たちだと思いました。彼らは自閉症児たちを町から排除しようとしているのです。だから「桜切る馬鹿」なのかもしれません。

この映画は自閉症児の問題を使っていますが、「誹謗中傷問題」など、現代日本のへの問題提起をしているように思いました。

追記Ⅱ ( おたがいさま ) 
2021/12/1 10:03 by さくらんぼ

映画のラストが、快晴のハッピーエンドではなく、

どこか花曇りのような雰囲気で終わるのは、

この問題が現在進行形であることを、

観客に問題提起している記号かもしれません

追記Ⅲ ( ドラマの世界、リアルな世界 ) 
2021/12/1 10:22 by さくらんぼ

ちなみに、あの枝は通行の邪魔というか、危険になっています。通行人の顔に傷をつけたら、失明させたら、倒れて骨折したり、頭を打って亡くなったら、そう思うと、私なら今すぐにでも枝を切りたい心境です。高額の損賠賠償を請求される可能性もあります。

映画で枝を切らないのは、枝を記号として使うシナリオの「ドラマだから」だと思います。リアルな世界とは切り離して考える必要があると思います。

追記Ⅳ ( 「馬」 ) 
2021/12/1 11:18 by さくらんぼ

>私は(映画の中の)自閉症児に偏見と差別感情を持っている町内の人たちだと思いました。彼らは自閉症児たちを町から排除しようとしているのです。だから「桜切る馬鹿」なのかもしれません。(追記より)

主人公たちと対立する主勢力に馬主がいました。

この設定は馬肉(桜)からの連想ゲームの可能性がありそうです。

追記Ⅴ ( 母の人生相談 ) 
2021/12/2 9:18 by さくらんぼ

母・珠子(加賀まりこさん)の内職みたいな仕事は人生相談です。噂を聞いてやって来る若い女性たちを相手にしての。

しかし珠子は、話を聞いても明快な答えを言わなかったような記憶です。その代わり「あなたも苦労したのね…」みたいに慰めるのです。

すると、「私の気持ちを分かってもらえた」と泣き出す相談者。

これで(解決しない!?)人生相談の終わりです。

後は、「料金は自分で決めてね」と優しい言葉をかけいつつも、(言葉巧みに)沢山のお金を払わせてお帰り頂くのです。

この白黒つけない「あいまいさ」は、「おたがいさま」という思想につながって行くのでしょう。

私はこれを見て、自分が若い頃に会社で言われた言葉を思い出しました。「お客様は慰めて返しなさい」という言葉です。もちろん接遇は誠実に行いますが、仕事がら、お客様のご要望に必ず応えられるとは限りません。そんな時、「NOの一言を突き付けて背を向けるだけではいけません」という事だと思いました。

今でも私はその境地にたどり着けませんが。

追記Ⅵ ( 相似形 ) 
2021/12/2 9:29 by さくらんぼ

自閉症の息子・忠男は正確な腕時計をしています。そして、習慣となって、時刻通りに行動を起こすのです。空気を読んで周囲に歩調を合わせるという事はしません。私は専門家ではないので良く分かりませんが。もしかしたら、これは自閉症によく見られる行動なのかもしれません。

そんな息子と「あいまいな」母。

しかし、両者は相思相愛の関係なのです。

この構図は、自閉症の方と、そうでない方との、理想の関係を示唆していたのかもしれないと思いました。

追記Ⅶ 2022.8.28 ( お借りした画像は )

キーワード「時計」でご縁がありました。ユーモラスで楽しい絵ですね。無加工です。ありがとうございました。



( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


#映画感想文

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?