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#ネタバレ 映画「永遠の門 ゴッホの見た未来」

「永遠の門 ゴッホの見た未来」
2018年作品
イエスとゴッホ
2019/11/14 21:54 by さくらんぼ

( 引用している他の作品も含め、私の映画レビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。)

『    >人々を最後に縛るのは、従うのは、人間が作った規則ではありません。それは自分の心です。たとえ世界中を飛び回っても、そこからは逃げ切れません。どんな規則にも勝るのです。

「命のビザ」でおなじみの、杉原千畝氏は、日本の外交官であると同時に、クリスチャンでもありました。

いや①クリスチャンであると同時に、②日本の外交官でもあったのです。

だから「命のビザ発給」のときは①クリスチャンとして「神の命に従い」判断したのだと思います。これが思考の出発点ではないかと。

「 だれも、ふたりの主人に兼ね仕えることはできない。一方を憎んで他方を愛し、あるいは、一方に親しんで他方をうとんじるからである。あなたがたは、神と富とに兼ね仕えることはできない。」

( Wikisource「マタイによる福音書(口語訳) 6章の24」より引用 )   』

映画「ターミナル」の追記Ⅲ 2016/9/23 by さくらんぼ より抜粋

映画「永遠の門 ゴッホの見た未来」を観ると、ゴッホの父は牧師さんで、その影響を受けたゴッホも聖書を読み込み、神父さんと対等に会話ができそうなほど、キリスト教に精通しています。そして信者のようです。

そんなゴッホは、死ぬまで社会的評価がされなかったイエス様と、自分とを重ね合わせていたようです。

チラシの両手を広げたシーンは、深呼吸ではなく十字架を意味しているのでしょう。

そして、腹部を拳銃で撃って自殺したのは、磔のイエス様を模したのかもしれません。

ウィレム・デフォーさんのパワーでしょうか。監督さんの力量でしょうか。映画に力があります。そして、ゴッホが魅力的な人物に描かれています。もう一度逢いたいほどに。

★★★☆

追記 ( 生前に才能が評価されない辛さ ) 
2019/11/15 9:26 by さくらんぼ

>そんなゴッホは、死ぬまで社会的評価がされなかったイエス様と、自分とを重ね合わせていたようです。

冒頭、お店にゴッホの絵ばかりがかかっているシーンがありました。ところが、店主が「こんなゴミは持って帰ってくれ、客が逃げる」とばかりに取り外し、ゴッホに文句を言ったのです。ちなみに、ゴッホは他の画家にも参加してほしかったのですが。

また、耳の件などで精神病院に入院させられていたゴッホを、退院させるか否かの検査のため、神父さんが面接をするシーンでは(医師ではなく神父さんであることが時代を感じさせます)、神父さんはゴッホの絵を手に取り、苦々しい顔で、「この絵をどう思う。これは芸術ではない」みたいなこと言い、面接後には、絵を裏向きに置いて帰っていきました。

ゴッホは絵を描くことが大好きだったのですが、あの画風でしか書けなかったのです。あの画風でこそ書きたかったのです。なのに世間様はその絵をゴミ扱いする。自分の才能がまったく評価されないということが、あんなに辛いということを、あらためて、この映画で見せられたような気がします。

そんなゴッホは己をイエス様になぞられるようになりました。そうやって自分で慰めていたのです。私の絵は未来にこそ評価されると。

追記Ⅱ ( 才能と物まね ) 
2019/11/15 9:48 by さくらんぼ

『  主人公が酒を飲んで、さめざめと語るシーンがあります。「自分は小学校しか出ていない。中学は中退した。だから小学校しか出ていない」と。

そんな彼は、湖南省から油画村へ出稼ぎに来て、独学で油絵を学び、以後20年もゴッホを描き続けています。

これは想像ですが、たぶん最初は、単なる作業員だったのでしょう。それが職人になり、とうとう芸術家魂まで起動することになったのです。ここに彼という人間が感じられます。

もしかしたら、現在の内心は、どこかでゴッホをライバル視しているのかもしれません。だから、ぜひとも本物を観たくなったのでしょう。

彼は今後、複製画だけでなく、オリジナルも描きたいようです。100年先の人に評価されればよいと。』

映画「世界で一番ゴッホを描いた男」追記Ⅲ 2018/11/8 by さくらんぼ より抜粋

映画としての迫力は、残念ながら「ゴッホの複製画家」を描いた、映画「世界で一番ゴッホを描いた男」に軍配が上がると思います。ドキュメンタリーとして大成功した一本です。

本物のゴッホが「狂人扱いされ、世界を敵に回しても、この画風でしか書けない」のに対し、複製画家は「全身全霊励んでもゴッホに追いつけない」。

この二本の映画は、比較して観ると面白いと思います。

追記Ⅲ ( ピアノ ) 
2019/11/19 8:43 by さくらんぼ

映画「永遠の門 ゴッホの見た未来」に挿入されていたピアノ曲が苦手です。

ガーンと頭をぶつけたようなメロディーなのです。それが映画館独特の大音量で、必要以上にデフォルメされている感です。

私的には☆一つ減点に匹敵します。

ところで、あれは何なのでしょう。

ゴッホの絵(「線の太い」タッチ)を音で表現したとしたら、共感覚的にはマッチしていないような気がします。

あのタッチは、ダイソーで売っていた足踏み健康器に素足を置いたような「丸いぶつぶつ感」であり、「四角いモノリス」的なガーンではありません。

もしかしたら、病んでいたらしいゴッホの頭痛だったのかもしれませんね。

いや、「ゴッホの先進を音で表現したモノリス」なら、納得できるかもしれません(冗談です)。

追記Ⅳ 2022.12.6 ( お借りした画像は )

キーワード「未来」でご縁がありました。田舎をドライブしていて、ふと立ち寄った喫茶店の窓から、このような景色が広がっていたら幸せですね。少しだけ上下しました。ありがとうございました。


( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)

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