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「小記事の備忘録」公務員の話題

「今週までのパレット」「小記事の備忘録」は 過去ログにもあります。

お借りした画像は「キーワード」公務員でご縁がありました。ストレスが消えていくような風景ですね。無加工です。ありがとうございました。


(固定)イチオシの公務員ドラマ

2022.12.9

TVドラマ(漫画も)「健康で文化的な最低限度の生活」。ご承知のとおり、吉岡里帆さん主演の、区役所のケースワーカーのお話です。公務員の仕事を、そして区役所内部の空気感を、とてもリアルに描いた稀有な作品だと思います。公務員の仕事は世間で言うようには楽ではありません。それを知るためにも、就職希望の方には、特にお勧めします。ちなみに、この作品は黒澤監督の名作「生きる」の続編、あるいはオマージュとしても観ることが出来そうです。原作漫画も人気です。

(2023.5.1追記)

(2023.4.30の記事の加筆再掲)①刑事ドラマは毎年のようにありますね。>②裁判や、マルサのドラマも時々あります。>③生活保護のドラマはありましたが、私の知るかぎり一本だけです。>では、なぜ④その他の市区町村役場職員が活躍するドラマがほぼ無いのか。

ふと思うに、それは、市区町村役場職員を主人公にすると、市区町村役場職員の目線で、公務員の苦悩も描かなければならないからでしょう。そうすれば、⑤主たる観客(制作者にとって大事な顧客)である一般住民を、主人公と対立する勢力、時には悪者に描かざるを得なくなる心配があるからだと思います。それでは⑤が感情移入困難になりかねず、⑤に不快感を与えかねないわけです。だから⑤のために、①>②>③>④の順にドラマは減るのだと思います。

かといって、公務員バッシングに代表される「一方的な視点」だけで良いとは思いません。公務員も人の子ですし、沈黙する彼らにも立場が、言い分があるわけです。そんな、なかなかドラマにならないような、公務員目線の公務員や行政の記事を、住民との相互理解のためにも書きたいと思います。

(2023.9.27 追記2)

区役所職員のリアルな空気感があるとして、私はTVドラマ「健康で文化的な最低限度の生活」(ケンカツ)を推していますが、映画「羊の木」も加えたいと思います。

映画「羊の木」にあるのは、区役所職員が、奉仕する住民に対して持っている、漠然とした不安感です。もちろん、映画「羊の木」のように犯罪者と思っているわけではありません。しかし、公務員バッシングはどこにでも起こる現実ですし、そんな住民とも、公平という観点から、付かず離れずの関係を持つ必要があります。そのような、不安から逃げ出せない職員の心情は、どこか、映画「羊の木」の主人公を連想させ、この作品を忘れられないものにするのです。

(2024.2.4追記3)

TV「トッカイ ~不良債権特別回収部~」  も、市区町村役場の徴税吏員の仕事をリアルに連想させる点で、押したいと思います。詳細はリンク先のレビューにあります。

役所に「働かないおじさん」はいるのか

2024.5.12

「働かないおじさん」という話があります。例えば区役所には働かないおじさんがいるのか。一つの係に10人前後の職員がいるとします。40歳ぐらいから上をおじさんと呼ぶならば、5人ぐらいはおじさんではないでしょうか(失礼、内2人ぐらいはおばさんかも)。基本的に、仕事は10人全員で公平に分担するので、5人のおじさんにも公平に与えられます。おじさんがサボれば仕事が止まるので、すぐに分かります。上司に叱られますし、人間関係にも悪影響を及ぼし、悪い噂が出ます。それ以前に5人も仕事をさぼったら区役所は麻痺します。

しかし、私はそのような話を見聞きしたことはありません。もちろん、どこの会社にも「釣りバカ」のハマちゃんみたいな人材の一人ぐらいはいるでしょう。公務員にそれが無いとまでは言いませんが、いても職員数の1%以下ぐらいのものでしょう。(2024.5.8パレット記事の抜粋・加筆再掲)

辞めたくなっても3年間待ってみて

2023.9.11

(2023.9.5の記事の加筆再掲)公務員の世界にも(残念ながら)ハラスメントはあります。新人時代はもちろんのこと、50代になっても。いや、定年後の嘱託になっても、あるかもしれません。

しかし、係の全員がハラスメントをしてくるわけではないと思います。20人係員がいれば多くても2~3人でしょう。たまには上司からもハラスメントを受ける事がありますが、その他の人はあなたを普通に扱ってくれるでしょうし、友だちのように親切にしてくれる人も2~3人はいるでしょう。

20人全員から親切にして欲しいのは当然ですが、実社会はいろいろあります。前述したような環境なら、敵は一部ですから、辛抱してみる価値はあると思います。

区役所では平均5年で人事異動がありますから、相性の悪い先輩・上司がいても、たいてい3年前後でいなくなります(意外なメリット)。その頃には、あなたにも、先輩より後輩の方が多くなり、仕事を教える立場になりますから、もう、あなたをイジメようと思う人は少なくなるはずです。

「気がつけば、いつのまにか居心地の良い職場になっているはず」ですが、5年前後であなたも人事異動になります。「異動すれば、また悪夢の繰り返しか・・・」と悲観するかもしれません。でも、心配はありません。今度は公務員2年生になりますから、もう、公務員のイロハは覚えています。ですから、2年生以降は、人事異動しても、少し楽が出来るはずです。

古いアドバイスかもしれませんが、「とりあえず3年間は辛抱して」みる事です。3年たてば仕事も覚えますし、同僚の顔触れも変わります。普通に人事異動の希望も出せるはずです。そのころには、退職したいという衝動もほぼ消えているかもしれません。

苦労して公務員試験に合格したのです。辞めたら、もう簡単には公務員に戻ることは出来ないでしょう。もったいないから、学生時代のアルバイトのように簡単に考えない方が良いです。

あなたが定年退職した後には、中島みゆきさんの「時代」を口ずさんでいるかも。

役所はルーチンが8割

2023.9.4

私は区役所の話も書いていますが、私が言う区役所とは、ある政令指定都市の区役所の事です。政令指定都市がどこも同じかは分かりませんし、東京のような特別区とも違いますが、私が知っている区役所の職員は、大事業を企画する事はほぼないと思います。

大事業は本庁と呼ばれる市役所が中心になって企画します。対して、出先である区役所の仕事は、ほぼ対住民のルーチンであり、たまに大事業があっても、それは、市役所が企画し、すでにマニュアル化したものを、実行に移す役目なのです。

ですから、政令指定都市の職員として大事業を企画したいのなら、一般的には、有名大学を出て採用され、市役所への人事異動をめざす事になります。それは一握りの職員になります。

あるいは、市町村役場一つで全業務をしているような、本庁だけの比較的小さな自治体に就職する方法があります(もしかしたら、特別区もそうなのかも)。もっとも、そこでもルーチンが主体になるはずなので、大事業の企画担当に抜擢してもらわなければならないでしょうが。

最終目標は、大卒資格か、公務員合格か

2023.8.11

(2023.8.9の記事の抜粋再掲) 「公務員浪人」という言葉がある事は知りませんでした。(これは架空のプランですが)それほど公務員になりたいのなら、大学を卒業してから公務員受験を繰り返すのではなく、大学受験と同時に高卒資格でも公務員受験し、大学在学中も毎年高卒資格で公務員受験を繰り返し、大学を卒業したら大卒資格で公務員受験をする。そうやって大卒までに複数回の公務員受験をするのです。もちろん国家公務員・地方公務員など多くの種類を。

そして、どれかの時点で、何かの公務員に合格出来たら、進学せずに(あるいは大学中退して)公務員になるか、公務員合格を蹴って大卒資格を目指すのかを決めればよいと思います。繰り返しますが、これは架空のプランです。もしかしたら現実的にはどこかに無理があるのかも知れません。

しかし、少なくとも、自分にとっての最終目標は、大卒資格なのか、公務員合格なのかは意識した方が良いと思います。「二兎を追う者は一兎をも得ず」とかも申します。

大卒でないと職場で差別されるのではという心配があると思います。前述したように公務員にも色々な種類があり、もしかしたら差別的な職場があるのかもしれません。しかし、少なくとも私が知っている区役所では、大卒も高卒も、机を並べて,同じ仕事を分け合っています。そこは学歴主義というより実力主義と言っても良いと思います。もし学歴で優遇してもらいたいのなら、有名大学を出る必要があります。

(追記)本社へ転勤するのは一般に栄転とされているようですが、官公庁でもそれは同じで、本庁への異動は栄転です。例えば、区役所から市役所(本庁)へ異動するのは、おおむね、有名大学を出た人が、採用後数年で一本釣りされるケースが多いように思います。

では、高卒にそのチャンスが無いのかと言えば、意外にもそうではなく、毎年の異動状況を見ていると、たまに、高卒にも採用後数年で一本釣りされる人がいるようです。採用時に高卒枠があるように、(確認したわけではありませんが)本庁への異動にも一定の高卒枠のようなものがあるような気配が感じられます。あとの活躍は本人次第でしょう。

(追記2)高卒採用で大卒の肩書が欲しければ、公務員になってから夜間大学へ行く方法もあります。役所も協力してくれるはず(ただし、夜間大学を出ただけでは給料は上がりません)。又、出世を目指すなら、係長試験(昇任試験)に合格すれば、係長以上に出世でき、給料も上がりますし、大卒も部下に出来ます(高卒でも受験できます)。

(2023.8.13)

(追記3)大学進学のための奨学金は、ネットで調べてみると、大学生の約半数が利用しており、金額の平均は約310万円のようです。一方、高卒公務員の平均年収は、最初の数年間は毎年・約300万円のようです。つまり、高卒で公務員になれば、単純計算で、4年間で約1,200万円が入るわけで、奨学金をもらって大学に行くことを考えると、人生のスタート時点で、その差は約1,510万円になるわけです。大卒の肩書でそれを取り戻せればよいのですが、現実は、奨学金という借金・約310万円を返せずに苦労しているという話、珍しくないようです。

(追記4)「公務員は高卒でも務まるのか」という話ですが、(例外もありましょうが)区役所の窓口に立つぐらいの仕事なら、新聞を読める程度の学力があれば大丈夫だと思います。新聞は義務教育終了程度で読めるように編集されているはずです。

実は、私は学力よりも大事なものがあると思っています。それは適性です。あちこちで書いていますが、例えば区役所の職員を事務職だと思ってはいけません。むしろ接客業に近いと思います。就職すれば定年になるまで、電話、窓口、実地調査などで、住民(不特定多数の老若男女)に接客しなければなりません。すると、自分の利益(一部の奉仕者)を求める住民と、(全体の奉仕者)をめざす公務員の対立が起き(これは宿命)、毎週のようにトラブルになる係もあります。たとえトラブルが年に数回だとしても、いつ起こるかという不安は、繊細さんを憔悴させます。

区役所の職員は執行官ではありませんが、税金取り等になれば、(あれほど過激ではないにしろ)現在放送中のTVドラマ「シッコウ!!~犬と私と執行官~」を連想させるような仕事もあります。又、TVドラマ(漫画もあり)「健康で文化的な最低限度の生活」(ケンカツ)などは、ハードな生活保護担当の話で、リアルな区役所職員の空気感も描いています。公務員になるにはあのような仕事をする覚悟が必要です。

そんな中、繊細な感受性も持った人が、ハードな民間企業は嫌だからと、逃避先として公務員を選ぶとしたら、それは疑問です。はたから見ればきれいな仕事の公務員でも、繊細さんにとっては接客業(公務員の世界では接遇と言う)そのものが苦役かもしれません。仕事で心的エネルギーを消耗しすぎると、枯渇して、プライベートでも人的交流ができなくなる(大きなエネルギーを使う恋愛・婚活などができなくなる)心配があります。それどころか映画「青の炎」のDVを受けた主人公のように病的に苦しみ続ける可能性も。繊細な感受性の人は、むしろ、電話も窓口もない工場の奥で、一日中コツコツ働ける芸術的な職人なども、選択肢として考えてみると良いかもしれません。

こちらにもあります。公務員(自治体)に学歴分断は少ない

(追記5)知人に、東大を出て一流会社の幹部を務め、定年退職された方がいて、こんな話を聞かせてくれました。在職中の彼には、部下と仕事の話をしてもなかなか理解してもらえない悩みがあったようで、「君がどうして分からないのか、私には分からない。その分からない理由を説明してくれんかね」と、部下を問い詰めていたようです。

東大出と普通の人とでは、それぐらいの理解力の格差があるのでしょうね。
でも、普通の人でもこれを疑似経験することが出来ます。(失礼ながら)老いたりして、認知症的な状態になった人には、普通の人なら阿吽の呼吸で理解できることも、なかなか伝わらない事があります。そんな時、普通の人も、東大出の人の苦悩の片りんを理解できるのかも知れませんね。

そして、そんな東大出の人は、役所に入っても、すみやかに管理部門に配属され、長期間の窓口担当になることはあまりないと思いますが、もし、その他大勢の職員のように、住民と直接接する担当になると、住民にとっても、本人にとっても、あまり良いマッチングでは無いのかも知れませんね。

(追記6)追記4では適性の話をしましたが、適性は「繊細さん」だけでなく、他にもあります。「注意力の継続」です。私はエッセイは大好きでサクサク読めますが、なぜか小説を読むのは苦手で、3ページも読むと、ぼーっとしてストーリーが頭に入らなくなります。そこから先を読むのは苦行と言いたいぐらい。小中学校の頃は、宿題の読書感想文コンクールで表彰されたこともあったのに皮肉なものです。

何年も前から考えていますが、いまだに「エッセイが読めて、小説が読めない理由が分からない」のです。しかし、ネットを見てみると、同じような悩みを抱えている人は他にもいるようです。この様なときネットは良いですね。昔は一人悩むしか方法が無かったですから。

ところで、もし、このような人が区役所に就職し、役人の仕事の本丸である(例えば税金の申告書などの)書類の点検をすると、ミスが起こる可能性が高まるのです。例えば1枚に10か所の点検個所がある書類が100枚あったとします。しかし、注意力の欠落で、10か所ぜんぶ同時点検する事は困難なので、8~9か所しか点検できない書類が何枚か出てしまいます。すると「点検ミスだ」と叱られます。

それを防ぐためには、一番目の点検個所だけを100枚点検する。次に、二番目の点検個所だけを100枚点検する、次に、三番目の点検個所だけを100枚点検する(以下同文)。そうやって合計1,000回紙をめくって点検する方法もあります。しかし、それでも、ミスを発見できずにスルーしてしまうことがあります。注意力が持続できないからですね。

いずれにせよ、長編小説がサクサク読めるような人と、私のように3ページでお手上げになる人では、事務の適性に差が出やすいのです。しかし、同僚にそんな言い訳はできません。それ以前に、就職した以上は「やらなければならない」のです。

(追記7)追記4と追記6では適性の話をしました。あちらは重要度の5段階評価でレベル5だと思いますが、これからお話する事はレベル3ぐらいの話です。

たとえば職人さんは、同じ分野を一生勉強している専門家ですから、20歳前後から修業をして50代にもなれば、ほとんど完成の域に近づいていると、素人の私は思っています。職人独特のプライドの高さは、その自信から来ていのでしょう。

それに対して、たとえば区役所の職員は、毎年のように係内の担当替えがありますし、平均5年に一回の、係外への人事異動があります。人事異動すれば、違うメンバーと、違う法律の仕事をするわけです。これは新規採用から定年まで何回も繰り返すリスキリングです。そして、公務員の人事異動は、転職したほど仕事の内容が変わる事もあるのです。

ですから、50代のベテランになっても、20代の後輩に頭を下げて教えを乞わなければなりません。それが普通の光景です。しかし、残念ながら、職員には教え下手もいますし、あまり親切ではない人もいます。これを覚悟して就職する必要があります。おおむね、人見知りせず愛嬌の良い人は、教えを乞う立場でも得をするようです。70歳の新人の映画「マイ・インターン」にもあるように。

公務員の有給休暇や海外旅行について

2023.8.11

(2021.7.11~2021.7.17の再掲)有給休暇について書きます。民間の有給休暇は「絵に描いた餅」の場合もあるかもしれませんが、公務員の有給休暇は「職員の権利」です。だから完全消化は普通の話。土日・祝日とくっつけて長期休暇はあたりまえです(もちろん繁忙期は避けて)。同僚に(チョコ一粒づつでも良いので)お土産を忘れずに。

ちなみに有給休暇は翌年度まで繰り越せます。つまり就職した初年度に20日もらえたら(初年度は少ない場合もありますが)、5日しか使わなければ2年目は35日(繰越分15日+新規20日)になるのです。しかし、繰り越した15日は3年目には権利消滅しますから、2年目に完全消化する必要があります。

こうやって、公務員は就職初年度は有給休暇をできるだけ取らないで仕事に専念し、2年目には前年度の分を消化するのです。以後、同様に、退職まで前年度の残り物を使い続けます。常に現年度分20日は保険に取っておくのです。つまり、皆、残り物の休暇を取っているわけなので、それも取得に寛容な理由の一つなのです。

海外旅行について書きます。総務課に渡航届を出す必要がありますが、渡航届といっても簡単で形式的なものです。危険な場所でなければ問題ないでしょう。旅行社や入管などに提出する書類の総量と比べれば、オマケみたいなもの。たとえ渡航届の制度が無くても、直属の上司には海外旅行の日程表のコピーを渡して挨拶しておくのは、必要な職場のマナーだと思います。

「Chat GPT」などで公務員はリストラされるのか

2023.5.1

(2023.4.21の記事の加筆再掲)「Chat GPT」が人間の仕事に影響を与えるという話があります。減収や、失業する人が出かねないという心配です。公務員はどうかと言えば、「Chat GPT」を導入してもリストラの心配は無いと思います。身分の保証がある公務員の減員は、人事異動と定年退職による自然減を待つのが定石だからです。

電算化も半生記前からコツコツ行われてきましたが、係の減員は起こっても、リストラの話は聞いたことがありません。今後、マイナカードで役所の窓口負担が減っても、人事異動と定年退職による自然減になるはずです。人事異動は嫌だという人もいるかもしれませんが、少なくとも市区町村役場では、何もなくても平均5年に一度の人事異動があり、定年まで何回もリスキリングが行われています。

行政書士の資格が公務員は無試験でもらえることもある

2023.4.28

公務員は(一定の条件を満たせば)行政書士の資格が無試験でもらえるようです。特認制度ですね。その他にも、税理士試験の地方税が免除になるなど、いくつかの優遇があるようです。

でも、この話、私の知る限り、なぜか市区町村役場内で語られる事はまずありません。50歳前後に全職員に行われる「肩たたき」の時にもありません。なので、まったく制度を知らない職員も多数だと思います。

もちろん、例えば行政書士の資格をもらっても、簡単に大儲けできるわけではないでしょう。これも商売ですから、向き、不向き、成功、不成功があると思います。自信のない人は、65歳まで嘱託の公務員で働いた方が無難かもしれません(定年は65歳に延長される事があります。その場合は60歳以上も嘱託ではなく正職員になりますから、ある自治体では給与も嘱託時より増える予定です)。

本気で稼ぐ行政書士を目指すのなら、若い頃から計画を立て、無試験に甘えず、いろいろな事を勉強し、可能なら税理士資格等も取ったりして、準備をする方が良いと思います。そうすれば、人生の選択肢も増えようというものです。

余談ですが・・・市区町村役場に定年まで勤めても、自分が担当した係以外の知識は、素人とあまり変わりません。ましてや、他の役所の事までは知らないわけです。

しかし、行政書士試験の問題は、一人の公務員が経験する以上の、はるかに広い分野から出題されるでしょう。それなのに、なぜ公務員に無試験で行政書士の資格を与えるのか。

これは想像ですが、知識よりも、「公務員の仕事の精神を理解している者」として認められたのではないでしょうか。足りない知識があれば、担当替えや人事異動のときのように、そのつど勉強してもらえれば良いと。

市区町村役場に20年も勤めれば、複数の係を経験しており、公務員の仕事の精神と言いますか、そのような核になる大事な部分を実務で経験し、肌感覚で理解しているわけです(この辺り、説明が難しいのですが、昔から「仕事は人を創る」とか言いますし、「同じ釜の飯を食う」という言葉も浮かびます)。行政にとっては、そのようなOBが行政書士というパートナーになってくれれば、阿吽の呼吸で仕事が上手くいくと思ったのではないでしょうか。

なぜ「公務員は先例が好き」なのか

2023.2.14

役所が先例に頼るのはミスを恐れるからです。ミスを恐れるのは「住民は役所に完璧を求めるから」です。斬新な事はリスクが未知数ですし。

(追記)もちろん失敗すれば住民に迷惑が掛かりますし、住民から叱られます。それらが怖いのは言うまでもありません。先輩・上司に教わるでもなく、少なくとも市町村役場の職員はそれを経験で学びます(失敗しなくても法律上要望に応えられなければ叱られる事がありますし、公務員バッシングもあります)。つまり、それを教えたのも住民です。

失敗で自分の出世を心配する職員は、いないとは言いませんが、少ないと思います。職員気質としては、安定を求めても、出世したくない者が少なくないからです。さらに、(不正ではなく)まじめにやっての失敗なら、公務員は身分が安定していますから、よほどの被害が出ない限り、クビや減給の心配は少ないと思われます。ですから、自分の出世に響くから失敗したくないというよりも、住民のために失敗したくないのです。(2023.2.13の記事の再掲)

「選挙の開票事務」という大舞台

2023.2.8

NHK・TVで「紅白歌合戦」の舞台裏の特番を放送していました。それを観て連想したのは選挙の開票事務です。いうまでもなく両者はまったく違ったものです。連想する方が無理なのかもしれませんが、それを承知で書いてみます。

TVで少し観た範囲では、紅白は、誰が、いつ、どこで、どんなパフォーマンスをするかが、綿密に決まっていて、500Pにも及ぶ台本があり、事前の会議や練習もあるようです。

選挙の開票事務も、前方の壇上には外部の立会人等が、後方の客席には報道関係者や、一般の観客が観ています。そして、時報でスタートし、台本に決められた、誰が、いつ、どこで、どんなパフォーマンスをするかに従って、粛々と事務が行われるのです。

事前に打ち合わせがあり、本番では台本も頭に入れておかなければなりません。大声をあげて「おまえは、あっち、あっち」とか、「こっち、こっち」とか、「それじゃない、これをやれ」とか、そいう醜態は起こってはいけないのです。こちらの台本は10P~20Pぐらいのものでしょう。紅白とは次元が違うと思いますが、こちらも、間違えたら新聞沙汰になるような、数時間の大舞台をおこなっているのです。

そうそう、今回は橋本環奈さんが出られるということで観た方もたくさんいらしたのではないでしょうか。さすがオーラは紅白に負けていませんでした。(2023.1.2の加筆再掲)

市町村役場の税務担当にも繁忙期がある

2023.2.8

@ ネットを観ていたら、「地方公務員の税務担当は定時帰りで働きやすい職場」みたいな話が書いてありました。そのような自治体もあるのかもしれません。しかし、私の知る限り、例えば区役所の市民税係など、毎年1月~4月の平日は夜8~9時ぐらいまでの残業が多く、土日はどちらか1日の出勤が珍しくありません。土日は閑散期に振り替え休日なります。給与支払報告書、市県民税申告書、確定申告書、法定支払調書などの受付、点検、入力事務等で忙しいです。病気にならない限り有給休暇も取れる雰囲気ではありません。

(追記)「閑散期に振り替え休日なります」、とは言っても、遠くの閑散期に振り替えることは職員の健康上好ましくありません。そんな理由からでしょう。近くに振り替える事になっています。しかし、繁忙期は4か月間続くので、近くに振り替えると、その日も忙しく、再振替になることも珍しくないのです。(2022.12.24の加筆再掲)

窓口担当はどのような人がなるのか

2023.2.8

@ ネットを見ていたら、市町村役場では「仕事をしない中高年を窓口担当にしがち」みたいな話が書いてありました。そのような自治体もあるのかもしれませんが、私の知っている所は違うので書いておきます。

以前、市町村役場は5年前後で人事異動があると書きました。ですから、50代のベテラン職員でも人事異動すると一年生になるわけです。一年生は、最初の一年間は電話番で仕事を覚え、二年目は窓口で仕事を覚えるのが定石です。だから、窓口でまごついた50代のベテランが、20代の先輩に教えられて仕事をするのは普通の風景です。三年目以降になると仕事も覚えますから、内部に戻って後輩の指導的な立場になり、5年前後で出て行きます。新規採用から定年までその繰り返し。中には「1年間の窓口はりつけ制度」をやめて、老いも若きも「日替わり窓口ローテーション」を組んでいる職場もあります。

又、定年退職した人が再雇用の嘱託として働いている場合があり、その人は指導的立場ではなく、おもに窓口担当を受け持つことになります。嘱託の人はロビーの案内窓口などに配属されていることもあります。

(追記)電算化にともなう人員削減もあってか、窓口ローテーションに係長が加わる係もあります。係長は係長の仕事だけをするのではなく、係長+部下の仕事を行う事もあるのです。又、まれに手の空いた課長が飛び入りで窓口に座っている事もあります。それから、市民課などのロビーに出て記載指導を行っている人は係長や課長の場合があります。平職員は他に仕事を与えられて自由に動きにくいという事情もあります。

(追記2)ちなみに「三年目以降になると仕事も覚えますから…」と言っても、直接の担当者にならないと分からない事もあります。ですから、毎年担当替えがあるのが普通です。つまり、新規採用から定年まで、毎年違うことを勉強し続けるのです。

これが大きな区なら、毎年一つの担当を受け持つだけで良いかもしれませんが(ただし事務量が多い)、小さな区や、小さな市町村、離島などの場合は、複数の担当を、毎年かけ持ちで勉強し続ける必要が出て来るのです。区役所レベルでは200人前後の職員がいますが、離島になると15人前後しかいないところもあるようです。そんな市町村役場は、どうすれば区役所と同じ行政サービスを行えるのか(それが求められているが)、事務分担はどうなっているのか、私の頭では想像すらできません。(2022.12.27の加筆再掲)

営業には営業成績があり、公務員には無いのか

2023.2.4

@ 「セールスマンには営業成績があるが、公務員には無い」と思っている方は多いのではないでしょうか。概ねその通りです。概ねと言ったのは、例えば税金取りには毎月の徴収成績があり、係員が10人いれば、そこに順位がつくからです。そして、最下位の2人ぐらいは上司に別室に呼ばれ、話を聞かれる事も覚悟しなければなりません。

又、本庁である市役所の下に区役所が15区あれば、そこにも順位がつきます。成績が悪ければ上司は会議の席で肩身が狭いでしょう。さらに、市役所どうしでも成績の比較はあるはずです。成績次第では市長から幹部への叱咤激励の可能性も。

だから、トップにいる者はトップの座を守ろうとしますし、最下位の者は一つでも這いあがろうとします。これは税金に限らず、多くの国の政策で起こりえる事です。

営利目的の民間企業の視点から言えば「成績競争は当然だ」と思うかもしれません。しかし、(無意識にも)役所が成績を重要視すると、役所の軸足が、本来の目的である住民福祉から、成績の方へ移ってしまいかねないのです。例えば住民福祉の観点からはプランAという政策が適正だったとしても、成績競争に勝つにはプランBが良いとなりかねないわけです。でも、役割分担があるとしたら、民間企業が利益重視なら、役所は弱者救済です。もし両者が利益重視になれば、犠牲になるのは社会的弱者や少数派の人たちです。(2023.1.23の記事の加筆再掲)

「役所の事務は電話や窓口で中断されて困る」を考えてみる

2023.2.4

ラジオに、市役所の職員と言われる方から「事務の仕事をしていると、電話で中断され、窓口の来客で中断され、仕事が中途半端になり、はかどらない、ストレスがたまるし、ミスにもつながる」みたいな人生相談がありました。

それに対して「それは脳にとって良くない状況です。民間が改善しているのだから、役所だからと言って我慢せず、改善すべきです。その場合、自分が辛いからではなく、『ミスをしたら住民に迷惑が掛かる』からと上司に言い、窓口や電話番を交代制にするなどを要望しては」みたいな回答がありました(質問・解答ともに表現は正確ではありません)。

相談者の悩みは大変よく分かります。おそらく大多数の役所は昔からそうでしょう。だから、これは大多数の職員の苦しみだと思います。しかし、それでも容易には改善されていません。

理由は、たぶん公務員は住民への「(憲法に規定する)奉仕者」であるので、「窓口に並ぶ客や、鳴る電話を放置してまで、自分の内部事務をすることはいかがなものか」という、お客様第一主義だからだと思います。だから、まず全員体制で接遇をし、電話を受け、遅れた内部事務は残業(時にサービス)で行っているのです。

たとえ窓口担当が決まっていても、客が並べば放置せず、中から応援に出て来ることは珍しくありません。そうしなければ「中の奴は何やっとるんだ」とのクレームも起こりかねません。

事務改革の話は、詰まるところ、「①お客様を待たせて職員は定時に帰るのか、②待たせないで職員が残業(時にサービス)をするのか」という問題になるように思います。私は①を支持しますが、おそらく上層部では②がメジャーなのでしょう。①の理由を言えば、お客様は毎日役所に来るわけではないでしょうが、職員にとっては毎日の苦しみだからです。

(追記)電話の話。電話対応といっても、①住民から質問されて、職員が持っている知識で回答するだけで済む係と、②質問に対して(まだ電算入力されていない)書類をさがしまわり、内容を検討して回答し、さらに封筒で必要書類の送付をし、関係先への電話や、電算入力までしなければならない仕事が中心の係があります。

②の場合は受話器を置いてからも15分前後の残務整理があるのです。しかし、電話は繁忙期には5分に一本ぐらいかかってきます。受話器を置いているからといって、電話の仕事が続いているのか、内部事務を始めたのか、外見上は分かりません。「誰か…」と言っても、手の空いている者はいないので、次から次へと鳴る電話を取らざるを得なくなるのです。

追い詰められた職員は、電話の残務処理は、メモにでも書いておき、夕方、電話が少なくなってから行います。そのような要領の良さがないと仕事が回らない係もあります。窓口を担当制にして内部からの応援が無い係でも、同様のことが起こります。応援体制のない窓口も大変なのです。

又、1年間はりつけの窓口担当者でも、内部にいる職員と同じように、外回りの仕事が与えられる場合があります。しかし、帰庁して報告書等を書きたくても、窓口に座れば、接客が必要になり、外回りの残務整理が出来なくなる場合があります。

来客は、例えば電車やバスの時刻表にしたがって、波になって来ることが多いです。そのため、波間の手が空いた時間帯には、内部事務をする必要があります。しかし、その内部事務をしていると、今度はマイカーやタクシーのお客様がやってきます。だから、窓口当番制にしても、来客で内部事務が中断されることが多いのです。

(追記2)ここまで書いてきて思ったのですが、市消防局などは、住民からの連絡があれば、内部の仕事を中断し、すぐに消防車や救急車を出動させます。そんな命にかかわる外回りの消防局と、事務職の市役所は違うように思いがちですが、住民優先という点で、昔から根っこの思想は同じだったのでしょう。

しかし近年は、デジタル化で区役所も電話は減っています。例えば本庁である市役所の下に15の区役所があるとします。合計16の役所は、昔は電話しか相互の連絡手段がありませんでした。この電話がけっこう多かったのです。今はネット環境が整備され、相互間の8割~9割の電話は不要となったように思います。残るは住民からの電話・窓口ですが、デジタル化で、オンライン申請、などが整備されていけば、だんだんと減って行く傾向にあると期待しています。

(追記3) ネットに『伊藤忠も手放した!ケータイショップの「落日」』という記事がありました。

①私も高齢者でスマホが苦手な一人ですが、営利目的の民間企業であれば仕方ないのかもしれません。②しかし、これが行政であれば弱者救済は必要な事で、高コストをかけて生活保護なども行っています。

営利目的の民間企業は不採算部門を縮小・廃止することがあるようです。しかし、弱者救済が役目の役所には困難な部分もあります。昔、コンピューターの初期設定がわからず、メーカーのサポートにTELした経験がありますが、担当者につながるまでに30分ぐらい受話器を持って待っていることは当たり前でした(懲りたので、今は有料でプロに頼んでいます)。今は改善されているのでしょうか。

もし、役所の電話が、メーカーのサポート状態になったら、世論は黙っていないでしょう。このあたりにも、「民間が出来たから役所も出来るはず」とは、簡単にいかない理由があるように思います。(2023.1.27の記事の加筆再掲)

公務員(自治体)の育児休暇とリスキリング事情

2023.2.4

平均5年に一回の人事異動とリスキリングを、採用時から定年まで続ける市町村役場には、女性職員も少なくありません。そして、その女性職員が出産するときには、皆1年間ぐらいの育休を取ります(近年は男性も取ると思いますが)。もし、人事異動時と育休が重なった時はどうするのでしょう。ケースバイケースかもしれませんが、私の知る限りはこのようにしています。

人事異動直後に、1年間の育休に入ると、異動先がいきなり欠員1名状態になるわけです。異動先がいそがしい場合は困ってしまいます。それを防ぐために、育休が予定されるときには人事異動をせず、1年後に育休が明けてから、人事異動をしているようです。つまり、欠員一名問題は古巣で解決するのです。そして、育休が開けて、人事異動が行われ、女性が新勤務先に異動してから、リスキリングが行われているようです。

(追記)では、仮に人事異動直後に育休に入る人が出たらどうなるのでしょう。もし私が該当者だとしたら、窓口に置いてある市民向けの法律説明のチラシや冊子と、机の引き出しあるマニュアルなどを1冊持って帰るように思います。育児が忙しくて、勉強などしている暇は無いのかもしれませんが、それでも、同僚に後れを取るのが心配なので、気休めに持って帰ります。その姿を見た同僚も、私の熱意に一定の評価をしてくれることが期待できますし、そうならば、育休明けの人間関係の円滑化にプラスになると思います。

話は飛びますが、新年度の税制改正の事務連絡等は、毎年12月頃に上層部から税務課に届きます。それは回覧され、担当者は自分に関係のある部分をコピーし、新年度の変更点をまとめた自分マニュアルを作るのです。例年それは厚さ5ミリ~1センチになります。

例えば市民税係では、新年1月になれば、繁忙期に入り、実務に突入しますので、12月中に勉強するか、間に合わなければ、家に持って帰り、正月休みに勉強するのです。とは言っても、正月休みはなかなか勉強などできませんが。それでも気休めに持って帰るのです。育休のリスキリング話からはそれを連想します。

しかし、同じ勉強でも、同僚や上司が、「育休中は、これを持って帰って、勉強しなさい」と、同じ書類を机の上にドンと積んだら、私ならあまり気分の良いものではありません。「(忙しいから育休を取るのに)勉強まで強制された」と感じるからです。「絶対に勉強しなければならない」と思うと、それは大きな心の負担になるような気がします。(2023.1.30の記事の加筆再掲)

公務員試験はいつ受けても同じなのか

2023.2.4

@  少なくとも市町村役場職員は「客層を選べない接客業」のようなものです。「人と接することが苦にならない人」でなければ、つらい人生を送ることになる仕事ですが、それでも公務員になりたいという人には、こういう手法もあるということをお話します。

一般に、好景気になれば公務員志望者が減る傾向にありますから、倍率も下がる傾向にあるようです。逆に不景気になれば、志望者が増え、倍率は上がる傾向に。私の記憶にあるのは1973年の第一次オイルショックです。チャートを見ると、わずかに日経平均株価が下がっただけですが、実際は、この①前と②後では、公務員試験は別の様相を見せていたのです。

簡単に言えば、①でギリギリ合格するような成績の人は、②では受からない可能性がありました。その後の日経平均株価は、1973年と比べ、はるかに上下していますから、(確認はしていませんが)そこにも隠れた悲喜こもごものドラマがあったのでしょう。

では練習問題です。「仮に、今がバブルのピーク近くだと思われ、あなたが公務員志望の高校三年生だとしたら、高卒資格で公務員試験を受けますか?。それとも大学に進学し、(バブルが爆ぜている可能性のある)4年後に大卒資格の公務員試験を受けますか?」。(判断は自己責任でお願いします。)

(追記)その後、1989年をピークに、日経平均の史上最高値のバブルが爆ぜ、夢を見ていた多くの国民は、「バブルは爆ぜるもの」という現実を思い知ったのです。ですから、「夢から覚めた」国民は、以後、バブルの前後にあまり関係なく、公務員を志望しているのかもしれません。もし、そうならば、1973年当時より、今の方が、バブルの前後でも、公務員試験の倍率の差が少ない可能性もあります。

公務員(自治体)に学歴分断は少ない

2023.2.4 過去ログの加筆再掲

@ (先日の新聞に「日本は学歴分断社会である」旨の記事がありましたが、それが少ない職場もあることをお知らせしたく、これを書きました。)

一口に公務員と言っても色々あり、他の事は知りませんが、私の知る限り、自治体には、ほとんど学歴分断はありません。例えば、TVドラマ「健康で文化的な最低限度の生活」(ケンカツ)の舞台になったような区役所では、課長クラスを高卒で務めている方もいらっしゃいます。主事(平職員)の間にも差別感情はありません。大卒も高卒も机を並べ、同じ仕事を分け合っているのです。上下関係はありません。そして、人格と能力で同僚・上司から評価されるのです。もちろん目上の人にはそれなりの敬意を払う事は必要ですが。

( 大・高卒の公務員比較についての私の過去ログがありましたから、以下に加筆再掲させていただきます。)

@ 大学の法学部卒の人と一緒に、法律を知らない高卒が役所の法律相談の窓口に立ち、はたして務まるのかという疑問があるかと思います。大卒でも全員が法学部卒だとは限りませんし。

しかし、例外もあるでしょうが、役所の通常業務程度の法律なら、新聞を読める程度の学力があれば、担当になってからの勉強で務まるのです。いや、担当になってから勉強をするのが、(専門職以外の)役所の基本システムでしょう。法律は毎年のように改正がありますから、法学部で学んでいても翌年には再確認しないと現場では使えないわけです。研修が充実しているのはそのせいもあるのでしょう。採用試験はその学習能力も見ているわけです。

役所の係は5年前後で人事異動がありますから、人事異動してきた素人は、遅くとも2~3年で一人前になる必要があります。そして後輩を指導する(そんなベテランも、異動後は指導を受ける立場になる。高卒も大卒もありません。定年までその繰り返し。だから、人間関係を狭くすると自分にも不利になる。それも学歴分断を防いでいる理由の一つだと思います)。ですから、仕事は整理されていますし、専門書もあり、研修も充実していますから、心配はいりません。

そして、電話と窓口、書類の審査、実地調査等でいやおうなく鍛えられます。好き嫌いを言わず毎日を頑張ってさえいれば。そして新人も、2~3年でプロの顔になり、5年前後の人事異動で新しい係に去っていく、役人としての教養を増やしていくのです。ちなみに係長以上は2~3年で異動があります。

(追記)一口に役所と言っても、内部には①住民相手の部署と、②おもに上級官庁を相手にして連絡調整をしたり、マニュアルを作成したり、条例を作ったり、職員を指導したりする、管理的な部署があります。一流大学の法学部卒の人は、最初の数年間は①で修業をしても、その後は②に異動することが多いはず。よって、①に残っているのは、それ以外の人たちが多いので、極言すれば、高卒も大卒も似たようなものなのです。

(追記2)職員同士は、毎日顔を突き合わせて仕事をしている仲間の、実務能力と人格を評価基準にしますので、学歴は無関係だと言ってもいでしょう。もし執拗に仲間の学歴を気にする人がいたら、逆に変人だと敬遠されかねません。そんな中であえて同僚の学歴を話題にする場合、それは対象者を「あの人は学歴の割には・・・」と言外にほのめかす場合が多いかも。

(追記3)そんな役所の職員が、学歴よりも評価の対象にするのが、通称「バッジ」と呼ばれる模範職員のバッジです(どこの自治体にもあるのかは知りません)。就職すれば全員、職員バッジがもらえるのは当然ですが(職員番号が刻印されており、無くしたら始末書もの、退職時には返還しなければならない)、後々に、模範職員だと上層部から評価されると(学歴は無関係)、たぶん住民には区別がつかないほど、ほぼ同じデザインで、微妙にひとまわり大きなバッジがもらえるのです。

しかし職員には分かります。これは、例えが適当かは分かりませんが、「職員の国民栄誉賞」みたいなもので、役所内の噂になりますし、一目置かれます。羨望と、もしかしたら嫉妬の対象にもなっています。異動する場合にも「バッジの人」は引く手あまたで歓待されます。

(追記4)どうしても大学に未練があるなら、高卒公務員になった後で、夜間大学に通う方法もあります。今はあまり流行らないかもしれませんが、一昔前はそんな苦学生も珍しくありませんでした。これで大卒の肩書になります。役所も協力してくれるはず。ただし、公務員試験は①高卒枠で合格しただけですから、給料は増えません。しかし、高度経済成長期と違って、今は民間より、概して公務員の給料の方が多いはずなので、それなりに良い生活ができると思います。

もっとお金が欲しいという方は、役所の②大卒試験に合格する必要があります。ただし、合格してもヒラのままです。

あるいは、①のままでも係長試験に合格すれば、係長以上になれるうえに、給料も上がります。大卒試験よりこちらの方がお得かもしれません(係長試験は大学に行く必要がありません)。

@ 高卒公務員の給料が安いと言う人は、大卒公務員と比較している場合が多いと思います。高卒と大卒を比較すれば、民間に就職しても高卒の方が安いのは普通でしょう。だから、本当は高卒公務員と高卒会社員の給料を比較すべきだと思うのです。そう思っていたら、この方のブログに分かりやすい比較表がありましたのでご紹介します。

https://texasinvancouver.org/3160.html

https://public-allabout.com/kousotsu-nensyu/

(追記)公務員の仕事の多くはマニュアル化されていますが、これは公平な仕事のためでもあります。しかし、住民の要望で例外の是非まで考える必要がありますので、机上ではなく実践的な法律が身につきます。役所の窓口で法律相談を受けるという事は、その道のプロになるという事です。そして5年前後の人事異動で、定年まで新しい法律を学び続けます。大変ですが、定年後には感謝するはず。

@ 人気TVドラマ「ハコヅメ ~たたかう!交番女子~」のヒロイン・川合麻依(永野芽郁さん)は20歳の設定です。警察学校も出なければなりませんし、年齢的にこちらも高卒公務員の可能性がありますね。良い先輩に恵まれて幸せ者ですね。

https://www.ntv.co.jp/hakozume/chart/

彼女が高卒だとしても、警察学校と警察官としての実務で様々な事を学びますから、22歳までの4年間は、大学に行っていたかように成長の時間になるはずです。そして、これは警察官だけでなく、区役所に職員になっても言えることだと思います。すぐ法律を学び、現場で実戦をしますから。

(追記)以前、例えば区役所では遅くとも2~3年で一人前になり、すぐ後輩を指導して、5年前後で次の係に去っていくと書きました。つまり、高卒18歳で配属されたひよっこ新人も、大卒と同じ22歳には一人前になり、自分の両親のような年齢の後輩や、アルバイトを指導する、係で中心的な存在になるのです。

その時、大きな係で職員が20人いる場合、15人ぐらいは後輩になっていることもあります。繁忙期にはアルバイトの大学生が10人ぐらい来ることもあるでしょう。そのアルバイトの女性が、自分とほぼ同じ年齢なのに20人もの職員の中心的な存在になって、法律に詳しく、職員・アルバイト・住民をもこなしている職員を見て、どう思うでしょうか。自分よりも優秀な人だと思っても不思議ではありません。

(追記2)公務員の仕事への満足度は概して低いと思います。大多数の人は、ただ安定を求めて公務員になったのですから、当然と言えば当然の帰結。「公務員になる=我慢」なのです。ただ、定年までに、その我慢の向こうに微かな喜びを見出せるかどうかです。人気TVドラマ「ハコヅメ ~たたかう!交番女子~」を観れば分かるかも。

公務員からの転職・独立の難しさですが、そもそも公務員になる人の多くはそれを希望していません。安定を求めるという気持ちには終身雇用も入っています。スキルについては(良くも悪くも)「公務員らしさ」はスキルの内ですし、実践的な法律に詳しくなるのもスキルです。特に法律に関しては、在職中に独学で担当外まで勉強するようにすれば、税理士とか行政書士とか、そんな資格も夢ではないのではないでしょうか。(2021.7.11~2021.7.17の再掲)

@ 2022.2.19の記事の続きです。「高卒公務員は出世が遅い」という話があります。しかし、これは「民間でも高卒の出世が遅いのと同じこと」でしょう。公務員に限った話ではないと思います。

その上で申し上げますが、確かに公務員の出世には難しさがあります。大卒でも簡単ではないのです。係長試験(合格すれば係長以上になれる)という難関を突破しなければ、定年まで主事(平職員)のままになる自治体が多いためです。そして、昨今は「出世だけが人生の目標ではない」と考える職員も少なくありません。

( 以下は映画「箱入り息子の恋」の私のレビュー本文からの抜粋です。参考にご覧ください。ネタバレです。)

『 ところで、女の親、どこかの会社の社長らしいですが、総合的な雰囲気を見ると、大企業ではなく、中小企業の社長さんと言ったところですね。従業員は300人以下でしょうか。そんな彼が市役所勤続13年で、今なお平職員である男をお見合いの席で侮辱したのです。風采の上がらぬ男ですから、たたき上げの社長さんから見れば、ある意味「ぬるい奴」と見られても仕方ありません。

でも市役所と言えば、もっとも小さな市であっても、管轄内の住民は数千人おります。大都市なら100万人単位です。そんな市役所の担当者は、たとえ平職員であっても、多数の住民への仕事上の責務を背負っていることになるのです。ですから平職員と言うだけで、中小企業の人事と同じ物差しで計っていては判断を誤る事になります。

また、市役所の男が所属する係が全10人であったとします。その係長は、単に10人のトップであるだけでなく、多数の住民へ奉仕する係の責任者であるわけです。そうなると、さらに重責であり、試験は簡単ではありません。少しオーバーに言えば、もう一回市役所の採用試験を受けるがごとく難しい場合もあるのです。映画「県庁の星」で、すこぶる優秀な係長が出てきましたが、係長試験に合格するとは、概ね、ああゆう事なのです。ですから、女の父の言動は的を射たものではなく、女の恋愛感情を無視したのと同じく、独善かつ偏向的なものであったのだと思います。』

(追記)公務員の係長試験は難しいと言いましたが、公平な試験でありますから、受かりさえすれば、出世欲のない人を追い越して(意外にいる)、やる気ある高卒が出世するという構図もあるわけです。そういう意味では公平ですね。では、民間企業ではどうかと言えば、例えば映画「箱入り息子の恋」に出てきたような、頑固なお父さんの会社の従業員が主人公だった場合、お父さんとは反りが合いそうもありませんから、(娘と結婚できない限り)出世は難しそうですね。他の会社であっても、出世は、公平な試験ではなく、上司・社長の裁量が入る余地が大きいのではないでしょうか。

(追記2)私の知る限り、市役所の昇任試験は係長試験だけです。試験内容は市役所の業務全般(担当者レベルの細かい部分まで出題される)と作文です。しかし、課長以上になるには試験は無く、民間と同じように上層部の裁量で合否が決まるようです。ハイブリッドな評価基準ですね。

(追記3)映画「箱入り息子の恋」で、父親が怒っていた裏の事情を考えると、盲目の愛娘、一人娘の幸せを考えて、次期社長候補の婿養子を取りたかったのでしょうか。それなら娘に不自由な生活をさせる心配はないでしょうから。そこに、出世しそうもない安月給の公務員(社長にはそう見えていた)が現れたわけです。これが、ぎらぎらと力のみなぎった男なら、公務員を辞めさせて自分の会社にひっぱればよいと思っていたのかもしれませんが、カエルのような男ではダメだと判断したのでしょう。それで、カエルに本音をぶつけた。「(公務員なら公務員でも良いが)13年たってもヒラなのか、出世を目指さないのか、野心は無いのか」と。

では、妻はというと、かつては、そんな野心にまみれた現夫に惹かれて結婚したけれど、今ではその野心が他所に女まで作っている。そんな浮気男より、ささやかな生活を大切にし、優しくて娘を大切にしてくれるカエルの方が、100倍良いと思っているのかもしれません。

そして、カエルは昇任試験を受けることにしたのです。映画「カサブランカ」でもふれましたが、「男が一人で生きていくには何をしても食べていけるが、結婚するなら、背筋を伸ばして日向を歩いて行かなければならない」という世界観が、ここにも描かれていたのかもしれません。

(追記4)ちなみに、妻が夫の浮気を知っても黙っていたのは、盲人の娘に良縁を誘うには、母子家庭よりも社長令嬢の方が良いと思ったからだと思います。娘が結婚した後に、妻は夫に不貞による離婚を迫るのでしょう。(2022.1.19~2022.1.20)

出世望まぬ公務員は意外と多そう

2022.12.9

『「出世したくない」公務員増えた? 昇進試験「準備ができない」訳は』

『出世望まぬ公務員「勉強時間ない」「昇進よりも家庭」 自治体は苦悩』

昔の自治体では本気で昇任試験を受ける職員が多く、仲間同士で勉強会を開いたりする人もいましたし、中には、試験直前に1週間ぐらいの有給休暇を取って勉強に励む者も。

しかし、昨今は「中途半端に出世しても係長(中間管理職)で終わっては辛いだけだし…」みたいな本音派が増え、せっかく有名大学を出ても、出世に興味が無い人もいるようです。以前に、「区役所の課長クラスなら、高卒で務めている人も珍しくない」と書きましたが、出世に背を向けた大卒とは裏腹に、「高卒でもやってやる」という職員が出世している側面もあるのでしょう。そして大卒を部下につけているのです。

(追記)もう少し「出世望まぬ公務員」の話を続けます。公務員は、「安定」を求める気持ちが一倍強い人が、その手段としてなる事が多いようです。だから、公務員になること自体が「上がり」であり、出世という「(ある意味)不安定化」は望んでいないのですね(もちろん出世を目指す人もいるでしょうが)。この公務員(少なくとも自治体職員)気質は、少なくともこの半世紀、大きくは変わっていないと思います。

ただ、近年何が変わったのかと言えば、昔は「日曜日に行われる昇任試験も仕事の一部」として、出世する意欲がなくとも、我慢して受験する職員が大多数だったのですが、近年は「残業代も出ないのに日曜日にポーズだけの受験などしない」と割り切る人が増えてきたのでしょう。

これは、「嫌なら学校は行かなくても良い」「仕事でないなら宴会や慰安旅行には参加しない」などという、「嫌なことはしない」近年の世相と同じなのだと思います。ですから、その数字だけ見れば受験者数が減っていますが、「出世への意欲」という実態は、少なくともこの半世紀は似たようなものだと思います。(2022.11.23のマイページの再掲)

公務員は昔からリスキリングの中を生きている

2022.12.9

先ほどのNHK・TVニュースで「リスキリング」(学び直し)が取り上げられていました。これは民間だけの話ではありません。例えば区役所職員は(昔から)5年前後で人事異動があり、TVドラマ「健康で文化的な最低限度の生活」のヒロインのようなケースワーカーをやらされた人が、5年後にはTVドラマ「トッカン」ではありませんが税金取りになって差押もし、さらに5年後には戸籍担当になって婚姻届などの受付をすることもあるわけです。大卒・高卒ともです。

そうやって、定年まで、1回、2回どころか、7回ぐらい違う仕事をさせられます。定年まで、新しい人間関係の中で、違う分野の法律研修を受けたり、コンピューター処理の実務を学び直しているわけです。これもリスキリングの一つなのかもしれません。(2022.11.23のマイページの再掲)

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