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#ネタバレ TV「シッコウ!!~犬と私と執行官~」

シッコウ!!~犬と私と執行官~|テレビ朝日 (tv-asahi.co.jp)
2023.8.18


( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )

(2023.7.9~の記事の加筆再掲)

(2023.7.9)

@ TVドラマ「シッコウ!!~犬と私と執行官~」が面白いです。

水道料金は、払わないと、最終的には「停水執行」と言って、水を止められてしまいます。映画「渇水」は。水道局職員と対象家族の苦悩を描いた稀有な作品です。映画では水道局職員が「停水執行」を行っていますが、ネットによると、今では外部委託されている場合もあるようです。停水執行するか否かの判定は水道局職員が行うのでしょうが、停水執行の現場には同席していないのかもしれませんね。

ところで、このTVドラマ「シッコウ!!~犬と私と執行官~」は、家賃を滞納し、大家が訴えて、裁判で出て行くように判決が出されても、まだ出て行かない住人に対し、強制的に立ち退かせる担当者(執行官)のお話です。この執行官も、執行を決定した者ではなく、現場担当者ですね。ある意味、水道局の外部委託を連想します。

ちなみに、執行官は出来高制のようです。執行をしなければ、収入に響くというわけです。厳しい仕事であるのに、と言いますか、厳しい仕事だからこそ、やらなければ収入に響く体形になっているのでしょうか。普通の公務員のような、安定した給料制では無さそうです。

( ちなみに、いわゆる税金取りの、差し押さえの可否は、(私が知っている自治体の納税課では)担当職員が一人で調査し、判断して、現場で差し押さえまで実行します。)

余談ですが、ヒロインは執行官ではなく、無職になってしまった女性なので、どうやって、この仕事に絡むのかと心配していましたら、執行官から執行補助者にスカウトされるのです。ちなみに、行政書士にも行政書士補助者がいるようなので、良く分かりませんが、あれに準じるお仕事なのでしょうか。そう言えば、TVドラマ「HERO」(映画版)には、検事をサポートする検察事務官を、松たか子さんたちが熱演していました。3者は厳密に言えば違うのでしょうが、素人目には、連想させるお仕事ですね。

強制的に立ち退かせたりするわけですから、住人からはヒトデナシあつかいされることを覚悟せねばなりません。正義とはいえ、哀しいお仕事です。

(追記)このドラマによると、執行官は人生行き詰ってしまった人に、新しい道へ進むよう、背中を押してあげる役目も負っているようです。だから、ヒロインも仕事にありつく設定なのでしょう。このあたりからは、映画「マイレージ、マイライフ」の主人公を連想しました。ならば、TVドラマ「シッコウ!!~犬と私と執行官~」は、リスキリング時代の空気を描いていたのかもしれません。

(2023.7.13)

@ TVドラマ「シッコウ!!~犬と私と執行官~」の第二話がおもしろかったです。

第一話は自己紹介的で、喜劇タッチがやや強いものでしたが、第二話は執行官の仕事にさらに深く踏み込んだ、教育映画のようなタッチでもあり、その為、見応えがありました。

ちなみに、債務者から、「今夜の11:55分に来たら金を払ってやる」との嫌がらせを受けた執行官の話でしたが、住民税の税金取りの話をすれば、私の古い記憶が確かなら、原則として「日の出から日没までが実地調査の時間」だったと思います。これには税金取り側の都合もあるでしょうが、昼間が留守だからと言って、深夜の11:55分に実地調査をかけたら、嫌がらせになってしまうので、滞納者への配慮からだと思います。

(追記)TVドラマ「シッコウ!!~犬と私と執行官~」では、大の犬嫌いの執行官が、ペットサロンで働いていた犬好きの女性を執行補助者に雇います。犬に対するガードマンとして。

これだけ観ると笑い話のようですが、調査員にとって他人の家の犬は、犬好きでも怖いものです。侵入者は敵とみなされ噛みつかれる恐れがあるからです。初めて訪れる家では、門の前から庭を覗き、飼犬がいないか調べます。庭木の陰にでも寝ていることがありますから、要注意です。もし、嚙みつきそうな犬がいれば、なかなか入れません。100世帯も担当すれば、中にはそんな家もあるものです。それは要注意事項として調査記事に書かれ、次期担当者へも伝えられるはずです。

(追記2)第一話の舞台は廊下が木造のようなアパートでした。しかし、古いアパートだからでしょうか、住人たちは土足で廊下を歩いていました。住人たちが土足で歩いていれば調査員も土足で良いでしょう。

でも、住人の姿が無い等の理由で判断できない場合、木造りの廊下では、多少汚れていても、調査員は土足を躊躇することがあります。判断に迷って靴を脱いで上がる事もあるでしょう。他人様の家に来て「床が汚かったから土足で上がった」などと言ったら、ただでさえ嫌われ者の調査員が、さらに喧嘩を売るようなものですから。ちなみに、執行官はスリッパ持参のようでしたが、(今はどうか知りませんが)私の知る限り、すべての公務員がそうだとは限らないと思います。

(2023.7.20)

@ TVドラマ「シッコウ!!~犬と私と執行官~」の第三話もおもしろかったです。

第三話の中には、800万円ほどの債権回収のため、夜遅くパチンコ店に乗り込んで、従業員が売上金を数えているところを差し押さえするお話がありました。その現場で押さえなければ、お金が流れてしまうからです。もちろん大騒ぎになります。しかし、執行官は一歩も引きません。裁判所の判決は、黄門さまの印籠のようでした。

これで思い出すのは、税金取りの恐ろしいほどの権限の強さです。税金取りなら裁判不要・担当者の判断と個人印で、800万円を差し押さえることができるはずです。もちろん通常は(念のために)上司の印をもらってから動くでしょうが、上司の印をもらっている間に財産を隠されてしまうような場合もあるので、法律上は担当者一人の権限でも出来るはずです。

そして、金額はもっと小さいですが、TVと似た事例もあります。会社の給与を差し押さえる場合、例えば25日に給与が銀行に振り込まれるなら、25日の開店前に、直接銀行に出勤し、開店と同時に、差し押さえをするのです。本人が25日のランチタイムにでもお金を下ろそうとしても、すでに差し押さえ済みです(生活の糧である給与の場合は、全額は徴収しません)。しかし、現在ではこの作戦も効かないかもしれませんね。本人はネットバンキングで給料を引き出せるからです。

(追記)執行補助者になった吉野(伊藤 沙莉さん)が辞めたいと言い出しました。執行官の小原(織田 裕二さん)が理由を聞くと、「執行現場のように生身の人間が感情をぶつけあうのを、日常生活ではあまり経験したことが無いので、心がざわついて・・・」との事でした。これに対して、小原は「そのざわつきは、とても大切だと思うよ」と言いました。

同じ回には、小原がペットショップを訪れて話をした時、店員から、「執行官というと、冷酷な取り立て屋だと思っていたけど、そうでもないのね」と言われていました。執行官も冷酷な仕事はしてはいけないのです。その為の安全装置が「心のざわつき」なのでしょう。だから大切なのです。

警察官のTVドラマ「ハコヅメ~たたかう! 交番女子~」にも、初めての家宅捜索に拒否反応を起こして、一人外で待っているヒロイン・川合(永野芽郁さん)がいました。先輩の藤(戸田恵梨香さん)は叱るのではなく、「それが普通の気持ちだよ。平気なうちらの方が・・・」となぐさめました。

この「心のざわつき」は、税金取りにも必要な感情だと思います。そのせいかどうかは知りませんが、私の知る限り、住民税の税金取りは、強面が集められているわけではありませんでした。

(2023.7.26)

@ ①督促状が出て法律上「差し押さえなければならない」(「差し押さえできる」ではない)状態になっており、税金取り個人に差し押さえの権限をあたえられていても、とりあえず彼らは自主納税を促すために働きます。そして、その過程で「滞納者の生活が苦しすぎる」と分かると、場合によっては徴収ではなく、彼らを救済するために動くこともあります。先日、救済のための関係部署への連絡を強化する方針を打ち出した自治体もあった記憶です。良い事だと思います。

②対して、信じがたい事ですが、修理に出てきたクルマに、従業員が追加で意図的に傷をつけ、余分に修理費用を請求する民間修理会社もあるようです。

官民の対比、しかし、どちらも「自分の仕事の枠を超え、反対側まではみ出す」という点では似ているような気もします。これを主題にして、①②を描けば、映画が一本出来そうな気もします。

(追記)2023.5.16の記事の再掲です。

「払えないのはSOS」支援を届ける 携帯電話会社から、滞納者へ通知この記事の後段に「税金・国保・水道料金…各課が異変察知 市から声かけ 総合的にサポート』という話があります。良い話ですが、滞納者がその気になってくれないと難しいことです。

例えば、滞納者には①お金があっても滞納を承知で払わない人がいます。差し押さえが行われるのはそのような人です。一方で、②一部には本当に貧しくて払えない人もいます。以前書いたことがありますが、②の人が事情を詳しく徴収担当に説明してくれれば、生活困窮を理由とする徴収の停止(滞納処分停止)もできる可能性があるのです。そして、その情報は、今回の新聞記事のような生活支援へも生かすことが出来そうです。

しかし、滞納者は①②とも逃げの態勢に入ることが多いです。ましてや税金取りに人生相談をしようとする人は大変少ないでしょう。TVドラマと漫画の「健康で文化的な最低限度の生活」(ケンカツ)も、お金は欲しいが自分の事は話したくない(扶養照会もされたくない)生活保護の申請者ばかりで苦労する担当者の話でした。』

(追記2)本文の①について、法律上の「差し押さえなければならない」と、税金取りの「とりあえず彼らは自主納税を促す」ことの整合性についてお話します。

たとえば民間人が差し押さえをするためには裁判所の命令が必要です(TVドラマ「シッコウ!!~犬と私と執行官~」の世界)。しかし、税金の場合はその命令は必要ありません(自力執行権)。でも、裁判所を通す代わりに税金取りが独自に調査して最終決定しなければならないのです。

*調査の最初は、「本人は滞納の事実を知っているか」だと思います。入院していて納税通知書も督促状も見ていない場合もあります。
*次に「納めるから納付書を下さい」と言われれば、渡して待たなければなりません。
*その上で、納付されなければ「この滞納者は滞納の事実を知っているが納めない」と、税金取りは(自分の経験として)判断するわけです。
*次に、もし納めなければ、「納められない特殊な事情が有るのか」を調べなければなりません。生活状況をより詳しく調べたり、財産調査に入ります。
*「納付できない特殊事情は見当たらず、財産があるのに、納付する意思はない」となれば、「差し押さえ予告」という最後通告をします。
*それでも納まらなければ差し押さえとなるのです。
*この他にも、税金取りは、滞納者の調査だけでなく、税務課の課税内容のチェックをすることもあります。例えば、退職者の給与支払報告書で税務課がA町課税している場合、税金取りが実地調査したら、退職後に転居していて、賦課期日にはA町にいない場合も、希にはあるのです(給与支払報告書には退職時の住所が記載される事が多いし、税務課も課税資料全件を実地調査する時間がないために起こる)。そのような場合は課税取り消しを税務課に依頼し、正しい賦課地へ給与支払報告書を回送してもらうという、賦課交渉をすることがあります。

これは一例ですから、必ずしもこの通りの手順になるとは限りません。最初に述べた、法律上の「差し押さえなければならない」条文には期限が無かったはずです。それは調査・決定に時間がかかるからだと思います。ですから、このような手順を踏んでも、遅滞なく差し押さえしたことになるはずです。

(追記3)「本人は滞納の事実を知らないかもしれないし、入院していて納税通知書も督促状も見ていない場合もある」のに、なぜ法律は「差し押さえなければならない」と強気なのかについて、私なりの解釈をお話します。私は法律家ではありませんので、そのつもりでお読みください。

*私の解釈で言えば、「納税通知書等には送達主義をとっているから」だと思います。
*さらに、納税通知書等には不服や異議の申し立て制度がありますから、文書が送達されたのに反応が無ければ、法律上は滞納処分に進めるのでしょう。

しかし、差し押さえられた滞納者が反発し、裁判にでもなれば、どうなるかわかりません。なので、リアルな差し押さえの現場では、より慎重に仕事が行われているのだと思います。形式審査だけでなく実質審査も行うわけです。以下に送達主義の説明がありましたのでご紹介します。

件名:4160 納税義務者本人に納税通知書や督促状が届かなかった場合、どうなりますか? (渋谷区ホームページより)

(2023.8.4)

@ TVドラマ「シッコウ!!~犬と私と執行官~」第4話を観ました。やっと差し押さえたのに、物品を搬出する前に夜逃げされてしまい、落ち込む執行官。補助者のヒロインと口論になりますが、「仕事を80件も抱えているんだ」と執行官は次に向かおうとします。仕事で精神的なダメージを受けてもすぐに立ち直らないと次には進めませんね。この「どろ~ん」とした割り切れない気持ちは、時に税金取りにも共通するものでしょう。税金の徴収でも滞納者に逃げられることはあります。手を尽くして可能な限り追いかけますが。

それから、ヒロインの主たる仕事はペットショップの店員のようです。そして、そのペットショップは保護犬の新しい里親探しもしているとか。保護犬の「第二の人生への橋渡し」という仕事は、執行官の「人生行き詰ってしまった人の背中を押す」という仕事と相似形になっていますね。

ということは、「いやだ、いやだ」と言いながらも、補助者をしているヒロインは、だんだんと執行官の仕事への理解が深まり、(伏線で女性執行官の話も出て来ましたし)もしかしたら、最後には、執行官になることを目指すのかも。

(2023.8.16)

TVドラマ「シッコウ!!~犬と私と執行官~」の第6話を観ました。クライマックスでは、裁判所の執行官室に債務者の男が乱入し、「強制執行を取り消せ」と、ハサミか何かを手に持って要求するのです。ドラマでは、居合わせた執行官が「何するんですか、ここは裁判所ですよ!」みたいな事は言いますが、警察には連絡はせず、人情ドラマとして解決されます。このドラマ、回を追うごとにヒートアップして行き、面白いです。

もし、リアルな区役所の窓口で住民があんなことをしたら、凶器を手に持った時点で、「一線を越えた」と判断され、警察に通報される可能性が高いと思います。放置すれば、当事者だけでなく、周囲の無関係な住民まで犠牲になりかねず、その場合、「役所の不作為」だと、役所側も世論から叩かれる心配があります。警察を呼べば、おそらく新聞沙汰になり、同居している可愛い孫娘の将来や、友人知人・親戚縁者にまで、犯人は傷をつけたことになりかねませんが。

(追記)ドラマのラストでは、強制執行でマンションを追い出された男と孫娘が、手荷物だけを持って去っていきます。今夜の寝場所を心配していた執行官は、すでに社会福祉事務所かどこかに連絡済みだったので、その旨を男に告げると、「お前の世話にはならん! ホテルに泊まる」と言い放ち、立ち去ろうとしました。

それを見ていた執行補助者のヒロインは、「私が荷物手伝います」と言ってついていきます。男は振り向きもせず、自分の持っていたバッグをヒロインに渡しました。人情噺としては、味のあるラストです。

しかし、リアルとして見ると、執行官の言動には疑問が残ります。
①去っていく(執行の)対象者全員に、執行補助者がカバン持ちとしてついていくのか。もし、ついて行かないのならば、今回の行動は特別扱い、いわゆる「一部の奉仕者」にならないか。もし特別扱いするのなら、正当な理由があるのか。

②男は数時間前に裁判所に乱入し、凶器まで手に取った事実がある。その男に、ヒロイン一人をカバン持ちとして同行させる判断は、責任者の執行官として、はたして適切なのか、などです。

男を認知症とまでは言いませんが、「政治家は不正を働いても『知らぬ存ぜぬ』でうやむやに出来る。自分も強制執行に反対することで、うやむやに出来る」みたいな事を言い、マンションの明け渡しを拒んでいました。さらに、裁判所まで乱入し、凶器を手に取ったのです。

高齢者は、認知症とまではいかなくとも、一般に、歳相応の認知機能の衰えあってもおかしくありません。そして、前述した男の言動からみて、この男にも、その気配がありそうですし、無いにしてもトラブルの前歴はあります(明け渡し拒否と裁判所乱入)。ならば、ホテルに着いた時、荷物を運びこんだヒロインを人質の取るような事も、可能性として考える必要があるかもしれません。

そう思うと、執行官がヒロイン一人を対象者に同行させることは、適切な判断だったか疑問が残ります。私ならヒロインに対し「君にはもう少し頼みたい仕事がある」と、嘘も方便で、引き留めたでしょう。

(追記2)執行官は国家公務員ですが、給与制ではなく、仕事の出来高制だそうです。ネットで少し調べてみましたが、昔は結構良い収入になったとか。考えてみれば、収入が給与制よりも低ければ、「同じ国家公務員なのに差別するな」と執行官から声が上がり、それは正論だと思われるので、当局も是正に乗り出さざるを得ないでしょう。

しかし、現在まで出来高制が放置されており、ドラマでも、ことさら不満を述べるシーンが出て来ないところを見ると、やはり、給与制よりも良い収入になるように、私は想像します。ちなみに、ドラマによると「執行は月に80件ある」ようですし。マンションの件での、執行依頼人(債権者)への、執行官からの費用請求書の金額は30万円ぐらいありました。

(2023.9.8)

@ TVドラマ「シッコウ!!~犬と私と執行官~」の最終話を録画して2/3ほど観ました。「法律を教えて欲しい」と言うヒロインに、執行官は「老子」の文庫本と、「こども六法」みたいな本をプレゼントします。「老子」はあちこちで断片的に読んだことはありますが、一冊丸ごとはありませんので、今度買ってみようかと思います。「こども六法」は分かりやすそうですね。私にぴったりなので、こちらも今度探してみようかと思います。それにしても、もう最終話とは・・・。(追記)最後まで観たら、最終派と最終回はちがうようです。次回が最終回か。

(追記2)「六法」と「老子」を読むことが執行官の定石なのか、あるいは、このドラマだけの創作なのかは知りません。しかし、言わんとしていることの普遍性は分かるような気がします。

法律には血が通わなくてはいけません。解釈は時代背景によっても違う事がありますし、通常、厳格ではなく「適正」な運用が求められると思います。
その「適正」のなんたるかを判断するためには、世の中を知らなければならず、そのための教養の一つとして「老子」が選ばれたのではないかと思います。

ちなみに、私の知っている役所では、マニュアルに老子は使いませんが、六法の他に、法律の逐条解説や、法律を実行に移す事務マニュアル、上級官庁からの事務連絡等を使い、現時点にマッチした「適正」な運用をめざしています。事務マニュアルにも「適正」という言葉が出て来ます。

(追記3)若い頃、映画「燃えよドラゴン」が大ヒットしました。その中に、主人公・リーが、オハラとの試合で、妹の敵討ちをする有名なシーンがあります。

この敵討ちは少林寺の掟に反するようですので、優等生だったリーは、掟破りをする事への苦しみもあったはずです。そして、妹を亡くした悲しみ、助けてやれなかった悔恨、妹を自殺に追い込んだオハラに対する憎しみもあって、最後のリーの、あの印象的な表情が出て来るのだと思います。

リーは、実生活では、大学で哲学を学んでいたようです。若いころ私は、職場の先輩に、「哲学を学んでいた事と、オハラへ敵討ちの、リーの印象的な表情の関係性」を語ろうとしました。でも、一笑に伏されてしまい、それが、ずっと胸に刺さっていました。

しかし、もし教養が行動に出るのならば、「老子」と「六法」がマッチするならば、私のリーの芝居への見方は、まんざら的外れでもなかったのかもしれないと思いました。

追記 2023.10.3 ( 公務の執行と職務権限 )

最終回まで観ました。

ヒロイン・(犬担当の)執行補助者が出しゃばり過ぎの感がありました。

ヒロインは執行官になりたいので、勇んでしまうのは理解できますが(ですから、そのような演出になっているのでしょうが)、これは民間の仕事ではないのです。

執行官という公務員が、職務権限に基づいて公務を執行しているわけですから、執行補助者であるヒロインも、適切な言動が必要です。職務権限を越えればヒロインの違法行為となる心配があります。そうなれば執行官の監督責任を問われる可能性も。債務者側の弁護士から「違法な執行は無効だ」と訴えられたらどうするのでしょう。

しかし、ヒロインの言動はそれを逸脱気味に感じられました。例えば、執行官と債務者が口論している時、独自の判断でヒロインは横から口を出しますが、これは如何なものでしょう。同じ執行補助者である運搬担当や鍵職人等は口出しません。それが本来の姿でしょう。

本来なら、ヒロインはまず執行官に相談し、OKをもらってから、OKをもらった部分についてのみ、慎重に債務者に発言すべきだと思います。しかし、OKどころか、言動を静止気味、困惑気味の執行官を差し置いての発言が目立ちました。

公務ということで、映画「空母いぶき」の艦長と新聞記者のヒロイン(艦長から衛星ケータイを返してもらい、事実上、空母いぶきの広報担当にされた)に置き換えると、(少しオーバーに言えば)艦長でもないヒロインが、艦長を飛び越えて、マイクを握り、独断で敵艦と交渉を始めたようなものだと思います。

と辛口の事を書きましたが、それを除けば、最終回は、おおむね標準的な仕上がりだったと思います。このドラマは、貴重な公務員ドラマの一つとして、忘れてはいけないものになりました。

追記Ⅱ 2023.10.3 ( TVドラマ「健康で文化的な最低限度の生活」 )

TVドラマ「健康で文化的な最低限度の生活」でも、トラブルのある家庭を訪問するヒロインに、係長は、ヒロインと同期の男性職員を一人同行させました。しかし、現地につくと、ヒロインは男性職員を表で待たせ、一人入室するのです。これは上司の命令を部下であるヒロインが勝手に変更したことにならないでしょうか。もしトラブルが起きた時、責任問題はどうなるのでしょう。

すでに、ヒロインは担当する受給者を一人自殺で亡くしています。この上、命令違反で人身トラブルが起きたらどうなるでしょう。言った言わないの問題も起こりかねません。さすがに2件も重大トラブルを起こしたら、「担当する受給者を一人亡くしたどころか、彼女は上司の言う事も聞かない」と言われ、役所内でもヒロインにとって良くない評判になりかねず、出世コースから外れるどころか、左遷されかねないと思います。


( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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