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#ネタバレ 映画「すれ違いのダイアリーズ」

「すれ違いのダイアリーズ」
2014年作品
もっと知りたくなることを「恋」と言う
2016/5/18 7:24 by さくらんぼ

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )

これは「タイ王国」の映画です。

今までの私には、失礼ながら東南アジア系の映画は「洗練さにおいて今ひとつ」の感がありましたが、この映画「すれ違いのダイアリーズ」がそれを払しょくしてくれました。世界市場でも負けません。

さりげなさの中に「どうやって撮影したの」感がひそんでいる映像や、主役二人を交互に描く演出センスにも才能が見えます。

明るいフォーク調の音楽も素晴らしい。

そして、何よりも舞台となる水上生活者のための「水上小学校」が良いのです。ボロイけれど、どこか心休まる楽園にも見える瞬間があって。

風薫る5月の今、あの「水上小学校」へ、授業参観に行ってみませんか。きっとDVDも欲しくなりますよ。

この映画のストーリーは「ダイアリー」が「キー」になっています。昔風に言えば「文通から始まる恋」です。そして今風に言えば「ブログから始まる恋」なのでしょう。そんな、古くて懐かしい世界観が潜んでいます。

ところで、あの「ダイアリー」とはいったい何だったのでしょうか。

「ダイアリー」とは学校における「教科書」の記号だったのでしょう。そして「教師」は「生徒」の記号。

つまり「生徒」が「教科書」を通して世界に興味を持ち、「もっと知りたい」と熱望する気持ちを「恋愛」に例えて描いたものだと思います。

三角関係を終了させた重要なワード「テストではなく、知ることが大切」だったのも、そんな理由からでしょう。

今、ラジオから日本の名曲「浜辺の歌」が流れてきました。これが、また妙にマッチするのです。この映画に。

★★★★★

追記 ( 学びや恋に在る負の感情部分 ) 
2016/5/19 9:19 by さくらんぼ

水上小学校ではトイレも水の上にあり「床に穴が開いているだけ」のものです。落としたアレは魚のエサになるらしい。

ある日、そこに「水死体」が引っかかるのです。

使用中に気づき、びっくりして飛び出して、泣き出す子供。

そのあたりでは、たまに水死体も流れてくるのだそうです。

しかたありません。女の先生は一人水に入り、それを引っぱり出して、お坊さんに渡しました。

あのシーンは何だったのでしょうか。

映画「パリの確率」でも書きましたが、「トイレは問題を解決する場所の記号。お腹が痛い時も、独り泣きたい時もトイレに行くから」です。

そして「死体はたぶん変化の記号。気功をやると分かりますが、トレーニングで自分が未知へと変化していくのは(時に)怖いものです。そして学びにも、喜びだけでなく、時に不安や、テストなどで怖い思いをして成長していく側面もあるから」です。

そして、この映画は「学ぶことを恋に例えていました」。皆様ご承知のとおり「恋には歓びだけで無く、同時に怖さや苦しみも内在する」からですね。

その「学びや恋に在る負の感情部分」を、あのシーンで描いていたのかもしれませんね。


(  最後までお読みいただき、ありがとうございました。

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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