#ネタバレ 映画「デイ・アフター・トゥモロー」
「デイ・アフター・トゥモロー」
https://eiga.com/movie/1047/photo/
2004年作品
図書館
2004/7/17 10:07 by 未登録ユーザ さくらんぼ (修正あり)
( 引用している他の作品も含め、私の映画レビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。)
大自然が牙をむいたら人にはなす術もない。日本人は毎年、台風の経験で骨身にしみている事だろう。
この映画は人間の無力を改めて思い出させてくれる。
人は昔から、営々と調べ、学び、知識を蓄えてきた。それは世界中の図書館に保存されている。知識は人々の命を救い、幸せにするためのものだったはずだ。
しかし、大自然が牙をむいたその時には、燃やして暖をとる紙くずにしかならなかった。
蓄えた知識が間違っていたわけではない。
そうなる事は人間が一番良く知っていながら、いたずらに言い訳を繰り返すだけで、役立てなかったのだ。
もっとペニシリンのエピソードの様に、積極的に行動すべきだったと映画は語る。だから対照的な暖炉のシーンはなんという皮肉な味わいだろう。
マーケットの天井を歩くシーンがある。
マーケット、それはCO2を排出する消費文明の象徴なのだろう。今、そのマーケットの天井が割れ人々に牙をむく。
大洪水そして(Wikipediaのストーリーに説明有り、地球温暖化が起こすと言われる)氷河期、水や寒気から逃げる人間達の描写は怪物に追われているようなスリルがある。
大洪水は「ノアの箱舟」伝説を思い出させる。
図書館の横に流れてきた巨大な貨物船。驚く人々。あれは避難している図書館や沢山のビルを「ノアの箱舟」に見立てている事の示唆だと思う。二つをセットにして登場させる事により連想させているのだ。
そすると、父の言いつけを忠実に守って、図書館に避難していた子とその仲間は、神から啓示を受けた選ばれた者たちのことになる。聖書だけは燃やさずに残すシーンもあった。
このとき父は約束を守って、奇跡とも思える雪中行軍をしてやってきた。父とは「神」の意味が込められていたのではないだろうか。神は約束を守る。
この映画は驕り高ぶる人間の真の姿である「無力」を、リアルな映像で見せ付けた問題作である。いわゆるヒーローが最後に敵を倒す映画ではない。
近年の猛暑が気になっている人は必見である。
追記
2004/7/18 7:26 by 未登録ユーザさくらんぼ
ところで、アメリカ映画の深層にときおり見受けられるキリスト的描写は、言葉は適当かどうか分からないが、いわゆる「縁起かつぎ」みたいな側面が有るのではないかと、ふと思ったりしている。本当のところは良く分からないが。
追記Ⅱ 2022.10.11 ( お借りした画像は )
キーワード「雪」でご縁がありました。ひなびた温泉宿の、露天風呂ならぬ、足湯でしょうか。雪見酒を飲みながら、おつなものですね。黄色い灯りが温かいです。少し上下し、UPしました。ありがとうございました。
( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)
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