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#ネタバレ 映画「夏の庭 The Friends」

「夏の庭 The Friends」
1994年作品
世捨て人は街にもいる
2017/6/30 15:56 by さくらんぼ

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )

街を歩いていると他人様の庭が気になるものです。

下町の踏切や、運河の向こう側など、意外な場所に味わい深い庭を見つけることもあります。別にきれいな花が咲いてなくても、夏草がしげっているだけでも。

それが、何回も通っていると、ある日突然、あとかたもなく、コンクリートの駐車場になっていたりして、「写真を撮っておけば…」と思ったりすることもあります。

この映画は、戦争で敵地の女性を殺めてしまった男が、帰国しても妻の顔がまともに見れなくなり、世捨て人のようになる話だったと思います。

その庭に、戦争を知らない、興味本位の小学生が探検に行くのです。私みたいな。

暑い夏にはまた観てみたい一本です。

★★★★

追記 ( 終身刑 ) 
2018/5/27 8:49 by さくらんぼ

映画「私は貝になりたい」〈1959年〉は、戦争で人を殺めた日本兵が、BC級戦犯として、法で死刑になる話でした。

この映画「夏の庭 The Friends」は、戦争で人を殺めた兵隊が、妻とも別れ、終身の自宅謹慎を、自分に課す話です。

追記Ⅱ ( 美しさ ) 
2018/5/27 9:51 by さくらんぼ

「 その夏ぼくらは探しに出かけた。『死ぬ』ってことを。」 ( チラシより)

子どもたちが見つけたのは、「戦争という殺人」でした。

「 じっと棺の中の喜八の顔を見つめていた弥生は、生きている相手に向かうかのように正座して『お帰りなさいまし』とお辞儀した。」 ( キネマ旬報データベースより抜粋 )

弥生とは、喜八の別れた妻です。

「お帰りなさいまし」という言葉が象徴しているように、この瞬間まで、喜八の戦争は終わっていなかったのです。

もちろん、喜八の行動は、重すぎるのでしょう。もし私なら、あそこまでは出来なかったでしょうし、他人に強要するつもりもありません。

しかし、「心の中で合掌をつづけた喜八たち」を美しいと思う気持ちや、彼らの価値観も、単純に否定はできないのです。



( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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