記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

#ネタバレ TV「虎に翼」と「健康で文化的な最低限度の生活」など

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )


名古屋市市政資料館や名古屋市公会堂も舞台になっている

(2024.4.12)

「名古屋市市政資料館 - 地域情報動画サイト 街ログ」。 名古屋市市政資料館が朝ドラ「虎に翼」では裁判所として登場するようです。名古屋市役所の裏手にあります。ですから、ここに行けば、同様にクラシックな建築物である名古屋市役所と愛知県庁、そして名古屋城を同時に観光できます。徒歩圏内です。名古屋市公会堂は他区の公園内にあります。

ちなみに、名古屋市市政資料館は住宅地の裏通りにひっそりと建っていますから、近くまで行かないと気づかないので、見逃す人は多いと思います。その昔、私も偶然発見し、勇気を出して入ってみた一人です。その時は「とても美しい」という印象でした。名古屋市公会堂の画像

「誰でもいいから結婚相手をさがして欲しい」は「就労目的の偽装結婚」の疑いも⁉

先日の朝ドラ「虎に翼」では、寅子が両親に「誰でもいいから結婚相手をさがして欲しい」と言いました。花岡との秘めたる恋が終わったし、当時は女性弁護士が社会的信用を得るには(仕事を得るには)結婚が有効だと思ったからでしょう。これは、弁護士活動を有利にするための手段として結婚を熱望したとも言えるのではないでしょうか。「華麗なる一族」の政略結婚を連想します。いや、それ以上かもしれない。本人が「誰でもいい」と言ったのですから。

でも、それでは結婚相手になる男性に失礼な気がします。今よりも女性が虐げられていた時代背景を考えると、寅子の男性観にバイアスがかかっていたのかもしれませんが、立場を逆にして見れば分かるでしょう。「誰でもいいから結婚したい」という男性に反感を持っても、好感を持つ女性は少ないと思います。

思い起こせば、「虎に翼」の最初の頃に、寅子が無理やりお見合いをさせられるエピソードがあり、その席では、寅子の露骨に嫌がっている表情が(マンガ的な演出なのでしょうが)ありました。会う前からお見合いの返事はNOと決めていても、その席では、相手に失礼のないようにしてほしいと思いました。

(追記2)ちなみに朝ドラ「虎に翼」では、花岡と寅子が二人きりの時、花岡が海外へ行く話をしました。彼は①「一緒に来てほしい」、あるいは②「帰国まで結婚を待っていてほしい」と言いたかったのでしょう。しかし、どちらも言えないまま二人の沈黙が続きます。そして、その沈黙を破るように、口をふさぐように、寅子が③「いってらっしゃい」的な言葉を発します。寅子としても、これから弁護士という仕事をしたいと思っていましたから、花岡より仕事を選んだのだと思います。

この段階で花岡はふられたと思ったのでしょう。だから、帰国した時には、花子に遠慮することなく、どうどうと婚約者を紹介したのだと思います。しかし、事実上、自分が花岡をふったことに気がついていない寅子は、このとき傷ついたのです。又、第三者である友人たちが花岡を加害者だと決めつけて問い詰めるのは、稚拙だと思いました。恋愛はときに当事者同士でも分からぬ世界なのです。ましてや、断片的な情報しか知らない第三者に何が分かるというのでしょう。

(追記3)「虎に翼」、先日の回では、寅子は佐田と結婚しました。しかし、初夜だというのに佐田は我慢させられたのです。この辺りから見れば、就労目的の偽装結婚の疑いはないのでしょうか。法律家の寅子としては、特に嫌疑をかけられてはいけない行為でしょう。近年のTVドラマでは、(懲役刑もある)偽装結婚の疑いのあるストーリーがたまに見受けられます。

「虎に翼」から「健康で文化的な最低限度の生活」など連想する

朝ドラ「虎に翼」では、現在、戦災孤児の問題を描いています。このあたりの話からは自治体職員の苦悩を連想します。司法の上層部と、行政の末端では違うと思われがちですが、映画「羊の木」や、TV「健康で文化的な最低限度の生活」(ケンカツ)を思い出してもらえばご理解いただけるでしょう。

先日の朝ドラ「虎に翼」では、廊下に作った法律相談所コーナーで、ヒロイン・寅子(伊藤沙莉さん)たちが、失踪宣告、就籍、養子縁組、離婚に関する氏変などの、相談を受け付ける様子が出て来ました。もちろん、現代でもそれらの相談者はいますが、少なくとも今は、いきなり(敷居が高い)家裁の門を叩く人は少ないのではないでしょうか。まずは区役所等の市民課で相談する人が多いように思います。

市民課の職員は、高卒・大卒関係なく窓口に出て、「虎に翼」のように住民の話を聞き、家裁の手続きが必要な場合は家裁へ行くように指導し、市民課だけで手続き可能な場合は、届出用紙を渡して書いてもらいます。ちなみに、家裁の手続きが必要な場合でも、それが終わったら、基本的には、家裁が出した書類を添付して、市民課に届け出てもらう事になるはずです。

(追記)例えば、税金の相談を市民課でしようとすれば、「税務課でお願いします」などと、門前払いになるでしょう。しかし、失踪宣告、就籍、養子縁組、離婚に関する氏変などに関する相談は、(すでに述べた通り)最終的には市民課への届出が必要であり、市民課が担当している戸籍の問題なのです。ですから無関係ではありません。

そして、それらの相談には、家裁の手続きが必要なものと、必要ないものが混在しています。だから話を聞き、家裁の手続きが必要なものについても、アウトラインぐらいは、わかる範囲で説明が必要な場合があります。税務課と市民課の例のように、安易に門前払いは出来ないのです。

(追記2)他人の確定申告書の作成は、税理士か税務署職員のような有資格者しか出来ません。しかし、税理士資格のない区役所等の税務課職員にも、期限を区切って臨時税理士の資格が与えられ、確定申告書の受付をさせています。そして、確定申告書の住民税の控えは区役所等に流れ、住民税担当が内容点検して住民税を課税しています。

住民から住民税の課税内容に異議があった場合は、住民税担当は確定申告書の住民税控え等を見て、住民に説明します。そして、万一、確定申告書の内容に誤りが見つかった場合は、住民税は職権(あるいは住民税の申告書)で直せるとしても、所得税は税務署でなければ直せませんので、税務署へ行くよう指導します。このように、住民税と所得税がクロスオーバーしている状態は、市民課と家裁を連想します。

又、(現在は変更があるかもしれませんが)年金事務においても、区役所等の年金係と社会保険事務所はクロスオーバーしていました。各種・国民年金の裁定請求書等の受付は区役所等で、審査は社会保険事務所だったのです。社会保険事務所は裁定請求書等に問題を見つけたら、区役所等に戻します。そして、区役所等から本人に連絡して、訂正を求めるのです。

(追記3)選択的夫婦別姓問題や、同性婚問題。現時点では認められていないのに、市民課に「それでも認めてほしい」と婚姻届を出す人がいたとしたら、行政であるのに、ある程度は立法や司法のような雰囲気で、話を聞いたり、したりする必要も出て来るのではないでしょうか。住民から「どうしてそんな法律なんだ」と言われた時、「ここは行政なので立法のことは知りません」と門前払いしたら、役所は冷たいと言われる事でしょう。

その他の係でも、「税金が高い」「税法上は間違っていません」「そこを何とかしてほしい」。窓口でそんな押し問答があるとしたら、同様ではないでしょうか。区役所等が、「法律上できません」と答えても住民が納得しない場合には、どの係でも、ある程度、会話が行政の範囲を超えてしまう恐れがあるように思います。

(追記4)相続に関しては、ドラマのように遺言状での相続争いの仲裁に入るような事は、市民課ではしません。もし相談があった場合には、まずは区役所で定期的に行われている弁護士による無料法律相談を案内するはずです。

市民課で行っていることは、被相続人の戸籍を出生から死亡まで探すことです。戸籍を探すには本籍と筆頭者、除籍の場合には除籍年月日等が必要になりますが、相続人は自分の本籍・筆頭者を知っていても、被相続人のものを出生までさかのぼって正確に書ける人は少ないので、市民課の調査も必要になる場合が多いのです。

税務課では被相続人の残された税金を相続人に請求する事があります。その為に公用で戸籍調査が必要になる場合もあります。通常は、相続人代表者指定届を相続人の誰かから出してもらい、残された税金の納付書を代表者に送付しますが、ごくまれに、(相続争いがあるのでしょうか)法定相続分ごとに按分した納税通知書を求められる場合もあり、その場合は求めに応じる事もあるはずです。さらに、家庭裁判所で相続放棄をした場合には、税務課に届ければ、税金の請求は止まるはずです。

(追記5)先日の朝ドラ「虎に翼」には、離婚の話があり、①協議離婚、②調停離婚、③審判離婚が紹介されていました。区役所の市民課の窓口には①の離婚届は毎週何件もあり、婚姻届同様珍しくありません。家裁が関与する②③はぐっと減りますが、時どき出て来ます。

②③の人は、揉めているわけですから、弁護士や家裁へ相談されるのでしょう。市民課に相談に来る人はほとんどいません(もし相談があっても無料法律相談や家裁をご案内する事になるはずです)。そして、家裁で離婚が決まれば、家裁の調停調書謄本や審判確定証明書・審判書謄本等を添付書類として、区役所等に離婚届を提出する必要があります。離婚を戸籍に反映させるためです。これを報告的届出と言います。対して、①は創設的届出と言います。ちなみに、婚姻届は創設的届出であり、出生届は報告的届出です。

恩師・穂高の退官記念の祝賀会での寅子の不適切

先日の朝ドラ「虎に翼」では、ヒロイン・寅子が、恩師・穂高の退官記念の祝賀会で、花束贈呈の担当だったのに、突然それを拒否して逃げ出し、廊下に出て来た穂高を、面と向かって喧嘩腰で非難したのです。私にはなぜ寅子が怒ったのか分かりませんでした。しかし、(身内の裁判で弁護してくれた恩人でもあったのに)それどころか、穂高が親の仇だったにせよ、寅子の行為が適切だったとは評価したくありません。

祝賀会の担当者たちは祝賀会という行事の成功のために働く必要があり、担当を受けた以上、個人的な問題は祝賀会とは切り離す必要があると思います。さらに、祝賀会に来て下さった、たくさんの来賓の方々には何の罪もありませんが、不快な思いをさせてしまった事はどう詫びるのでしょう。そして、祝賀会の責任者にも恥をかかせ、恩人ではあっても親の仇ではない穂高は、人生の集大成でもあるあの祝賀会に、目下の者から意味不明の説教をされ、冷や水をかけられたのです。葬式での説教と同じく不適切な行為だと思います。

もし寅子が男性ならば、来賓を含めた周囲から「そういうじんぶつだ」と評価され、左遷されなくとも、以後、出世コースから外れてもおかしくないと思います。それでも出世コースに残っていたなら、それは「おんなだから」と大目に見てもらえたからかもしれません。しかし、それは男女平等をめざす寅子にとって、ありがたい事ではないでしょう。

(追記)退官の挨拶で、穂高は「出涸らしも何も、昔から私は自分の役目なんぞ果たしていないのかもしれない」と言いました。定年退職時の挨拶としてよく用いられるものに、「大過なく過ごすことが出来ました。これも皆様のおかげです」みたいなものがあります(「自分にそれ以上の功績は無く、それすらも皆様のおかげ」という意味でしょう)。自分を謙遜して言う言葉ですが、穂高の挨拶からはそれを連想しました。だから、私は大人らしい適切な表現だったと思います。

さらに、昔、寅子が出産か、仕事かを悩んでいた当時、穂高は迷うことなく出産に専念するよう助言しました。仕事には代わりがいますが、自分の出産は自分しか出来ませんから、極めて分かりやすい話で、あれも適切だったと思います。

(追記2)ネットを見ていたら、このトラブルは「寅子なりの愛情表現である」みたいな話がありました。私の理解では、それはたぶん、恩師が「昔から私は自分の役目なんぞ果たしていない」と言った事に対し、弟子が「そんな事ありませんよ先生」とフォローするようなものなのでしょう。加えて、少し、父と娘みたいな気配も感じられなくもありません。そのような解釈なら理解できない事も無いですが、トラブルと化しては良くありません。やはり今回、寅子は後日に、それを口にすべきであり、前後の見境もなく、あの場で行ったことは不適切だったと思います。

「家族がつらい思いをする」ことは自治体職員にも

朝ドラ「虎に翼」の寅子が家庭(特に子供)を犠牲にしていました。しかし、家族がつらい思いをするのは寅子だけではないかもしれません。

【『 「公務員との結婚…覚悟が必要!」意外!?結婚後の苦労とは… 』 「公務員あるある」ですね。台風や大雨で警報クラスが出ると(出る可能性が高いと)、市町村役場職員等は交代で役所に詰めます。深夜でも招集がかかるのです。ローテーションしますが、大災害が起こらなくてもワンシーズン(夏場)に一回ぐらいは覚悟が必要です。つまり、毎年一回ぐらいは、妻子は心細い思いで災害を乗り越えなければならない可能性があるのです(避難所に必ず女性職員が必要なら、女性が少ない場合、女性は一回では済まない可能性があります)。通常1日で帰宅できますが、大災害になると、いつ帰れるか分からない可能性もあります。さらに、平職員よりも管理職の方が、人数が少ないので帰りにくいかもしれません。】

「小記事の備忘録」行政・政治 の話題|sakuranboのパレット (note.com) 防災関係の話あれこれ より抜粋再掲 〉

寅子や公務員は誰の味方なのか

又、朝ドラ「虎に翼」の寅子は、国民から「女性の味方」と思われているようです。これは、寅子の言動にも責任がなかったとは言えない気がします。先日の回では、その為に、裏切られたと誤解した女性から刃物で刺されそうになりました。

私は「今までの法律は男性の味方でしたが、法律は変わりました。私は男性の味方にも、女性の味方にもなりません。私は全体の奉仕者であり、しいて言うならば『法律の味方です』」と、寅子は宣伝した方が良かったと思いました。

(追記)ところで、TVドラマ「健康で文化的な最低限度の生活」(ケンカツ)の第2話にこんなエピソードが描かれています。

ヒロイン・義経えみる(吉岡里帆さん)が担当する受給者に不正受給が発覚したのです。受給者宅の高校生の子どもが親に内緒でバイトをしていました。当然に親は申告はしません。だから生活保護の支給額が規定より多くなってしまったのです。子どもは満足な小遣いがもらえないはずなのでバイトをした心情は分かりますが。

すべてを知った親は義経えみるに温情を期待しますが、悪質な場合は刑事告発もある不正受給です。基本的に過払い分の生活保護費は返還しなければなりません。

しかし「あなたは私たちの味方でしょ。高額で無理です。返還金額は少なくなりませんか。あなたは新人だから法律を知らないんじゃないですか?」と、痛いところを突きながら温情を期待するのです。この親の気持ちも分ります。生活保護を受給している親が、よりによって生活保護担当から借金返済を迫られる不条理に陥ってしまったのです。しかも担当者は頼りなさそうな新人。

仮に、ここまでが受給者側の責任だとしたら、ここからは役所側の責任と言っても良いでしょう。

「無意識のうちに、義経えみるは受給者側の味方になってしまった」のです。これは誤りだと少なくとも私は考えます。その無意識から生まれた不公平な判断から、受給者に有利な(この時点で不公平が発芽している)、しかも誤った法律解釈の説明をしてしまう義経えみる。

でも、あえて言うなら公務員は憲法の味方なのです。

この「ケースワーカーは生活保護受給者の味方なのか」は第2話の主題なのかもしれません。役所内で新人たちがランチで話題にするシーンもありましたから。

〈 #ネタバレ TV「健康で文化的な最低限度の生活」(ケンカツ)に見る区役所のリアルな空気感|sakuranboのパレット (note.com) の追記18 ( ケンカツを再放送を観ました② )より抜粋・加筆再掲 〉

ローカルルールにもプライドを持つ人がいる

先日の朝ドラ「虎に翼」の話です。寅子は部下から「あなたは何もしないでほしい」みたいな事を言われました。「ここにもローカルルールがあるから、外様大名のあなたは黙認して欲しい」という意味だと思います。これは、寅子のいた役所に限った事ではなく、民間にもあると思います。大銀行を定年になり、関係する中小企業に天下った知人は、そこの従業員の仕事ぶりがあまりにも古巣とは違っていたので、改革をしようとしたのです。そうしたら、あわてて社長がやってっきて、「(融資の口利きだけで良い)あなたは何もしないで欲しい。新聞でも読んで黙って座っていてください。給料は出しますから」みたいな事を言われたそうです。

いくら従業員の仕事ぶりに問題があっても、彼らにもローカルルールがあり、宗教が違うようなものです。それを、いきなり外様大名に否定されては、仕事の善し悪し以前に、彼らのプライドが許さないのだと思います。戦争という言葉は使いたくありませんが、屈辱は戦争につながりかねません。それでも改革をしたければ、「私がルールブックだ」だという気持ちは脇に置いておき、彼らのプライドを傷つけないように話を持っていくことが必要だと思います。私は苦手ですが、それこそ酒席で仲良くなり、とりあえずは仲間として認めてもらうことも方法かもしれません。話はそれからです。

(追記)上記のような問題と比べると、かつて寅子が恩師・穂高の退官記念の祝賀会で、恩師に喧嘩腰で説教をし、恩を仇で返すがごとく、祝賀会に冷や水を浴びせた事や、上司と一緒にラジオに出る事になった時、上司の意見に反論し、国民の面前で上司に恥をかかせた事などは、はたして適切な行為だったのか。甘えが混じってはいなかったのか。やがて、寅子はその答えを知ることになるのだと思います。

(2024.4.12~2024.7.19のパレット記事の抜粋・加筆・再掲)



(  最後までお読みいただき、ありがとうございました。
更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?